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魔族の将、二度目の人生を自由に生きます  作者: 灰銀朔太郎
第四章『ルマロス帝国』

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38/99

第38話



 夕方、王都に戻りまだ開いていた冒険者ギルドで報告をすませてからヴァルハラガーデンへ戻った。

ルキアと料理を食べながらぼんやり壁に張られた世界地図を眺める。


「この国って結構左上にあるんだな?」

「そうですね、大陸の左上がクレア王国、北にはレスティアス神聖国、南西がルマロス帝国で南部にルドラ王国、北東には廃都オーロンがあります」

「俺の時代にあったのはルドラとレスティアス、それと滅ぶ前のオーロンだ。ルマロスってのは知らんな」

「ルマロスは人間至上主義の国ですね。まだ建国されて新しいです。10年ちょっとしか経っていないんじゃないですかね、元々獣人族の国だったのですが侵略されてルマロス帝国が出来ました」

「住んでた獣人連中はどうなったんだ?」

「私もそこまでは…申し訳ありません」

『散り散りになりました』

「!?」


 クオンがオレ達と同じテーブルに座っていた。


「いきなり現れるなよびっくりするだろ…」

「申し訳ありません。あっすみません給仕さん、私にも水、それからこの料理をください」


 メニューを指差して料理を注文する。


「この国でも獣人はほぼ見かけない。ルマロス、の前の国?を追われた獣人が散り散りになったと言ったが具体的にはどこへ消えた?」

「ほとんどは殺されました。元々広い国土に氏族ごとに集落で暮らしている形態を取っていたので獣人族の王国や国王がいた訳では無かったのです。人の大群にはなす術も無く氏族毎に各個虐殺、略奪され他氏族はもちろん、同じ氏族ですらバラバラの散り散りです」

「それは、なんと言っていいか…」

「同情はいりませんよ。しかも貴方達は魔族、私たち獣人と同じ()()()()()()()です」

「人間を恨んでいるのか?」

「別に人間という種族全体に対する恨みなどありませんよ。我々獣人も強い者が上に立つべきであるという魔族に近い考え方を持っていますし」

「負けたのが悪いってか、例え氏族毎に数の差で押しつぶされたのだとしても」

「そういう事です…まぁ、ルマロス一世が目の前に現れたら殺しますが」

「ふーん」


 運ばれてきた豚肉のステーキをぺろりと平らげて『すみません、これと同じ物を』と頼んでいる。

 細い体のどこに消えてるんだろう…。


「で?お前がクレア王国の密偵なんかやってんのはなんでだ?」

「教える必要がありません」

「まー聞かなくても大体察しはつくけどなー」

「…知ったかぶって情報聞き出す算段ですか?その手には乗りませんよ?」

「故郷を追われてここクレア王国に落ち延びて冒険者、スカウトされて密偵だろ?」

「まぁ、そうですが」

「密偵になった理由は、散り散りになった家族探しって所か」

「…」

「生きてるのか?」

「…わかりません、ですが戦った男性の獣人は殺され、残りは労働奴隷に。囚われた女性はペットや性奴隷として自国で消費されたり他国に輸出されたりしたようですね」

「てことは女か。姉か妹、…なるほど妹か」

「うぅ、まんまと喋らされてしまいました…」


 そういうとクオンは2枚目のポークステーキを平らげてシュっと消えた。

 ふーん、なるほどねぇ。


「行ってみるかぁ、ルマロス」

「ゼノ様はお優しいですね?」


 ルキアがちょっと拗ねている。


「ちげーよ、ルキアと旅行したいなって話だよ」

「ほんとーですかねー…」


 ジト目でこちら見てくる。


「本当、本当」

「もー…」


 国の暗殺や諜報を司る暗部のトップレベルであろうクオンが未だに見つけられていないのなら、クオンの妹とやらはクレア王国に売られてはいない。

 レスティアス神聖国も無い。

 ドワーフが住むルドラ王国は昔から色んな人種が出入りしており魔族相手ですら寛容だ、獣人が逃げ込んだのなら地理的にもルドラが怪しいが、捕らえられたのならばやはりルマロス国内であろう。




 まぁ、旅行がてら見てみるか。

 出来て10年ほどのルマロス帝国とやらを。



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