28話
「…っ」
オリビアが目を覚ますと、遥か高いところに土の天井が見えた。
(ここ、どこだ)
起き上がって、辺りを見回すと、地面も空間も広がるドーム状の空間にいることが分かった。
(ダンジョンの中か)
そして、手を縛られていた。
(こうなる前のことを思い出せ。確か、街であいつの声が聞こえてきたと思ったら、急に眠くなって…)
「あら、目が覚めた?」
女性が顔を覗き込む。
「ジェイ…!」
「あんたに呼び捨てされる筋合いはないわ」
かつての仲間、ジェイがいた。
「私を捕らえて、どういうつもりなんですか?」
オリバーにとっては、大事なパーティーメンバー。
オリビアにとっては、一度顔を合わせた、まともに話してもいない関係。
ジェイに連れ去られる心当たりが全くなかった。
「あんたは、人質よ。リーフを呼び出すためのね」
「リーフ?」
今さら関わろうとする理由が分からない。
リーフの追放を言い出したのはジェイで、誰よりも見下していたのに。
「オリビア!」
リーフたちがやってきた。
「リーフさん!来たら、駄目です!」
オリビアの無事を確認すると、そばにいるジェイをきっとにらみつける。
「やっぱり、ジェイだったんだな」
「あら、気づいてた?」
「お前、筆跡変えようとしてないみたいだからな」
「そうね。指名手配されているし、今さら罪の一つや二つ露見しても気にしないわ。どうせ誰も私を捕まえられない」
「ああ。ここに来るまでに、モンスターと全く遭遇しなかったのもお前の仕業だろ」
「ジェイはテイマーよ。どんなモンスターだって、使役できる」
指をパチンと鳴らすと、地面からたくさんのモンスターが出てくる。
「大切なお仲間を傷つけたくなかったら、おとなしくしててね」
そう言われると、太刀打ちできなかった。
(ジェイ、いつの間にそんなことまでできるようになったんだ。そんなことができてたら、あの日みんな襲われることはなかったのに)
「それがお前が盗んだ禁書、悪魔の魔導書の力だな」
(悪魔の魔導書だと!?)
その名の通り、悪魔に関する魔導書。
悪魔を召喚することや、悪魔しか使えない禁忌の魔法を使うことができる。
それがあれば、世界を支配することもできるため、城や教会の奥深くに封印されている。
「これさえあれば、どんな悪魔も私は使役できる。世界は私の思うままよ」
おーほっほっほと、高らかに笑いあげた。




