竜が退治する方
ざまぁ表現があります。
好きな方はおすすめです。
本棚と一体化していたヤツはこちらをジッと見てから、近付いて来た。
怖い、後退りするが、もう一方の本棚に背中が付いてしまう。
そいつが手をこちらに伸ばして来る。
ああもう終わりだと思っていたら、腕を掴まれ、立たされてからダイニングに連れられてソファに座らされた。
黒髪は立ったままでいる。
窓から薄暗い部屋へ日差しが男の顔と体を浮かびあがらせていた。
ヤツは話し出す。
「まず、私はシリウス星人のルイと言います。
これから話す内容はエヴァン氏のことです。そして人間対宇宙人の関係の話しになります。
なのでよく聞いて下さい。」
やはり宇宙人迎賓館で会った男で本人も宇宙人のようだった。
何でオレに寄ってくるのか理由が分かったので、逆に少しほっとした。
そいつは続けた。
「人間が地球上で人間同士交渉を持つのは我々が関与するところではありませんが、対宇宙人に関しては違います。
あなたは宇宙人側のエヴァン氏に不貞を働いたので、処罰検討対象になります。」
オレは反論した。
「処罰?何言ってんだ?
そもそもお前がこの家に不法侵入しているのは何なんだよ、それこそ法律違反で処罰だろ」
「あなたもご存知でしょうが、宇宙人に対して日本、いや地球側は日米修好通商条約、つまり安政五カ国条約みたいなものを結んでいます。
なのであなたがどう主張しようと、人間同士の法律を持ち出そうと関係ないのです。
こちら側が良くないと判断すれば宇宙人側のルールに則って遂行されます。」
とルイは言ったが、不平等条約、って自分で言ってるようなもんじゃねえかと思った。
しかしニュースや本で知ってる数々の宇宙人と人間で起こったことはほぼ宇宙人側優位で解決している。
そもそも宇宙人は占領してもいいものをせずに付き合ってる方なのだ。
歴史の中の欧米と日本なんてもんじゃなく、ただ圧倒的に宇宙人の能力が高く、それから人間は莫大な利益を得ている。
それに比べたらたいしたことがないレベルの揉め事。
しかしそれが自分の身に起こったら話は別だ。
黒髪は続けた。
「日本での法律でも婚約は口約束でも破棄は違反ですが、エヴァン氏は地底人であり、地底人は宇宙人側のルールに準拠します。
私達宇宙人はアカシックレコードに残っている物を公式な情報としますが、それを閲覧するとこの世界線のエヴァン氏とあなたがした約束は婚約です。」
アカシックレコード、それは全ての良い行いも悪い行いも考えたことも、全ての過去今未来、全ての世界線の情報が記録されているらしい。
しかし人間には一部の者しか見る能力がない。
テレパシー能力を磨けば出来るらしいが、AIによって出来るように研究が進んでいる。
ルイというヤツは淡々と話す。
「そしてお分かりだと思いますが、私は今、あなたの考えていることをテレパシーで受け取りながら話していますので、嘘なども意味がありません。
それと、必要な情報はまとめて置いたのでこれをご覧下さい。」
そう話して小さな端末をテーブルに置いた。
テレパシー、普段なら勝手に相手の心を読むのは地球では宇宙人でも違法ということになっているが、法的なことや交渉などには認められている。
頭が痛くなって来た。
圧倒的不利。
対宇宙人専門の弁護士などを雇っても勝てる気がしなかった。




