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【第一章完結!】猫又でーす、異世界にいまーす。  作者: くろこげめろん
第二章 新大陸

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56 ネクスト

 二戦目、三戦目は特に問題も面白い展開もなかった。この有名な大会には当然さほど腕の高くない人も参加しているわけで、かなりの実力を持つのに一戦目で負けてしまったファルザンが少しかわいそうである。悪いとは思わないけど。


 四戦目の相手はなかなか強いようだ。ホログラムには戦績も表示されていたので少し詳しく見てみたところ、一戦目から三戦目までいずれも一分以内に無傷で倒しきっているらしい。


『次の試合は、アップヒル対ジェイト・スプリンド!』


 ジェイトという男は口元を黒い包帯で覆い、服装も真っ黒で目元だけ出している、忍者みたいな感じの男だった。彼の持つ剣はやや黒く魔力を帯びており、どうやら特殊な素材のようだ。


 試合開始の合図と同時に、僕が『タイドルキャノン』――水のかめ○め波を放つ。


「……」


 だが、ジェイトはそれを剣で真っ二つに斬り裂いた。


 なんと、剣が振るわれただけで水が見事に二つに分かれたのだ。

 水を斬り裂くとは、なかなかすごい剣だ。


 軽い身のこなしでこちらに向かってくるジェイト。その速さは僕の目にも追うのが難しいほど。

「せりゃっ!」


 結界を多重に展開しながら適当なところに剣を振るう。

 こちらの攻撃は当たらなかったが、むこうの攻撃も結界にひびを入れるだけにとどまった。


 そしてそのまま僕の周囲に『エクスプロージョン』をぶっ放す。


「どーん!」


 ジェイトは余裕で躱したようだ。僕の周囲にちらちらと敵の残像が見える。


 魔法を使った気配もないのに、僕に対しても残像を残せるとは……恐るべし、ジェイトの移動速度。


 だけど、爆発は簡単なカムフラージュ。


「……!」


 亜音速で飛ぶ岩石のホーミング弾を複数飛ばしておいたのだが、爆発に気を取られてジェイトは気が付かなかったようだ。


 ジェイトに当たる前にギリギリ剣にぶつかったようで感づかれるが、瞬時にすべて対処することなどできるはずもなくいくつかが命中する。


 はずだったのだが。


「がふっ!?」


 なぜか、僕が腹と胸に痛みを感じて吹っ飛ばされてしまう。

 結界は……破られていないはずだ! じゃあなぜだろうか……。


 瞬時に回復して距離を取るが、状況を分析する暇もなくジェイトが攻撃を続ける。


 鋼と鋼が猛烈にぶつかり合う。結界をすり抜けた原因不明の攻撃もあったことだし、結界があると言えどもあまり頼りにはできない。


 ならば、できるだけスマートに片づけた方がいいだろう。


「――『エクスプロージョン・ラグナロク』」


 状況を打開するべく、ハザードを倒した時のラグナロクスラッシュを再び試みる。


 莫大なエネルギーが僕の鋼の剣に宿ったのを見てジェイトの目に警戒の色が浮かんだ。


「喰らえ! ラグナロクスラッシュっ!」


 ばちばちと火花をまき散らす剣を大きく振って、敵の剣ごと首を刎ね――


「わぁああああああああ!?」


 途轍もない大爆発が起きた。訳の分からない状況に、とにかく結界をたくさん展開しつつ地面の上に水と上昇気流を出現させてぶつかる衝撃を和らげようとする。


 いちいち設定するのも時間がないし、フィールド全体にだ。


 利敵にもなるのはこの際仕方がない。


 とりあえず叩きつけられたダメージは軽減できたようだが、どういうことか、と状況を確認してみると、剣が根元でぽっきり折れてしまっていた。


 それで『ラグナロク』の魔力が暴発し、爆発が起きてしまったようだ。


 さっきのでジェイトが倒れてないかな、と奥の方を見てみるが、やたらめったらに結界を使ってしまったためあちらにもダメージは入っていなかったらしい。


 くそう、惜しかった。


「はあ……仕方ないかな」


 とりあえず折れてしまった剣の柄をぶん投げる。ひゅんと風を切って飛んで行く間に僕は剣を具現化させた。


「『スペシャルズ』。剣……えーと、鋼、ダイヤ、ミスリル」


 三種類の剣が宙に現れる。僕はそのうちの鋼の剣も風魔法で撃ち出し、ダイヤとミスリルの剣を両手に構えた。


 ジェイトの剣がどれほどのものかは知らないが、ミスリルって言葉からして強いし十分打ち合えるだろう。


 背後に『エクスプロージョン』をぶっ放しまくって加速に加速を重ね、一秒で反対の端にいるジェイトへ迫る。


「……!」

「これは勘だけどさ」


 二刀流での猛攻を黒い剣一振りで受け止め続けるジェイト。


「……タイムリミットあるでしょ? その身体能力」


 答えは返ってこない。だが、勘で構わない。僕の勘は当たる。……と信じている。


「三分? 五分?」


 上下左右から雨のような闇の弾丸が降り注ぐも、僕の結界にすべて弾かれる。


 開始から三分経つまで、あと十秒ほど。


「今だぁっ!」


 大きく振るったミスリルの剣は、


「……!」


 豆腐でも切るように、ジェイトの体を斬り裂いた。

 更新が少し止まっていてごめんなさい。いろいろ忙しかったんです……。

 ジェイトの能力について補足しておきますと、『三分間だけ身体能力向上+ダメージの反射などなど』という魔法です。能力名は一応ありますが、ここでは出てきません。

 でも、二章は長くなる予定なので、ジェイトがまた出てきたら能力名も分かるかも。

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