第31話~失踪者を探せ!~
前回のはプロローグ的なものだと考えてください。
「とは言ったものの・・・・・・何をすればいいやら」
ギルドを出た後、適当に食べ物をつまみながら考え中。
「・・・・・・まずは聞き込みからか?」
何か刑事ドラマみたいだな。まあいいか。
「・・・・・・・・・・・・収穫無し、と」
うん。本当に何もなかった。
「次は・・・・・・あのおっさんにしてみるか」
「ああ、その話なら・・・・・・情報になるか分からないけれど、一つあるよ」
「詳しく聞かせてくれ」
「どこかで聞いた話なんだが・・・・・・失踪している人たちは、皆同じ場所でいなくなっているらしい。それも跡形もなく」
「へぇ・・・・・・跡形もなく、という事は魔力なども全て?」
ちょっとしたメモ程度だが、人によって魔力の量や濃さが違ったりする。それで人を特定したりする事が出来る。
「ああ、そうだね。一回だけおとりとして若い女性をそこに立たせていたんだけど、ちょっと瞬きした瞬間にはもういないんだ。魔力の痕跡もなく、ね」
「魔法を使った訳でもない、と。落とし穴的な何かがあったんじゃないかな?」
「いや、後々そこを調べてみたんだけど、そこには本当に何もなかったらしいよ」
「へえ。・・・・・・で、そのいなくなる場所ってのは?」
「確か――――――」
「あんがとさん。助かったわ」
「いやいや。これでいなくなった人たちが帰ってくるといいね」
「おう。まあ出来るだけの数は救ってくるさ」
「うん。頑張ってね」
そして、黒髪の少年が歩いていった。
「・・・・・・今のが、『我々にとって邪魔な存在』、ね。どう見たって年相応の少年じゃないか」
ポケットの中にあった紙を引っ張り出す。そこには、
『黒眼黒髪の使い魔、リュウキ・カグラを亡き者にせよ』
と書かれてあった。
「はあ・・・・・・気が滅入るなあ。あの子はまだ将来有望そうなのに」
そう呟いた男は、そに最初から『いなかった』かのように、消えた。
「まさか・・・・・・ここだったとは」
巨大な門、巨大な建物。
『ラルグランド勇者養成学園』。
これがこの建物の正式名称となる。
「灯台下暗し・・・・・・か?まあいいや」
巨大な門をくぐり、中に入る。