表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/117

賞金首

少年side

「懸賞金?」


 ベッドで体だけを起こし、僕は間の抜けた声を上げた。

 お医者さんに見て貰い、体の方は取り合えず問題はないとの事だった。

 だけど念をいれて少し安静にするようにと、皆で話が纏まっていた。


 話を元に戻し、懸賞金だ。

 なんとも聞きなれない言葉だけれど、悪い事をした人がかけられたりするあれの事だろうか。


「それで合っているわ」


 シスターがなんとも頭が痛いとばかりに手を当てる。

 僕が眠っている間に、あの女の人から話を聞いたらしかった。

 なんでも国が大々的にかけているものではないらしく、誰かが個人的に依頼しているとか。


「言っとくケド、ワタシ達はカンケーないからネ」


 言い飽きたとばかりにスズさんはそう念を押した。

 しかし今の所、僕に賞金かける思い当たりなんて第三騎士団(そこ)しか思い浮かばない。

 その為か、シスターもバカにしたように彼女の言葉を鼻で笑う。


「私が言っても意味ないだろうけど、スズの言う通りそういう話は聞いてないな」


 スズさんを擁護するようにサニャもそう口にする。

 だけど彼女が言うように、同じくあちら側の人間だ。

 二人揃って無関係と口にしても、信憑性はあまりにない。


「ううん。僕は信じるよ。二人の言葉だもん」


 だけど僕は二人を信じたかった。

 それにペルシアがするならば、公的に募える筈だ。

 何より騎士団なんかじゃなく彼女達個人を僕は信用しているのだから。


「可愛い事言ってくれるじゃないか」


 感激したサニャが僕を抱き寄せようとする。

 しかしすんでの所で、ソーラが彼女を突き放した。


「なんだいソーラ。意地悪だね」

「安静、動かさない、絶対」


 拗ねるサニャにソーラは語気を強めて再度突き放した。

 高所から落ちたという事から、ソーラは凄く厳しく僕を見張っていた。


「メイドの言うトーリよ。ナニが有るかワカらないんだから」

「ちぇー、なんか私の時より皆優しいよね」

「オマエね、年考えなさいトシ」

「はいはい、年若い男の子の方がそりゃあ皆可愛いでしょうとも」


 サニャは冗談めかしていじけて見せる。

 スズはやってられないとばかりに首を左右に振った。

 とは言っても重症度合いからすればサニャの方が酷いだろうし、彼女の言い分も分かる。


「そういや、サッキからズイブン大人しいじゃない」


 ふと部屋の隅で静かにしているセンリンにスズさんは言った。

 確かに先程から一言も喋っていない。

 僕の意識が戻った時も、スズさんやソーラが泣きつく中、彼女は後ろの方に居た気がする。

 こういう時は、センリンも我先に飛び付いてくる印象なだけに少し不思議に感じた。


「センリン、具合悪いの?」

「いえいえ、そんな事はありませんよ。元気ですとも」


 なんでもないと返答する彼女だけど、その様子も何処か物静かであった。

 なんともらしくない雰囲気に皆は一様に首を傾げた。


「まぁいいや。所でその懸賞金、とやらはどうするんだい?」

「ソーネ、元をツブさないと延々とムラがって来るわよ」


 二人は面倒くさそうに、ボヤいた。

 確かに依頼を取り消さない以上はさっきみたいな事が続くだろう。


「安心なさい。連絡のつけ方も聞いといたから」


 そう言うとシスターは楽しそうに笑った。


「直接ぶっ潰してやろうじゃない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ