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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第2章 動き始める日常

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31.剣術スキル

「モテモテでしたね。」


 中学生の質問攻めをキリのいい所で切り上げて、道場に併設されたカフェに入ると、莉緒が皮肉ってきた。


「子供にモテてもな・・・」


 俺が苦笑で返すと、莉緒も苦笑していた。


「道場の宣伝用の動画が出来たので確認してください。なるべく顔が映らないアングルを選んで編集しました。」


 そう言って、タブレットを俺へと渡してきた。動画を再生すると、アクション映画の予告動画顔負けの広告がそこにあった。


「おま、これ金が取れるくらいの出来栄えじゃねえか。」


「いりませんよ。良いデータが取れたので直紀さんへのお礼です。」


「なんか分かったのか?」


「先輩は何か感じました?」


「ああ、剣術スキルはぶっ壊れスキルだ。現役時代と遜色ない動きが出来た。そうじゃなきゃ、俺が今の直紀と張り合える筈が無い。」


「いえ、そこまでぶっ壊れスキルでもありませんよ。ぶっ壊れ性能に見合う対価を支払ってるかと思います。」


「対価?」


「これ、試合中の先輩のバイタルデータです。心拍が常に250を超えています。でも、先輩は殆ど疲れを感じてませんよね?多分、魔力を使って身体機能を一時期的に現役時代に近づけていたのかもしれません。」


「たしかに、魔力がゴリゴリ減っていたわ。魔紋にストックしていた魔力もほぼ空になったわ。」


「その代替わりしていた魔力を使い切っても、まだスキルを使い続ければ・・・」


「血管がドカンか?こえーな。」


「ま、その前に、魔力枯渇で気絶するでしょうが。あと、普段使っていなかった筋肉を思いっきり使っているので、明日は全身筋肉痛かと思います。」


「ゲェー。暫くはコチラでは剣術スキル封印だな。現役の頃の筋力と心拍機能に戻すのが先決か。」


「それが懸命でしょうが、現役に近づけるだけでも魔力の減り方は下がる気がします。憶測ですが。あー、なんとか魔力を測定する方法ないですかねぇ。そうすればその辺りも検証できるのですが・・・」


「無い物ねだりしても仕方無いだろ。あ、あと、今日、ここに泊まる事になったから。ホテルいっぱいだったわ。」


「さっき、真紀さんに聞きました。私と先輩の荷物は宿泊室に置いておきました。子供達から開放されたら上に来て欲しいそうです。」


「そうか。ありがとう。じゃあ土産を持って上に行くか。」


 そう言って、手持ちバッグから土産の箱を取り出し、莉緒と一緒にカフェの入口横にある階段で3階へ上がった。


 3階には3つのドアとインターフォンがあった。


「ど、とれだ?」


「あ、真ん中に来てくれって言っていたんだった。」


「それを早く言え。」


 莉緒がテヘッと自分の頭をコツンとやっているのを無視して、真ん中のインターフォンを押す。直ぐにガチャっとドアが開いた。


「もう、祐希ちゃん。久しぶりー。全然帰って来ないからおばちゃん寂しかったわー。」


 この人は直紀と真紀の母親で星野 宏美(ほしの ひろみ)さんだ。真紀同様、長身でスレンダーだが、中身は肝っ玉母ちゃんだ。


「ご無沙汰してます。おばさん。これ熊本のお土産です。」


「あらあら、わざわざありがとうね。もう祐希ちゃん、気を使わなくて良いのに!あら、貴女が莉緒さんね。まぁまぁ!可愛い!祐希ちゃんもとうとう彼女出来たのね。もう、おばちゃんヤキモキしてたのよ。あら、でも真紀が残念がるかしら。あの子もグズグズしてるからもう。」


「あ、おばさん莉緒は唯の大学の後輩です。こっちを見たいって言うので連れてきました。あと、俺も27です。そろそろ祐希ちゃんは・・・」


「あら、私とした事が早とちり?・・・でも無さそうね。祐希ちゃんも相変わらずでなんか安心したわ。」


「聞いてねぇー。」


「あ、こんな所でごめんなさい。中に入って。今日は()()にするって、直紀が言ってたわよ。皆で庭でBBQにするそうよ。今、直紀達が準備してるから、お茶でも飲んで待ってて。」


「失礼します。」


 中に入れて貰い、リビングに通される。


「お、祐希。こっち来て付き合え。莉緒さんもはじめまして。直紀と真紀の父の星野 拓也(ほしの たくや)です。」


「か、上中莉緒です。よろしくお願いします。」


「まぁ、そげん硬くならんじ、莉緒さんもどうじゃ?」


「い、いただきます。」


「あんま、無理すんな。お前芋焼酎ダメだろ。」


「そうなのね。じゃあ真紀の缶酎ハイでも飲むね?かあーさん!お願い!祐希はお湯割り(わい)で良かどね。」


「はーい!」


「あ、でも・・・」


「いいよ。遠慮すんな。好きでもてなしてくれてるんだから、遠慮する方が失礼だ。あ、7:3お願いします。ちが、逆!逆!お湯が7です。」


「良か良か。こんくらい飲まんか。」


「あ、ありがとうございます。」


 莉緒が苦笑しながら、おばさんから缶酎ハイを受け取っている。


「もう、おとーさん、早くから飲み過ぎです。まだ、晩酌には早いですよ。」


だけど(じゃっどん)嬉しかどが。こうして祐希が(よめじょ)連れて(つれっせえ)来て。」


 だから、ちがーう!


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