7.アレックスとカトリーナ嬢
わかっているのだろうか?
これでは聖女・リーナは「今後王都以外の瘴気を祓います」と陛下に宣言しているようなものであることを。
「ふぅ、「気が付かなかった」「知らなかった」で話がすめば楽だよねぇ」
「えっ?」
「現・第1王子は廃嫡しようと思うんだ。貴女のように人を貶めるような人を王室に入れるわけにはいかないからね」
「しかし、王子は他には!」
「「知らなかった」んだろうね。エドも君も。辺境伯のところにいる子が王家の血を濃く継いでいることを。辺境伯は我が弟、つまり次期辺境伯には王位継承の権利がバッチリあるんだよ。次期辺境伯とカトリーナ嬢を王都に。エドと君を辺境に送ろうと思う。どうだい?」
そう話す国王は笑ってらっしゃるが、瞳の奥が怒ってらっしゃる。
「次期辺境伯を次期国王に据えようと思ってるんだ。当然その奥方は王妃となる。どうだい?」
「……」
リーナの内心は何なのこの私が王妃になるはずだったのに!!目障りなあの女を辺境に送る事ができたのに。
だろう。
王家の影を侮ってもらっては困る。これで飯を食ってるんだから、このくらい当然。
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「っ、今更なんだよ……」
「どうしたの?ルド?」
「国王から召喚命令。それもアレックスとカトリーナ嬢」
「なんか面倒なことになりそうね」
「え?今更王都とか嫌なんですけど。私はここの自然一杯の暮らしが気に入ってるんです」
「カトリーナちゃんは良い子ね~」
「カトリーナ嬢、スマン!私が身分を隠してたというか言ってなかったせいだ。言ってしまうと、私は国王の弟だ。アレックスとカトリーナ嬢を召喚って、アレックスに国王を継がせる気か?」
ああ、一人っ子の王子は頭がお花畑ですからね。って私は嫌だ。アレックス様と継ぐなら、辺境伯を二人で継ぎたい。ワイバーンちゃんもたくさんいますし、パラダイスです!
国王的にはエドワード王太子を廃嫡して、辺境に送りたいんでしょうね。そして、国王には誰がなるかですが、白羽の矢が立ったのがアレックス様なんでしょうね。迷惑な話です。
「俺は行かねーぞ!」
「そうは言ってもだなぁ、一応これは国王からの召喚状であるわけで、一貴族が逆らえるものじゃないわけだよ」
「でも、父上の兄上なんだろ?」
「だからこそ、断れないよ……」
王都まで時間かかるけど行かなきゃなんない。貴族だし。ワイバーンちゃんで飛んでいけたら早いけど、すごい騒ぎになりそう。号外とか出るんじゃない?レベルの大騒ぎ。ワイバーンちゃんが羽を休めることが出来るのは王宮の庭くらい?
「はい!ワイバーンちゃんで行くのはダメですか?時間かからないし。ワイバーンちゃんは王宮の庭で休息をしてもらったらいいと思います。そこらへんはお義父さんが国王様と交渉してください、お願いします‼」
どうだ、未来の娘からのオネダリ。正直、ここから王都まで普通に馬車での旅だったら2週間とか?ワイバーンちゃんだったら、ひとっとび!なんだけどなぁ。…馬車は酔う。
面倒なことに巻き込まれちゃった…みたい。