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【第一章完結!】猫又でーす、異世界にいまーす。  作者: くろこげめろん
第二章 新大陸

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39 空の旅~♪

 下を見れば、青い海。上を見れば、青い空。空の旅は青づくしだ。


「……よし」

「あぅ……」


 今、そらちゃんとギルガメッシュくんは二人で人生ゲームをやっている。今のところ順位はそらちゃんが勝っているといった感じだけど、そらちゃんが抜群にうまい。そしてそらちゃんの行動がすべてギルガメッシュくんの被害につながっていて、ギルガメッシュくんは非常に泣きそうだ。

 気球に搭載されているレーダーは、僕が視認できない遠いところもよくよく確認してくれる。本当に大陸がかなり向こうにあるのが分かっているが、そこへつくまではかなり時間がかかる。

 しかも、なにやら三角柱のような形の特殊な領域が海にある。その領域は視認できないものの魔力がとても濃く、海の中には大きなドラゴンみたいなやつがいるみたいだ。それは避けて通ることにしてある。

 他にも短期的にいきなり発生するトルネードや、近づくものを魔力の弾丸で撃ち殺そうとしてくる四角い魚とかがいるのでとてもめんどくさい海域である。出発してすぐには全然そんなことなかったのに。


「そういえば、あのくろいけんなおした?」

「ああ」


 雄太郎が回収してくれたらしい、魔王の大剣。まだかばんにしまってあるので、直していなかった。暇だし修復しておこうかな。

 かばんから取り出して、気球を傷つけないように切れ味を一時的に落とす魔法をかけておく。

 すっぱりときれいに切れているのでくっつけるだけで済みそうだ。ぴったりと合わせた後、魔法で溶かしてくっつける。……はい、元通り。

 ただ、玉座に戻す方法が分からない。どうしたものかな……。


「はいかち」

「うー……おねえ、たすけて……」


 これで何回目だっけ。もうギルガメッシュくん五連敗くらいしてるよね。

 恨めしそうに再戦を申し込むギルガメッシュくんだったが、そらちゃんは首を振って立ち上がった。


「あきた」

「ひどい! にげた!」


 ふたりの頭を両手でなでつつ進んでいると、鳥の群れが近づいてきた。

 ダークレッドの鳥の群れだ。一メートルくらいありそうな大型の鳥だが、リーダーらしい、群れの先頭はさらに大きかった。それがこちらへ近づいてくる。


「カー! カーッ!」


 先頭の鳥が何かを叫んだ。そらちゃんが気球の外へ目をやり、鳥を睨みつける。


「なんて言ってるか分かる?」

「……ん。ここらへんはなわばりだからひきかえせ」


 なるほど。じゃあ遠回りするしかないのかな。

 両手が離せないのでしっぽでレーダー付近のレバーとかをいじり、進行方向を少し大回りに変える。気球はすぐに方向を変えた。


「カー、カー! カー!」

「「「カー! カー!」」」


 うるさい……。


「ひきかえせっていってる、とおまわりしようとしてもむだだ、これからさきはぜんぶじぶんたちのなわばり」


 うわ、厄介だなあ。


「僕もこの先の大陸に用があるんだけど、ちょっとでいいから通して? お願い?」

「カー!」

「うわ!」


 こいつ、攻撃してきやがった。すぐに防いだからよかったものの、そらちゃんたちに当たったらどうしてくれるんだ。


「はんこうするきか? はっ、こちとらどらごんすらもたおしたことがあるんだ、にんげんごときがかてるとおもうなよ!」


 そらちゃん、翻訳にノリノリらしい。語調が面白い。初対面で声優になれると思っていた僕の目は間違っていなかったらしい。

 ばらばらと群れが散開し、僕の気球を取り囲む。


「えーと……『バベル』?」


 とりあえず同じくらいの数を出現させる。

 ……空中に青髪のちびっ子たちが現れた。みんな人型取ってるんだね、まあ怖い顔のブルーバードよりはるかにいいけど。


「おー、ひさしぶり! ぼくたちをまもってね」


 ギルガメッシュくんが偉そうにふんぞり返っている。自分の方が強い弟や妹がたくさんいるので、そらちゃん相手にはできない態度をしてみたのだろう。うーん、かわいい。


「カー! カーッ!」

「やれ! すすめ! おそれることはない、ただのざこだ! けちらせっ!」


 びしばし、ぼかすか。

 青と赤の入り乱れる空中戦が始まった!




「……カー……」


 明らかに狭かったので魔法で空間を拡張した気球の中。外から見たサイズはそのままに、中はだいたい公園ひとつくらいのひろびろスペースがある。すごいでしょ。

 とりあえず、僕が座っている前半分にはずらりと青髪のちびっこたちが剣や杖など各々の武器を持ってたたずんでいる。椅子は出してあげたし、別に座ってもいいんだけど。

 そして奥半分には気絶している赤い鳥たち、唯一意識を保ってこちらへ化け物でも見るような視線を向けているのがリーダー……ではなくナンバーツーらしいサイズの鳥。リーダーは普通に気絶している。


「死体蹴りは趣味じゃないから、とりあえずこのまま進むね」

「カー……」


 そらちゃん曰くしぶしぶ受け入れているそうだ。よかった。


「また通る時はよろしくね」

「カー、カー……?」

「ごめんなさい、でももうこないでいただけませんか?」自分で翻訳しながら顔をしかめるそらちゃん。「……まけいぬのくせに?」

「カ、カー!」


 そらちゃんが威圧を全開にするだけで、ナンバーツーはガクガクブルブルと震え始め首を縦に振った。こら、そんなおどかさないの。

 僕の隣でふんぞり返るギルガメッシュくんが視線で他の子たちへ指示を出す。全員が軍隊のように、無言で鳥たちを起こし、大空へ逃がした。


「えー……どうせ時間あるし、みんなで何かする? スイ○チもあるし、ス○ブラとか桃太○電鉄とかしない?」

「「「いやったあああああ!」」」


 ……やかましい。

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