30.スポチャン公式戦に向けて
暫く練習を続けていると、直紀が上がり稽古の声を上げる。一層の気合いの声を上げる子供達を微笑ましく見つめながら、直紀の方へと歩いて行く。
「どうよ。スポチャンも面白しれどが。」
「そうだな。色々な武器も体験出来ってし、激しく体を動かして辛いはずなのに、皆、笑顔だ。自由度が高いから楽しいんだろね。」
「だろ。「僕の考えた最強の必殺技!」が実践出来っからね。上手くいくいかんは別として、制約が少ねとは考える余地が生まれっで楽しとよ。」
「あと、星陰流との相性も良かね。武芸百般のウチであればこそ、どんな武器の取り回しも教えることが出来る。」
「まさにそう!来月には、こん道場の初めての公式戦があっとよ。どこまで通用すいか楽しみや。」
「公式戦もあっとー?誰が出っと?」
「低学年はどんぐりの背比べやっで、選考時に調子の良か子やろね。高学年は、長剣は志村、杖は中島、槍は屋永かねぇ。小太刀は人気で候補が多かとよ。今日見て良かとおった?」
「小竹君なんておもろいかもね。」
「小竹かー。筋は良かどん、怖がりやっど。」
「さっき、「見るともなく見る」を教えてきた。練習次第じゃっどん、上手くいけば化けっぞ。」
「そいや、面白くなっかもね。」
「そいも、彼次第やけどね。」
「わかった。よー見極むっかね。・・・よーし!上がっどー!整理運動とストレッチ入念にせーよー。」
時間は17:30、中学生まではこの時間で終わりのようだ。
「こん後の予定はあっとか?」
「いや、ホテルに泊まろう思っちょっで、行こうと思っちょ。」
「は?おま、インター前の「ハニワ」か?予約しとらんちょ?」
「そや、昔から全然泊まり客おらんし、大丈夫だと思っちょっけど?」
「あー、知らないとか。湧水町は工業高校の跡地に、大手製材会社が誘致されて今、町はミニバブルじゃっど。ハニワもほぼ毎日関係者で満室じゃなかけ。電話で聞いた方が良かど。」
「マジか。ちょっ電話して来る。」
慌てて、更衣室にスマホを取りに行き、番号を調べて電話してみた。結果、満室だった。
「ダメやったー。しまった。まさかそんな事になってたとは知らなかった。どうしようかね。」
「ウチに泊まるか?合宿用の宿泊施設もあるし、別に良かど。じゃったら今日はもえにすっか?」
「おお、助かっど。集まいけ?」
「来れるやつだけで良かどが。連絡しみっで。」
「せんせー!終わりましたー!」
丁度、その時に子供達から終わりの合図があった。俺と直紀は子供達の正面に座り、今日の総評と連絡事項を伝える。
「来月の県大会前に、来週、道場内の選考会を行う。試合形式で3日間の勝率と内容で決める。悔いの無いように頑張れ!以上!キャプテン!」
「黙想ー!」
・・・
「やめ!正面に礼!お互いに礼!ありがとうございました!」
最後の礼をして解散となった。各々片付けを始めるのだが、3人の女子中学生がコソコソと話しながら、コチラをチラチラと伺っている。意を決したのか、3人で俺の方に近づいてきた。
「あ、あのー、つかぬ事をお聞きしますが、真紀先生とはどういったご関係ですか?」
「うん?唯の幼馴染だが?」
「ええー!ホントですかー?直紀先生がいつも大人の生徒さんに「俺に一本入れられたら真紀と付き合っても良い!」って宣言しているから、てっきり彼氏かと思いましたー。あれだけ強かったら、直紀先生に一本入れてますよね。」
「そりゃあ、子供の頃からやり合っているから一本くらいは入れてるが・・・、おい、直紀!お前は、そげんこち言っちょっとか!」
「一般の部の殆ど男は、真紀の動画を見て入門しちょっからね。モチベーションを上げる為のアヤよ。アヤ。」
「かぁー!真紀は知っちょっとか?」
「知っちょっど。絶対に入れられんち思っちょっで、黙認しちょうど。入会費も入っしね。しっしっしっ!」
「・・・こん兄妹は。はぁ・・・。そう言う事みたいだから、ご期待応えられる答えは言えないかな。俺は対象外だ。」
「「「えー!!」」」
「あ、あのー。質問いいですか?」
次は男子中学生の集団だ。
「いいよ。」
「あの、直紀先生との立合いの時の後ろに・・・」
暫く、質問攻めにあった。
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