その14
表の2人には気づかれないように逃げる為に裏からコッソリと建物を後にした。
明るい場所まで来るとシュナイダーはイヴァンの顔を見た。
相当殴られたようだ。
眉が一部切れていた。
少し出血もしている。
「派手にやられたな。」
「仕方ないじゃん。挟み討ちで捕まっちゃったんだから。」
「リジーは?」
「わかんない。僕らの前からも消えたのはホント。でもどこにいるのかはわからない。彼女が行きそうな場所知らない?」
「いや、それはわからない。ただ知り合いはあまりいないようなことを言っていたと思ったが。」
「なら、行く場所は限られるよね。そこには君が行ってくれる?君の顔を見たら安心して出てくるだろうから。」
「ああ、分かった。さっ、行こう。」
「そうだね。ここから早く離れた方がいいね。」
2人はその場を後にした。
リジーはトムの住むマンションまでやってきた。
時刻は午後6時を回っていた。
この時間ならいるだろうか?
分からない。けど今助けを求めている私を放っておく人とは思えない。そう思って玄関のベルを慣らそうと近づいた時視界に見知らぬ男達が数人入り込んできた。慌てて近くの茂みに隠れると様子を伺った。
トムは知らずにドアを開け、首元を掴まれていた。
怯えているようだ。
首を横に振っている。
もうここまで…。
何処に逃げよう。
シュナイダーはどうなったんだろう。
その時携帯の音がなった。
リジーは慌ててマナーモードに切り替え電話に出た。
小声でボソボソと喋る。
「シュナイダー?どうしたの?もう大丈夫なの?」
「ああ、もう大丈夫だ。こっちは片付いた。今君は何処に?」
「トムのところよ。ここなら安全だと思ったのに…。あいつらがやってきたなんて。」
「あいつらって?」
「私の写真を買い取りたいと言っていた人の仲間よ、きっと。いたもの。展覧会で見た人の姿があったの。」
「それはまずい。その場を離れるんだ。すぐに奴らに見つかる。俺があくまで隠れられる場所はないか?」
「そうね……ってやばい。こっち見た気がしたわ。とにかく安心したわ。私がそっちに向かうわ。場所を指定して。そうね、駅なんかはどうかしら。」
「人が多いぞ?大丈夫か?」
「ええ、意外とバレないものよ。じゃあ、待っててね。」
リジーはそう言いながら携帯を切るとその場をすぐに離れた。
隠れるように。
急がなきゃ。
建物に隠れるとその場から猛スピードで走り出した。
後ろは振り返らない。
5分、10分と走っただろうか…疲れてしまって息を切らしながら目的の駅に到着した。
建物の陰に隠れるようにシュナイダーを探す。
シュナイダーはわかるように立っていた。
仲間がいるのか?
敵は?
リジーはここから電話をかけた。
「シュナイダー、あなた一人なの?」
「いや、近くには仲間が張り付いている。だが今は俺一人だ。」
「分かったわ。なら今からそちらに向かうわ。」
リジーはそう喋りながらシュナイダーの後ろに立った。そしてガバッと抱きついた。
驚いたのはシュナイダーの方で一瞬固まった。だが、リジーからの柔らかな香水の香りを嗅いで落ち着きを取り戻した。
「良かったよ無事で。」
「それはこちらも同じよ。他のお仲間さんたちが敵だったら困っちゃうけどね。」
「それはない。どうしてあのマンションから逃げたんだ?」
「それは…イヴァンが来たからよ。もちろん偽物だけどね。私の名前なんか聞いてもいなかったはずなのに、フルネームを言うなんて変じゃないかしら?」
「確かにそれは変だ。」
「だからね、慌てて外に出ようとしたんだけど、必要最低限しか持ち出せなかった。逃げるのに必死だったわ。」
「俺に連絡してくれれば良かったのに。」
「あの時はあなたに迷惑かけたくなくって。結果として余計迷惑かけちゃったんだけどね。」




