その9
柔らかな感触で目が覚めた。
一瞬だけどここが何処だかわからなかった。
確か、ソファーで寝たはずなんだけど…。
これはベッドね。ヤダァ〜寝てる間に夢遊病者のごとく起き出してベッドに潜り込んじゃったの?
怒ってないかしら?
でも聞く勇気が持てないわ。
そこにシュナイダーがやって来た。
「よく眠れたかい?」
「ごめんなさい。私あなたのベッド取っちゃったみたい。」
「いや、それは問題ない。俺が君を運んで来たんだからさ。」
「え?重くなかった?見た目と違って太ってるから…。」
「そんなの気にならなかったよ。ついてるところはちゃんとついてるから問題ない。」
褒められて嬉しかったが、それと私がベッドにいたこととなんの関係もない。
聞かなきゃ…そう思った。
「ねぇ、私はいつまでここにいなきゃダメ?仕事もあるし。」
「それは考え中だ。今はまだ奴らの動きが読めない。どう動くかこちらからも探りを入れないとな。」
「そっ。」
ため息しか出なかった。
せっかくの個展だったのに…。
初めて持てた場所だったのに。
何処の誰だか知らないけれどその人に向かって悪態をつきたくなった。
ただ連絡だけはしたかった。
主催者に。
でもね?何処にいるかバレる可能性があるからダメだって。
腹立ってきちゃった。
「ねぇ、何か甘いものな〜い?私イライラすると甘いものが欲しくなっちゃって。」
「悪いが今すぐは無理だ。ここを離れるわけにはいかない。仲間の手が空いたら買って来させよう。」
「御免なさいね。なんか、あなたに八つ当たりしちゃって。個展は…もうダメね。貴方から連絡してもらえないかしら。都合が悪くなったから閉めたいって。」
「ああ、それは出来る。仕方がないな。またチャンスはあるさ。」
「ええ、そうね。きっとまた…。」泣きそうになったが泣くまいと我慢した。
リジーは適当な椅子に腰掛けて足をブラブラさせていた。どうやら退屈なようだ。
だがあいにくとここには何もない。
唯一あるのは本だが、サスペンスが好きな俺とは違ってきっと読まないだろうなぁと思っていた。しかし、彼女、リジーは適当な本を手に取り読み始めた。よっぽど退屈だったようだ。
「ねえ、シュナイダー。貴方はこの手の本が好きみたいだけど刑事ってみんなそうなのかしら?SPも。」
「いや、みんながそういうわけじゃない。恋愛本を読む奴だっている。それぞれまちまちだ。全く読まない奴だっているぞ?」
「そうなの?確かに本話読むという姿は想像できないわ。」
その時シュナイダーの携帯に電話が。
すぐに携帯に出たシュナイダーは真剣な顔で何か話し込んでいた。
そして通話を終えるとリジーに近寄った。
「奴らが動き出したぞ。」
「そう…、で私に出来ることは…何もないのよね。」「ああ、そうだね。君はここにいてくれ。俺達がかたをつけてくる。」
「それは大丈夫なの?心配だわ。」
「大丈夫。それは俺らの仕事だ。それに下手に君が動いたら君の友達にも被害が及ぶ可能性だってあるんだ。分かるよね?」
「ええ、分かるわ。だからここで待てばいいのよね。でも貴方がいない時に誰かが来たら?どうすればいい?貴方の仲間の顔全てを知ってるわけじゃないから…。」
「そうなったら逃げてくれ。ただし俺の携帯番号教えとくからそこに電話くれ。君の無事が知りたい。」
「わたしもそう。貴方と同じよ。」
2人は互いの携帯番号を登録し、リジーはその部屋でシュナイダーの帰りを待つことになった。シュナイダーはホルスターの確認をして部屋から出て行く。ガチャリと鍵がかかる音がはっきりと聞こえた。




