加護
145話目です。
「のこのこ帰ってきやがったか。
自ら捕まりにくるたぁいい度胸だ。
何キョトンとしてやがる…!」
町民からまるで知り合いのように声をかけられた。
「いやいや!今来たところだから!
よくわかんねーよ!」
「そうだぜ?俺らはただの旅人で、
やっとの思いで町についたんだよ!
それでその物言いとは、そっちこそいい度胸だぜ」
『まあまあ、勘違いしてるだけだと思うから、喧嘩腰はやめよう。
本当に聞きたい話が聞けなくなるよ』
「たしかに、オリバーの言うとおりね。
疑われるのが気に入らないのにも同感だけど」
「何が…あったのですか…?」
ネフィアは町民に恐る恐る尋ねた。
「お前ら…本当に知らないのか…?
そこの大きめの屋敷があるだろう?
そこの家主が死んでた…いや、殺されてたんだよ」
『なんで殺されたってわかるの?』
「誰かにやられたとしか思えない死に方だったからだ…」
「もしかして…顔だけ執拗にやられてた…とか?」
「おい、ガッツ。んなわけねぇだろうが。
そりゃ俺の……」
「やっぱりお前らだな…?
現場を知らない口ぶりだったが、何故それを知ってる…?」
その言葉でオリバーたちは全員、クラウンの方を見た。
「ちょ、ちょっと待てって!今あった事件だろ!?
それなら俺には無理じゃんかよ!
お前らもそんな目でみんなよ!なんとか説得してくれよ!」
「まあ、お前らは違うんだろうな。
よくよく考えてみれば、そんな竜人族を連れた連中が、
訪れた町で殺人なんてやる動機もないしな…」
『普通は真っ先にそう思うんだけどね…。
なんで僕たちを疑ったの?』
「ああ…。外部の人間の犯行だろうって話になってるからだ…」
「なるほどな。そこに見知らぬ我らが訪れたというわけか。
これは運が悪かったな」
「運が悪いなんてもんじゃないわよ!
何でいつもいつも行く先の町でなんか起こるのよ!」
「そりゃ…俺たちにはなんの"加護"もねぇからだろ」
その言葉に町民は目を丸くした。
「お前ら全員か…?」
「あ?何がだ?」
「お前ら全員"加護"持ってないのかって聞いてるんだ」
「ハハハッ!そりゃ持ってねぇよ!
俺らは全員"呪い"持ちだぜ?
そりゃ不運にも見舞われるってもんよ」
「俺はそこまでなんだが…
この町で"加護"を持ってないやつらは、みんな虐げられてる。
黙っておいてやるが…もうその話はするな、いいな?」
そう言って町民はオリバーたちのもとを去った。
「ねえ、クラウン。
あんたこの大陸出身なんでしょ?
今のって常識的なことじゃないの?」
「すまねぇ…。もう何十年も帰ってないもんで……忘れてたわ。
この大陸は魔法絶対主義であり、加護絶対主義でもある。
要は魔法が使えなけりゃ加護を見られ、加護がなけりゃ…
こっからはさっきのおっさんの言う通りだ」
『また厄介な常識だね、それは』
ご愛読ありがとうございます。
これからの投稿の励みになりますので、
宜しければブックマークと評価をお願いします。




