27 公園デビュー、湖だけど。
「あらあら、メイズ様、いつまでもお部屋で本を読んでいてはいけませんよ。」
「うん、わかった。」
メイズが知識というものを理解できるようになった位からメイズは本を読むことに夢中になった。それこそ、朝起きて、夜眠るまで。お昼寝の時間は本を抱えたまま寝落ちしているし、ご飯もランが呼びに来るまで読み続けている事が多い。
今日はメイズの公園デビューと言う事を話していたのだが、案の定メイズは本を読み続けていた。
ランにやさしく叱られ、本を片付けるメイズ。まだヨタヨタと歩くしかできないが、それでも自分でやろうとするメイズ。それをやさしく見守るランが居た。
メイズとナイーシャ、ランは数人の護衛を連れて、馬車に揺られていた。
「あれは、ナシカアリですね。小さな黒い実を付けます。赤い花弁と黄色い花弁が交互に生えるのが特徴です。」
今、車窓から見える景色に映った花の名前をナイーシャが聞く。それに対してメイズはスラスラと本で身につけた知識で答えた。
「メイズはさすがね。かわいい私の子。」
「そんな事ありません。凄いのは、本を書く人たちです。僕のこの知識だって本を読んだからですから。」
ナイーシャが褒めるとメイズが謙遜する。それがナイーシャには少々不満であった。もっと甘えてほしいのだ。
「ねぇ、ラン。なんでメイズはこう育ってしまったのかしら。」
「くすくす、そうですね。何故でしょう。」
小声でランに聞くナイーシャ。一歩離れて見ている事の多いランはそれに気付いていた。
メイズが、甘えるとかではなく、かわいい親孝行をしていると。しかし、それに気付いていないナイーシャは不満がっているのだ。ランは可笑しくなってきて笑ってしまった。
「御着きになりました。」
外から、護衛の声が聞こえた。
「うわぁああ…。」
メイズが感嘆の声を上げる。メイズが車窓を開けて見たものそれは…。
生命の息吹が感じられる青々とした木々が周りを囲み、一切の汚れなき透き通った蒼い水面が光を反射する巨大な湖であった。
「お気を付けください。ここには湖竜が出ると聞き及んでいます。」
「あらあら、大丈夫ですよ。」
護衛の言葉を遮り、ランが一切の心配事など無いと、バスケットを手に答えた。
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