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ツンツン
名前の書いてない傘であり。
ま、あれだよな、高校生にもなって、
山吹シンジなんて油性ペンで名入れできっかよ。だせえよ、そんなの。
小学生じゃあるまいし。
そんなわけで。俺はびしょ濡れで濡れて帰り。
藤島のやつは、女子にモテたい(好感度を上げたい一心で、
俺の傘を持ってして、
「橘ヒナタさんー!傘ないの?
俺の傘、入る??」
とスマートに声かけてた。
橘ヒナタ。
俺の幼稚園時代からの幼馴染。
幼馴染っつっても、ただの幼馴染じゃない。
超絶美少女にして、雑誌の読者モデル。
名前は可愛いが、
性格はあんまり可愛くない。
気心の知れた仲ってことで、
俺にはツンツンしてるんだ。
挨拶くらいはするけどな。
基本的に素っ気ない。
バレンタインにチョコもくれるが、
「義理だかんね!そこんとこ、
誤解しないよーに!」
「失敗作だかんね!
勿体ないからあげるんだからね!」
などと、余計な一言を言う女...。
「あ、藤島くん。
お言葉に甘えて、入れてもらおっかな?」
「うん、いいよ。ほら」
バサっと勢いよく我もの顔で俺の傘を
開き、
彼女を入れ込んだ。
そして。
「もっとくっつけよ」
などと言われて、
照れてる。
ひとの傘で、イチャイチャしやがって...!
俺はいつも遠目で、
その光景を見てることしかできなかった。




