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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第1章 転生!?

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12.ダルトン

「こんにちは。(いびつ)さは、偶々見つけられただけだと思います。」


「ふーん。偶々ねー。じゃあ、計算も偶々なのかな?小さいのにあんなに早く計算できるなんて、何かスキルでも持っているのかな?・・・おっと、これはマナー違反か。」


「うーん、スキルを調べた事が無いので、スキルがどのようなものかわかりませんが、何故か数字が思い浮かびました。」


 とりあえず誤魔化しておく。リノの記憶では、ステータスウィンドウなどというファンタジーは、この世界にはないらしい。


 孤児院に、保護されている子供の情報なので、世界のどこかにはあるかもしれないが、リノの8年間の生活には出てきていない。


 だけど、スキルは認識されている。これは、特定の魔道具で調べることができるらしいのだが、国に一つか二つしかないらしく、調べるにもそれ相応の金額が必要らしい。


 なので、一般人はあまりスキルを調べないし、聞くのも財力を聞いているようなものなので、マナー違反となっている。


 逆に、為政者や軍人、傭兵や冒険者、商人など、力や財力を誇示したい者は、自分自身の()をつけるために、無理してでもスキルを調べて、喧伝する者もいるらしい。


「へえー、ちょっと問題を出すけど、答えてくれるかい。」


「はい、どうぞ。」


 そこから、ダルトンがいくつかの計算問題を出してきた。最初は、4桁の加減だけだったが、俺がスラスラと答えるので、そのうち、乗除も交じりだした。オイコラ、流石に3桁の乗除は、暗算難しいわ!


 アルルは、最初こそ俺と一緒に暗算していたが、その内、手計算をはじめ、乗除の時点で計算を諦めていた。シンシアは、驚愕の顔のまま俺を見ている。口空きっ放しだよ!


「すごいな。これは、本当にスキルを持っているかもしれないよ。」


 いいえ。地頭です。あ、建築設計スキルの、複合スキルの中に、計算スキルがあるのか。でも、特にスキルを使った感覚はないな。自分に処理しきれる範囲だったからかな。でも、これはチャンスかもしれないな。


「あ、あの、僕、仕事がしたくて、この計算できる力を使って、出来る仕事ありませんか?」


「あれ?でも、君はシンシア嬢のところの・・・ふむ、何か、訳有りかな。」


 ダルトンが、ジッと俺を見つめる。


「僕、土木現場で失敗しちゃって。まだ、体が小さいから、力仕事向いていないと思うし・・・、別のお仕事で、みんなの役に立てたらいいなって思って・・・。」


「こ、コラ、リノ!すいません、突然。この子、院の経営が厳しい事を聞いちゃって。私は、無理しなくて良いって言ってるんですけど、院長が・・・」


「ふむ、孤児院の、状況にはあまり詳しく無かったので、失礼しました。そうですねー・・・。では、私のところで働いてみますか?」


「「え・・・?」」


「いえ、最近、おかげさまで忙しくさせてもらっていて、従業員がアルルだけでは、手が回らなくなってきたのですよ。かといって大人一人を雇うには、まだ少し売り上げが心許ない。では、将来有望な若い子をと、思っていたところなので、こちらも願ったり叶ったりだったりするのです。」


「それは、とてもありがたいお話ですが、私達の一存ではお答え出来ません。帰って、院長にも相談しないと・・・」


「それもそうですね。私も、リノ君の能力に興奮していたみたいですね。では、こういたしましょう。お二人とも、荷物があって、この鍋を持って帰るのが無理そうです。私がこれを持って同行して、院長様にご挨拶に行きましょう。」


「いえいえ、それは流石に悪いですよー。院長もいるかわからないですし。」


「院長様が、お忙しければご挨拶は後日で構いません。お恥ずかしながら、長年、この街で商売をさせてもらいながら、孤児院が、どんな現状かを把握しておりませんでした。見学も兼ねて、同行させて頂けませんか?」


「院長に、院は、人にあまりお見せするものでは無いから、勝手にお客様をお招きしてはならないと、言いつけられているんです。ご容赦頂けますか?」


「流石に、そこまで言われてしまっては、私も無理を通せません。後日、アポイントを取ってお伺いしましょう。鍋は、アルルに孤児院の門まで持たせましょう。いいかい?アルル。」


「はい!お任せください。」


「ご理解頂きまして、ありがとうございます。院長には、都合を聞いておきますね。」


「よろしくお願いします。あ、鍋の値段ですが、無理を言ったり、お時間を取らせてしまいましたので、30,000ダリにさせて下さい。勿論、ヘラとお玉もお付けします。」


「いえ、それは流石に・・・」


「構いません。今後のご縁の為でもありますので。今後ともご贔屓に。」


 そうニコリと笑うダルトン。


「あ、ありがとうございます。助かります。」


 シンシアが、恐縮しながらお礼を言った。その後、会計を済ませて、3人で出口に向かうと、ダルトンが後ろから声を掛けてきた。


「あ、リノ君。院長様の都合が分かったら、()()知らせに来てくれるかい?」


 と、言って軽くウィンクするのだった。


 このオッサン、なんか察してるなー。


お読みいただきありがとうございます。

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