太古の記憶
171話目です。
「……まさか、眠っておるのか……?
おい、オリバー」
「……ん……?
え……?……竜…?」
「何を寝ぼけている…?
修行はどうした、オリバー」
「…ってジラトじゃん!
え!?なんでこんな所にいるの!?」
驚いたオリバーは、重力に逆らうような動きを見せて立ち上がった。
「なんでなんで!?
ジラト!修行はどうしたの!?」
「まあ落ち着け、オリバー。
我は修行を終え、お前たちに会いに来たのだ。
逃げ出したわけではないぞ…?」
「凄いね!あの竜に認められたってことだ!」
「いや、完全に認めてもらうためには…
やはり、倒すしかあるまい」
「……そっか、そうだよね…。
その為に僕たちはみんな離れ離れになったんだから…」
「みんな違う場所で違う鍛錬をしていたようだな……ん?」
突如、音も無くアルケイン卿が現れた。
「竜人族……テオドールの仕業だな…?
やつはどこへ行った…?」
ジラトと一緒に入ってきたはずの老人の姿はいつの間にかなかった。
「お前がアルケイン卿……のようだな」
「ほう…儂に"お前"とは、さぞかし大物なのだろうな…」
「おーい、ちょっと!
変な空気になってるよ!
せっかく感動の再会してるんだから邪魔しないでよ!じいちゃん!」
「じいちゃん……ではなく先生だ…。
何度も言わせるでないぞ…?」
「我の方にもその名は轟いておるぞ、アルケイン。
世界的に有名な魔導王であろう?」
「そんな大層なものではない…。
ただ、人より長生きなだけだ…」
「我が若き頃からその名は聞いておるからな」
「かく言うお前も竜人族なんだ、相当に長く生きておろう…?」
「まあそうだな…。正確ではないが…数千年、か。
アルケイン…お前とはきっと、
昔語りをしながらよい酒を酌み交わせるであろうな」
「昔語り、か…。
もう語れる者もほんの一握りしか残っておらぬからな…。
……こやつらが旅立つ前までに実現させるとしよう…」
「ねえ!僕が置いてけぼりなの気づいてる?
二人ともここに何しに来たんだよ」
「オリバーに会いに」
「様子を見に」
「それはいいけど…。
先生。予想外だったけど、ジラトが来たんだ。
もう…行かなきゃならないんだ…」
「その程度で、か…?
まだ死に足りないというのか…?」
「いや、それはもうお腹いっぱいだからいらない。
死にに行くんじゃないよ。
竜王を、倒しに行くんだ」
「千年竜の背骨…。
本当に、挑むのだな…?」
「そうだね。
まだ完璧じゃないのはわかってる。
でも、試したいんだ。
今の僕が、竜王相手にどこまでやれるのかを…!」
「……死んでも知らぬぞ…」
「ありがとう、先生」
「先生……か…」
「オリバー、行くのか?」
「うん、ジラトが逆に迎えに来てくれたんだ。
もう準備ができてるってことだよね?」
「その通りだ。
では、行くか。
ヒルダとクラウンは街に居るらしい。
まずはそちらを迎えに行くとしよう」
「うん、わかった」
「……ん?……ジラト…と言ったか……?」
「ん?さっきから何度も言ってるよ?
え?実は知り合いだったとか?」
「ジラト…ジラト……ジラト………」
アルケインは暫く顎に手を当て考え込んでいた。
「そうか……!あの手紙……。
はて、あれは誰からだったか……?」
「アルケインよ、どうしたのだ?」
「お主の名が、遥か昔に届いた手紙に記されていたのだ…。
だが、誰から届いたものかは分からぬ…」
「その手紙はまだあるのか?
いつ頃届いたものだ?」
「その手紙は…何故か覚えておる…。
おおよそ、四千年前だ…」
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