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十一。婚約破棄に至る過程

どうやら、ヒロインの頭の悪い口調は自分が攻略した取巻きたちの前でしか使わないようだと判明しました。

さすがに、普段からあの口調をする価値が感じられないのでしょう。媚びる必要性がある相手じゃないのですから。



乙女ゲームには存在しないおかしな校則は男性限定だけではありません。

もちろん、女性限定もあります。

それは、『可愛いアクセサリーなどを身につけない。小物を持ち歩かない』です。

実はこれも、現在このプライスレス学園で知らない者はいないといわれているヒロインことヴィーナス家のワガママ姫対策です。

ヒロインがプライスレス学園に侵略してきた当初、この校則を馬鹿にして無視していた女子生徒たちもいました。

ですが、徐々にではなくすぐに校則を無視した女子生徒たちに被害が出ました。

それは、ヒロインがプライスレス学園に侵略してすぐのこと。

「あら、このアクセサリー可愛いじゃない。あなたみたいなモブ顔には似合わないわ。この世界のヒロインである私のためにデザインしたアクセサリーじゃない。仕方ないわ。私が貰ってあ・げ・る♪」

そう言って、耳につけているイヤリングを無理やり引きちぎって抵抗する女子生徒から奪っていきました。

その後も被害が続出するのですが、ヒロインは不思議と自分より身分の高い女子生徒たちには手を出しませんでした。

学園側もおかしな校則を作ったとはいえ、『ヴィーナス家のワガママ姫と言っても、泥棒まがいのことをして人の物を奪う』なんてことを実際にはしないと期待していました。

被害が出た頃、学園側はヒロインにこれ以上、人の物を無理やり奪うことを止めるよう注意しました。

ですが、そんなことを言って聞くヒロインではございません。

ですので、学園側はヴィーナス家がヒロインに注意することを願って、『ヒロインが他人の物を盗んだら、ヴィーナス家に証拠提出して損害賠償請求』をすることにしました。

ヴィーナス家に証拠を提示するために、プライスレス学園は隠しカメラをいたる所(更衣室やトイレ除く)に仕掛け、ヒロインの行動を監視していたのです。

その結果は残念なことに、ヴィーナス家はヒロインを注意するどころか人の物を盗んで褒め称えました。

「えらいわ、ヴァージニアちゃん。自分に似合う小物やアクセサリーを見つけれるなんて。さすが、お母様の自慢の子ね」と言って。

ヒロインさん、そんなことでヒロイン補正を発揮しないでくださいよ。

今頃、ヒロイン補正が草葉の陰から泣いていますよ?


ヒロインが攻略対象たちの一部を攻略してワガママ度合いを増してきたある日、事件が起きました。

兄さん、事件が起きたのです。

ヒロインがはしたなくドンドンと音を立てるように我が物顔で廊下を歩いていた日のことです。

「もうっ、信じられないわあの女!あの可愛いネックレスはヒロインである私のものなのに、どうして大人しく私に渡さないのよ!ふざけないでよ――――!」

と、大声で叫んでいました。

またいつものことかとヒロインが攻略した攻略対象たち以外の生徒は、ヒロインを蔑んだ目で見ました。

人の物を盗って満足するヒロインは、今回はうまくいきませんでした。

ヒロインより身分の高いご令嬢が、ヒロインの行動を咎めたためです。

貴族としての身分に負けたヒロインは、その場は大人しく引き下がったそうです。一応は。

事件が起きたのはその翌日のことでした。

「サターン令嬢、お前が身につけているネックレスは勉強を学ぶには不適切です。これは、先生が没収しますね」

そう言って、オークショ先生はヒロインが欲しがっていたネックレスを所持していたサターン令嬢のネックレスを盗り上げました。

このプライスレス学園は、おもにお貴族様のご令息やご令嬢が通う学校です。

ご令嬢にいたっては、最低限のアクセサリーや化粧をすることはある意味義務付けられています。

これは、家が恥ずかしくないようにと学園側の配慮なのです。

なので、オークショ先生がサターン令嬢のネックレスを盗り上げたことは明らかな不当行為です。

頭を抱える問題と言うのは、次々と起こるというのがお約束。

ヒロインが見て気に入ったアクセサリーや小物をヒロインが女子生徒たちから盗り上げれない時は、オークショ先生を始めとしたヒロインの取巻きたちがその女子生徒たちから奪い取るようになりました。

それが続いた結果、ヒロインはたくさんのアクセサリーをつけることになりました。


ヒロインのワガママに大人しく従ったヒロインの取巻きたちのペッレルヴォ・スイトック様、エイナリ・ファジレル様、アハヴォ・マジーデ様、そしてそして大本命のスペード・オークショ先生は、家から自分たちがした行為の結果『婚約破棄』になったこと、今年の内に家からの信用を取り戻さなければ『廃嫡』になることを告げられました。

家同士の必要な繋がりなのに婚約破棄になった理由の一つは、ヒロインのために婚約者からアクセサリーや小物を身分を笠に着て盗り上げたというのもあるそうです。


ヒロインが転生ヒロインとしてバグってるから、ひょっとしてヒロインが攻略したということで彼らもその影響を受けたのでしょうか?

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