偶の休日4
思ったよりも早く、サニャは僕達の所へ帰ってきた。
見た所、怪我なんかもしているようには見えず、取り合えずホッとする。
「それで、どうだったわけ?」
皆を代表して、シスターがそう訊ねる。
すると彼女は少し困ったように、左手で頬を掻いた。
「何個かあってね。どう話したものかな」
「トリアエズ、ジュンに話しなさいよ」
「そうだね。一つはスズがライラ様に言われた事と同じだったよ」
その言葉に、スズさんの表情が固まった。
周囲も緊張感に満たされていく。
そんな空気を払拭するように、サニャは大袈裟に肩を竦めた。
「直接は言われなかったけどね。状況が変わったから一度屋敷に連絡を取るようにってさ」
「どう言う事? あの女は仲間にあの件を伝えてないって事?」
シスターが腕を組んで疑問を口にすると、サニャが「それが次の話に繋がるんだ」と話を続けた。
「ユクエフメー!?」
驚き、声をあげるスズさんにサニャは頷いた。
「とある任務中、十名程の団員全員共に行方知らずなんだってさ」
とある任務というのは、やはりこの前の件なんだろう。
その後の連絡も一切なかったという。
「となるとあの後、山賊にでも襲われたのかしらね」
「やれやれ、戦の敗残兵みたいな話だなぁ」
シスターの発想にサニャは大袈裟に首を竦ませた。
しかし、こう言っては不謹慎だけれでも、結果としては良かったのかも知れない。
スズさんやサニャの裏切りが知れ渡ることも無くなった訳だし。
だけど、人の不幸を喜ぶなんて、完全に悪い人の考えだよなぁ。
ちょっぴり自分に嫌悪感。
すると横合いから頭を叩かれた。
「またそんな顔をして、八方美人は嫌われるよ」
「ソーソー、アンタは関わり合い無いんだから。ザマーミロ、位思ってなさい」
「はぁ、なんとも教育に悪い事言いますね」
「今更、頑張る、私達が」
「そうですねー」とセンリンは呑気に相槌を打った。
まぁ二人がこういう会話に加わらないのは、いつもの事だけど。
「カブリオレ団長がここに居たのも、行方を捜すための調査って事らしいよ」
「ダンチョー自らってのが世知辛いわねー」
「まぁ仕方ないよ。あんまり人手が多い訳でもないしさ」
「しかしお前、随分軽く情報を漏らすわね」
シスターは意地悪な笑みを浮かべてサニャを揶揄う。
確かにああいう事があった訳だけど、まだその事実は知られていないのだ。
それなのにポンポンと内部情報を口にしていいのかなとは思う。
だけどサニャは余裕の表情で口角を上げた。
「あれ? 私達はもう仲間だと思っていたんだけどね」
「違うのかい?」という問にシスターは鼻をならして視線を逸らした。
「そんな事有りませんよ! サニャは仲間です」
「そ、そうだよ」
「いやー、二人は素直で良いなぁ。そう思わないかい先輩?」
「お前、本当良い性格してるわ」
顔を赤くして悪態をつく姿は、口調に反して微笑ましい。
「で? それならもう一つの件も話してくれるのかしら?」
「ん、なんの事だい?」
とぼけるサニャにシスターは鼻で笑って追撃をする。
「お前個人にも何か話があったんでしょ? でなきゃ、この程度の話でスズを省いたりはしないわ」
「やれやれ、まぁ別に大した話じゃないんだけどね」
サニャは苦笑気味にそう口を開いた。
「実家からも一度帰るように話が来てたんだよ」




