体を使う魔物2
前回までのあらすじ
村をアイヤン族に襲われ、若くして村を離れた秋風ユウタ。
村を離れた時、彼は10歳だった。
そんな彼にも仲間はいる。
途中で出会った、リュウマとカイジだ。
自分の村を襲われた復讐をするためにユウタは勇者になる。
山あり谷ありの冒険をしながら、村を襲ったアイヤン族や、アイヤン族に協力した魔物と戦う!
そして、新しく魔物が登場!
この魔物が現れたことで、リュウマの顔は青ざめていた。
リュウマは青ざめた顔ながらも宣言する。
「おい、こいつ、倒すぞ!」
ユウタとしては、こんな顔のリュウマを見るのは初めてであった。もちろん、それより後に出会ったカイジにとっても初めてである。まあ、倒さねば、のちのちリュウマから恨みを買うハメになるだろうから、倒さないわけにもいかない。
ユウタは、ちょっとアレなリュウマに代わり、先陣を切った。
バシュ!
ユウタの剣が風を切る。いや、風しか切れなかった。魔物はユウタの剣の先にいたのだが、素早く避けてしまったからだ。ユウタは驚いた。
ユウタの剣を避ける者はたまにいる。普通に避けたぐらいで、ユウタは驚かない。ユウタが驚いたのは、魔物が、ユウタの剣を避けていたはずなのに、ユウタの剣が変形し、使い物にならない状態へと変貌していたからである。
「な、なんで…?」
「簡単だよ、剣に横から力を加えたら、曲がるのさ」
魔物はいとも簡単そうに答える。
しかし、その内容はユウタにとって到底理解できない内容であった。
「どういうことだ…?」
ユウタがつぶやく。魔物は当然のように答える。
「ほら、そこにある岩を見てごらん。今からやってみせるから、よーく見ておくんだよ」
魔物は近くにあった岩を指さした後、その岩に近づき、片手で岩をつかんだ。
その瞬間、信じられないような出来事が起こった。
バリン!
岩が、割れた。
は?
驚かずにはいられない。
岩が、粉々に。
なっている。
なっている。
みんなの頭の中は、上のように、真っ白になっていた。
冗談じゃない。
こんな魔物に、どうやって勝つんだ?
もう、詰んだんじゃない?
この静けさを破ったのは……
「力がどうとか関係ない。絶対倒すぞ」
怒りに満ち溢れていた、リュウマだった。
「はぁぁぁぁ!」
リュウマの剣が、振り下ろされた。
バシュン!
斬れた。
魔物を。
魔物がつぶやく。「な、なぜ、なぜ斬られた……?」
リュウマは、「お前の速度を超えただけだ。剣を曲げられ、岩を片手で割れるほどの力があろうが、その速度を超えればお前は斬れる」と答えた。
魔物は、その言葉に感心し、受け入れるように答えた。
「そうか、あのまも…バシュン!
魔物が言葉を発していたとき、リュウマはバシュン!と、トドメの一撃をさした。
魔物は、消滅した。
「えっ?」
ユウタはとまどった。相手がしゃべっている途中で攻撃するという行為がユウタには受容できなかったからだ。カイジもユウタと同じようだった。
「さあ、行くぞ」
そう言いながら振り返ったリュウマの目は、まるで魔物のように残虐な目だった。
次回予告
リュウマが放った剣。斬れた理由とは……?
なぜ、リュウマは魔物が話しているのに、その途中を斬りかかったのか――?
10歳で勇者になった男。第22部分「体を使う魔物3」は、6月初旬ごろ公開の予定です!
お楽しみに!




