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語られない日常~隠蔽された最強の仕事、前編~

 前話がかなりいい感じに終わったのにいきなり番外編を突っ込んでしまう私。


 いやですね?前話にてリリアが、


「時々傷だらけで帰って~」


 のくだりがあったじゃないですか。その台詞を書いているときに浮かんだのが今回の話なんです。


 


 あ、警告として、ここから先グロ表現ありなので警告しときますね。大事な事なので二回言ってうわっ、ちょ、なにをするやめ、







 ――――――時はミノタウロスが襲来する何日か前まで遡る。






 




 いつものように学園を抜け出し、孤児院で犬をモフモフしてはぅわ~としつつ子供たちと缶蹴りをし、満足して帰る途中、それは起きた。



「どっ、泥棒だ!誰かそいつを止めてくれぇ!!」


 どこからか焦ったような声がする。



 見ると、黒いローブを纏った小柄な人が必死の形相で先ほど声を発した人から逃げている。


 そして、そいつはまっすぐにこちらに向かってくる。


「おい!そこのガキ!死にたくなけりゃそこをどけ!!」


 イラッ・・・・・・いや、ここは抑えろ。落ち着け、落ち着くんだ・・・・・・ビークール・・・・・・ビークール・・・・・・よし落ち着いた。


 黒いローブは道をまっすぐに走っている。そして俺はその道の中央あたりにいるらしく、コイツからすれば邪魔だったのだろう。



 あえて俺は素直に道をあける。


「へっ、素直でいいじゃねえか」


 黒ローブは俺の横を笑いながら通り過ぎようとして――――――


「龍稀アッパーカットー」


「ぐへらっ!?」


 振り上げた拳が吸い込まれるように顎にクリーンヒット。垂直に空を飛んでから落下。


「・・・・・・すげえ。どこぞの小説で読んだが、技の前に名前をつけるだけでこうも威力が違うとは・・・・・・」


 金髪碧眼の飛行士に感謝・・・・・・っと。


「ヲイ」


「ひぃっ!?」


 よほど痛かったのか、未だに顎をさすっていた黒ローブに声をかける。



 ただし、周りが思わず引いてしまうような超低音で。


「テメェさっき何つった?ん?さっき言った言葉ちょっとリピートしてみ?」


「・・・・・・素直でいいじゃ「違う!もうちょい前!」ひぃっ!・・・・・・おいそこのガキ「そうそこだ!」うひゃっ!!」


 俺が反応するたびにビクビクと飛び上がる黒ローブ。何これ楽しい。


「だ・れ・が・ガ・キ・だ・っ・て?」


 そこに凄みを利かせた声でさらに脅しをかける俺。なんかテンション上がってきたヒャッハー!


「そうだな。まだ見た目で『女』と言われるよりはイライラしない。だがな?」


 そこで一旦言葉を切り、大きく息を吸って、声を出す。


「人がそこそこ気にしてる所を言葉に出して言うんじゃねええええええええええええええ!!」


「ひいあああああああああああああああっ!!?」


 大声を出すと、黒ローブはおろか周りにいた人たちすらビクッとする。ちょっと声大きすぎたか。俺自重しろ。


「・・・・・・まあとにかく、だ。盗んだ物は素直に返してやれよ」


 飛び上がった直後にジャパニーズ式土下座をガタガタと震えながらやる黒ローブに言う。コイツ・・・・・・いつの間に土下座の体制に入った!?


「だっ、旦那!お願いしやす!これだけは見逃してくだせぇ!!」


 そしてそのままこちらに向かって懇願する黒ローブ。


「んーそうは言われても・・・・・・なぁ?」


『この場合どう見ても黒ローブの方が悪いと思うのですが・・・・・・』


『ケッ、さっさと斬り殺しゃァいいんだよ。それで万事解決だろうがァ』


 ちょっとそこの白色!あんた久しぶりに出てきといて言う事はそれか!


「・・・・・・しゃーない。俺が金払っとくから、それは持っていきなさい」


「ほっ、本当ですか!?」


 うん本当。いや実際はどうでもよかったんだけどさ、これだけ必死にお願いされると・・・・・・ねぇ?


「本当だから。ほれ、それ持ってさっさとお行きなさいな」


「ありがてぇ・・・・・・ありがてぇ・・・・・・」


 ついには拝みだす黒ローブ。いや、別に俺神様とかそんなんじゃないよ?あ、一応神には会ってるのか。まあ死神様だったけどね。




「これであのお方に殺されなくてすむだ」


 ・・・・・・ん?ちょい待った。今とっても不穏な言葉が聞こえたんだけど。


「なあ、殺されるってどういう――――――」


 黒ローブに説明してもらおうかと思ったその時。

















 黒ローブが、一瞬にして真っ赤に染まった。


「い――――――み」


 目の前に迫る赤い液体。


「・・・・・・っ!!」


 咄嗟に身体を右へローリングさせる。良かった、血はついていないみたいだ。




「なっ・・・・・・何が起きたんだ!?」


「いやっ・・・・・・いやあああああ!!」


「おいっ!落ち着け!」


 

 こんなスプラッターを見せられて正常でいられる人間などいないだろう。少なくとも俺の知り合いにはいない。


 そんなこんなで暴走しだす住民たち。そりゃ当たり前だろうな。この国平和だし、今までこういうものは一度も見たことなかったのだろう。


 え?お前やけに落ち着いてるなって?いやこれがそうでもない。


 実際身体が若干震えてるし、人間パニックになると逆に冷静になるんだよ。きっと。


 さらに吐き気もある。まあ目の前で人が一人死んだんだ。これくらい当然だろう。


 だが、俺よりも近くの人たちの方が危険だ。パニックになった状態は何を起こすかわからない。


 

 すぅっと息を吸い、


「ぅおおおおちつけええええええええええっ!!」



 思いっきり叫ぶ。うっわ喉痛い。帰ったらうがいしなきゃな。


 が、叫び声のおかげでピタッと止まる住民たち。うむ。良かった良かった。


「そこの住民A!そうだそこのお前だ」


「へっ?お・・・・・・俺ですかい?」


 適当な住民に指をさし、指示する。


「この事を即座にギルドに報告、後何人か応援もらってきなさい!」


「わっ、わかりました!」


 ギルドに向かって走り出した住民A。よし次!


「そこの住民B!そうだ貴様だ!」


「わっ・・・・・・私ですか?」


「あんたは今すぐ自警団(地球で言う警察のようなもの)に連絡しなさい。今すぐにだ!」


「さっ・・・・・・サーイエッサー!」


 何故か敬礼を返してから走っていく住民B。お前は昔軍隊にでもいたんか?



「さって・・・・・・俺は遺体処理とまいろうか」


『主・・・・・・大丈夫なんですか?』


「んにゅ?大丈夫って何が?」


『だって、人が一人死んだんですよ?どうしてそんな平然としていられるんですか?』


 まあ妥当な意見だろう。だがしかし。


「俺は今とってもパニクってる。そりゃあもう、下手したら魔法の力加減間違うかもしんないほどに。腕をよく見ろ、震えてるじゃないか。ははっ」


 魔法とはとても繊細なものである。らしい。


 使用者の精神が安定しないと、魔法も安定せず、発動しなかったり果ては暴走して村を消滅させたりできるらしい。おおこわっ。



 まあ、俺はそこまでヤバイ状況ではなさそうなので、とりあえず遺体処理班となった。



「まあ・・・・・・せめて、安らかに眠りなさいな。『アースクエイク』」


 地面がゴゴゴと縦に割れ、そこに落ちていく黒・・・・・・いや、今は真っ赤に染まったローブ。


 ここは人が通る道の真ん中だから、墓標はたててやれないが・・・・・・。


「成仏しろよ・・・・・・って、こんな死に方でするわけないか」


 最後に、黒ローブが持っていこうとした物を邪魔にならない程度におく。そして、割れた地面を元に戻す。


 そこに丁度自警団+ギルドの面々がやってきた。遅いよあんたら。




























「・・・・・・ってなことがあったんだ」


「っ・・・・・・それは、酷いな」


 自警団の者と思われる甲冑を着た青年(声で判断)とギルドから駆けつけてくれたルイーダさんに説明する。


 ここには今も赤い液体がべっとりとついている。いずれ洗い流されるだろうが、ここで殺人が起きたという事実は変わらず俺らの記憶に残るだろう。


「・・・・・・」


 ルイーダさんが何やら考え事をしている。


「ねえ・・・・・・その黒いローブを着た人は、どんな殺され方をしたの?」


 ルイーダさんが疑問の表情をする。


「っ・・・・・・いくらなんでもその質問は!」


「まあ落ち着きなさいな」


 ルイーダさんに食って掛かろうとした甲冑青年をどうどうと鎮まらせる。


「確か・・・・・・鋭い・・・・・・それこそ刃物か何かで無数に斬られていた。咄嗟だったからよく見れてないけど」


 嫌な記憶だが、意味のない質問はしないと思ったので話す。あの時、黒ローブは全体に亀裂が入ったように見えた後パーン!となったのである。


「・・・・・・そう。ありがとう」


 礼を言うルイーダさん。だがすぐにその顔は暗い顔へと移り変わる。


「やはり・・・・・・この前の時とやり方が似ている・・・・・・まさか同一犯・・・・・・?」


 そしてぶつぶつと呟き始めるルイーダさん。さながらコ○ン君のようだったが、一人で勝手に喋られても分からないので、とりあえず現実へ引き戻す。


「おーいルイーダさーん?何か分かった事でもあんの?」


「っ!・・・・・・ええ。つい最近あった事なんだけれど」


 そう言ってから、ルイーダさんは話し始めた。


 

 今起きた事件より少し前にも似たような事が起きたらしい。


 ギルドのカウンターから何気なく外を眺めていると、外を歩いていた人の一人が突然パーン!となったんだそうな。


 何か魔法を使ったわけでもなく、それでいて突然に。

 

 駆けつけた自警団と死亡原因を探した結果、身体中が鋭い刃物か何かで切り刻まれていたんだそうな。


 ふむふむ。この二つの事件はとてもよく酷似している。つまり・・・・・・。


「犯人は、同一人物だったんだよっ!」


「「な、なんだってー!?」」


「いや別に決まったわけじゃないんだけどさ」


「「・・・・・・ああ、そう」」


 こういう重苦しい雰囲気になるとどうしてもネタに走りたくなる。ああ、突込みがいないと何か喪失感が・・・・・・いや、余計な事を考えるのはやめよう。


「でも、同一人物だという可能性は十分にある。犯行手口は同じだしね」


「そうね・・・・・・でも、何でこんな事を・・・・・・」


 それは犯人にしか分からないというものだろう。殺した相手に恨みを持っていたか、偶然か、それとも人殺すのスキーな人なのか・・・・・・。


「・・・・・・『連続殺人犯の拘束、もしくは確保。犯人の生死は問わず、報酬は金貨5枚』」


 ルイーダさんがそんな事を言う。おいおい、これをギルドの依頼にするってか?


 冗談じゃない。誰がこんなイカれた野郎を探さねばならんのだ。


 てか拘束と確保って意味ほとんど同じじゃねえ?


 まあ、いい。


「その依頼、俺が受けよう。・・・・・・ただし報酬は倍だ」


「よろしくお願いね、期待のエース君」


 それはやめてくれと言った筈なんだけど。





「さって・・・・・・町中走り回ってでも、犯人は引きずり出してやる」


 人を殺す輩を黙って見過ごせる程、俺は人をやめちゃいねぇ。



 見つけたら・・・・・・とりあえずぶっ飛ばす。話はそれからだ。

 グロ表現が入るといっても最初の方だけでしたね。はい。


 本当は一話で纏めるつもりだったのに・・・・・・長くなったので二分割する予定でう。


 この『語られない日常』というのは、龍稀の行動があまりにも危険だったので私が隠蔽する予定だったのですが・・・・・・グロ表現注意が入ってるのに無いのはおかしいかと思いまして。はい。



 『日常』がキレイな龍稀だとすれば、『語られない日常』は真っ黒な龍稀・・・・・・といったところでしょうか。


 投稿して即座に元ネタ解説していないことに気づく。何やってんだ私。


「ビークール・・・・・・ビークール・・・・・・」

 元ネタ不明・・・・・・ってかあるのか元ネタ。


「金髪碧眼の飛行士」

 私の作者名の一部が使われている有名な電撃作家様の書いた小説の主人公。

 私の名前はこの人から考えたとかそういった大人の話は内緒だぜっ!


「そこの○○!そうだ、そこのお前だ」

 こちらも元ネタ不明。んー2ch用語かなんかなのでしょうか?


「○ナン君」

 見た目は子供、頭脳は大人のあの子。バーローですねわかりまアッ――――――ッ!


「○○だったんだよ!」

「な、なんだってー!?」

 MMR・・・・・・だったっけ?どこかで聞いたような・・・・・・ううむ。記憶が曖昧だ。




 最後のほうに不穏な言葉を残す龍稀君。いや、ぶっ飛ばすって・・・・・・あなたどこぞの魔王じゃあるまいに。

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