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呪物のサエちゃん  作者: 栢瀬 柚花


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21/21

あたし達の仕事


「皆さん、こんばんは!『突撃!オカルトチャンネル』、略してトツオカのリーダー!タケです!」


「博士です」


「そして!今日の同行呪物はサエちゃんとはるちゃん、タジュです!タジュは初ロケですよ!」タケ


「ヒトミ先生が言うには、はるちゃんと犬猿の仲らしいですが、果たしてどうなることか…」博士


「はるちゃん、タジュ。仲良く頼むよ」タケ


 博士があたしを抱っこしたまま、はるちゃんに視線を落とした。

 はるちゃんも博士に抱っこされてる。


 タジュはタケが持ってる。

 犬猿の仲と聞いたから、一応別々に持ってくれた。


 はるちゃんはタケの手に収まるタジュを見て、


〔だってさ、タジュ!〕


 話しかけた。


〔フン!俺ノ 出番ハ ナイダロウ。立派ナ先輩ガ 2人モ イルンダカラナ〕


〔あれあれ〜?後輩タジュは楽するつもり?いいのかな〜、いいのかな〜?今日は通訳がいるから、全部の行動がトツオカに筒抜けだぞ?〕はるちゃん

 


「そしてぇ!今回はコラボ2回目!!ヒトミチャンネルのヒトミ先生に来ていただきました!!」タケ 

 

「霊も視聴者さんもこんばんは!霊媒師YouTuberのヒトミです!今日も視えるもの、感じるものを、ありのままお伝えしますっ!

 そして、トツオカチャンネルの皆様、お久しぶりです!霊媒師のヒトミです!」


 ぱちぱちと乾いた拍手が夜闇に吸い込まれていく。


〔やっほー、ヒトミさん!〕はるちゃん


「わずか3カ月で2回目のコラボですね」博士


〔まだ3カ月かぁ。もっと時間経った気がするよね?〕

 

〔だね。忙しかったからかなぁ?〕はるちゃん


「はい!ありがとうございます!最短コラボ記録ですよ!嬉しいです!」ヒトミ


「前回のコラボの反響が凄くてですね。『呪物のみんなと一緒にロケに行って欲しい!』と熱烈なコメントが多数寄せられまして。今回は再コラボオファーとなりました」博士


「はい!私のチャンネルでもトツオカさんとのコラボ動画の反響はすごかったんです!『霊媒師と呪物が仲良し』っていうのがウケてました」ヒトミ


〔それはそうかもねー。普通は払われる側だし!〕


 はるちゃんはケラケラ笑った。


「今日のサエちゃん、はるちゃんはどうですか?」博士


〔タジュは隙あらばサボろうとしてるよー。わたしはサエちゃんと同じでやる気満々!!前のロケみたいに2人で追っ払ってもいいんだけどさぁ。タジュがロケデビューでしょ?ここは手柄を譲らないとね〜〕はるちゃん


〔譲ッテナンダ?!高ミノ見物ヲ スルツモリカ?〕


〔後輩指導って言いなさいよっ〕


〔指導ジャナクテ パワハラ ダロウッ〕


「あははっ!はるちゃんとタジュは相変わらずの仲ですね。初ロケになるタジュに、サエちゃんとはるちゃんが指導するって張り切ってますよ」ヒトミ


〔あたしは何も言ってないよ、ヒトミさん〕


「そうだけど、前のロケではるちゃんと一緒に頑張ったの?」ヒトミ


〔うん。所平大橋って場所に行ったよ。橋の左右からうようよ出てきて、引っ張りこもうとするからさ…〕


 あたしが説明しかけるとはるちゃんが、

 

〔そう!うねうね〜って体をくねらせてトツオカに近づいてくるの!気持ち悪くてさー。話も通じないし、えい!やー!ってサエちゃんと頑張ったんだよー!〕


 意気揚々とその時のことを語った。


〔何ヲシタノカ 全ク通ジナイゾ、先輩〕


〔分かるでしょうが!なんとなく!〕


〔分カルカ!〕


 言い合いがエスカレートする前に、


「以前、所平大橋に行ったんですか?」


 ヒトミさんがタケに尋ねた。



 タケは目を見開いて、


「そ、そうです。まだ動画アップしてないんだけど…」


「はるちゃんとサエちゃんが教えてくれました。大変だったみたいですよ。たくさん霊を追い払って活躍した、と言ってます」ヒトミ

 

「そっか。いつもありがとうね、サエちゃん、はるちゃん」博士


 にこりと言われると、


〔エビチリで手を打とう!〕


 はるちゃんがふんぞり返って言う。


 ヒトミさんはまたクスクスして、


「はるちゃんはエビチリが食べたいみたいですよ?」


「サエちゃんは?」


〔ごま団子ー!〕


「ごま団子だそうです」ヒトミ


「なら、次のデリバリーは中華に決定だな」博士


「オッケー」マサ


「出前の店のレパートリーがどんどん増えるな」マモル


「な」マサ


「仕事後のご褒美が決まったところで…。今日は旧島谷街道に行きます!見事、筒村トンネルの化け物と対峙して追い払ったヒトミ先生は、今回どんな勇姿を見せてくれるのか?!サエちゃんとはるちゃん、初ロケのタジュは活躍するのか?!さっそく行ってみましょう!!」タケ


「はい。よろしくお願いします!」ヒトミ


 

            ◆


 

「この旧島谷街道は江戸時代に盛んに使われ、宿屋や食事処も軒を連ねていましたが、崖沿いにあるということで台風や強風の度に道が崩れていました。より安全な島谷道が整備された後は通行客が減り、店も島谷道へ移転してしまい、次第に廃れていったようです」博士


「現在は崖沿いから見える海を眺めるためカメラマンが多く訪れるのですが…自◯スポットとしても有名なんです。視聴者さんからも多数心霊体験のコメントがきており、『サエちゃんに行って欲しい!』と熱烈なリクエストがありました」タケ


「トツオカじゃなくてサエちゃんへのリクエストなんですね…」ヒトミ


〔最近はサエちゃん指名が多いもんね〕


〔みんなはあたしの声も聞こえないのにね…〕


「まぁ…サエちゃんはトツオカファミリーの一員なので、実質、俺達へのリクエストです!間違いなく!!」タケ


〔言イ切ッタナ、タケ。今ハ サエチャンノ人気ガ 高イカラナ〕


〔仕方ないよね〜。サエちゃんTシャツもぬいぐるみもグッズ化してるし。でも一番人気はあたしとサエちゃんのセットぬいぐるみだけど!!〕


「へー!そうなんだ!」ヒトミ


〔そだよー。視聴者リクエストで作ったぬいぐるみなのー!良かったらヒトミさんも買ってねー〕


「公式サイトにいかせてもらうわ!」ヒトミ


〔よろでーす!〕 


〔ソンナ クダラナイ話ヲ シテルウチニ、着イタゾ〕


〔右は崖!左は山!真っすぐ行けば飛び降りスポット!〕


〔はるちゃん…。分かりやすいけど——〕


「注目するところはそこじゃないわね…」


 ヒトミさんは真正面に浮く男の人を見て言った。


「ヒトミさん、何か見えました?」タケ


「見えて…と言いますか、すでにいます」ヒトミ


「えっ?もう?」タケ


「ここ、まだ説明看板がある入り口ですよ?」博士


 ヒトミさんは男の人から目を逸らさずにトツオカに説明した。


「服装は大正時代…?くらいです。和装と洋装が混ざった格好をしてます。30代前半の男性で、両思いだった女性と身分違いの恋の末、無理やり別れさせられたみたいですね…。でも離れたくなくて、駆け落ちしてます」


〔わぉ!情熱的!!〕はるちゃん

 

「仕事も上手くいき、幸せに暮らしていたようですが——仕事先に向かう途中、男性は誤って足を滑らせてこの崖下で亡くなったようです」


〔あらら…〕はるちゃん

 

「妻はずっと夫の帰りを待っていたようで…それを知っているから、なんとか妻の元へ行こうとしてます。ここにいるのは、自ら命を絶ちに来た人の命が欲しいからですね。『その命、いらないのなら僕にくれ…』と言ってます」


 ヒトミさんのさすがの力と解説にトツオカは、

 

「はぁ…それは切ない…」タケ

「なるほど」博士

「それなりの理由があるんだな」マサ

「物悲しいな…」マモル


 それぞれ感想を述べてた。 


〔やっぱりヒトミさんがいると、あたし達の仕事なくなっちゃうね?〕


〔ほんとー。供養までされたら、わたし達来た意味なくない?〕はるちゃん


〔ソノ前ニ 方ヲ付ケレバ イインダロウ?〕


 タジュが不穏に言うと、タケの腕の中からじわじわと威嚇の気配がし始める。

 

〔タジュ…いきなり宣戦布告?〕

 

 はるちゃんはぁ…とため息をついた。


〔アノ男ハ 命ヲ吸イ過ギタ。モウ 輪廻ノ輪ニハ 戻レナイ。ダッタラ ココデ 方ヲ付ケタ ホウガ アイツノ タメダロウ〕


 さらに威嚇の気配を強めたところで、


「あれ…なんかタジュが…熱い?」タケ


 不思議そうに手元を見下ろした。


「「「え?」」」


 3人もタジュを見て、人形の体に触れている。


「ホントだ…」博士

「何かしようとしてる?」マモル


 マサが問う眼差しでヒトミさんを見ると、 


「タジュが男性霊を威嚇してます。タジュなりにトツオカの皆さんを守ろうとしてるみたいですよ」


 笑顔で言った。


 その台詞にタジュはくわっ!と形相を変えて、


〔ソンナワケ ナイダロウ!サッサト 終ワラセテ 帰リタイダケダ!〕


 早口で言った。 


〔照れてる〕

〔照れてるね〕


〔照レテナイ!!〕


 照れ隠しなのか、タジュはさらに力を込めて男性霊を威嚇した。

 

 やる気満々な気がして、あたしもはるちゃんも手出ししないように大人しく博士の腕の中で見守ることにした。


            ◆



〔いやー。お疲れ、タジュ〕

 

 あたしは綺麗に広がる海を見おろす場所に移動した所で、タジュに声をかけた。

 海が綺麗、とは言っても時間帯は午前3時。

 真っ暗な中、波が打ち寄せる音だけが響いてる。


〔見事にヒトミさんに助けられたね!ドンマイ!!〕


 励ましているはるちゃんの声が高く響く。

 

 一方で疲労困憊のタジュは、心なしか人形の皮膚が艶をなくし、色褪せたように見える。


〔いきなり喧嘩売ったのはよかったけど、大きな反撃にあったね〜。下手したらタケも怪我してたよー〕


〔うぅ…〕


 

「もうタジュが熱くない…」


 タケは目的地の崖に到着すると、はたと気がついたように手の中にいるタジュを見た。


 トツオカはまたタジュに触れている。


「ホントだ…」博士

「いつのもタジュだな」マモル

 

「ヒトミさんが『進めるようになりましたよ』って教えてくれる前、バチッて音がして、変な匂いがしたけど…。あれはタジュが何かしたんですか?」

 

 マサが潮風を受けて髪を大きくなびかせながら尋ねてる。

 冬だからちょっと寒そう。


「ええ。タジュは頑張りましたよ。そのおかげで男性霊はもういません。タジュは力を使ったので、少し寝ると思います」ヒトミ


「頑張ったって…何が起こったんですか?」タケ


「男性霊を威嚇して、少し反撃されました。でも跳ね返しましたね。その時の音が『バチッ』と響いたんです」ヒトミ


「途中、タジュの体がかなり熱くなったんですけど…」タケ

「あっ、俺も途中でゾワっとした」博士


「タジュが熱くなったのは、力をさらに使おうとしたからです。博士さんの寒気はサエちゃんとはるちゃんの恐怖がそのまま伝わったんでましょう」ヒトミ

 

「変な匂いは?」マサ


「男性が姿を消す時の匂いですね。人間の魂を取り込み過ぎていたので、霊臭が強くしたんです」ヒトミ


  

 ヒトミさんはかなりざっくりとした説明をした。

 全部見えてるあたし達からしてみると、それはごく一部の出来事。

 


 男性霊を威嚇した後、タジュはすぐに反撃された。

 トツオカの部屋に来たばかりのタジュくらいの力を、男性霊は持ってた。あたしもはるちゃんもゾワリとしたけど、すかさずヒトミさんが助太刀して、あたし達もトツオカも難を逃れた。この時、『バチッ』と音がした。


 タジュは元来の力はないけど、怯むことなく威嚇を攻撃に変えて邪気を放った。

 男性は自分と同等の攻撃を食らうとは思っていなかったようで、大きく顔を歪ませて驚いてた。

 きっとここ何十年も、術者に出会わなかったんだろうな。

 

 タジュは男性霊が驚いた一瞬の隙を逃さず、邪気で縛り上げた。この時、タジュが急激に熱くなったんだろう。

 そこまでは良かったんだけど……。


 男性霊は縛り上げられたまま、タジュよりも弱い存在——タケ目掛けて攻撃を放った。でも力が弱まったタジュでは防げない……。

 当たればタケは大怪我をするか、最悪、命を落としかねない——


 あたしが力を伸ばしてタケを守ろうとしたら、ヒトミさんが結界を張った。それは見事なもので、瞬きする暇もない時間だった。


 それと同時に男性霊を指の印だけで拘束してしまった。

 ヒトミさんは男性霊に直接話しかけた。人間の耳には聞こえない方法——念話——で。


 

 このままでは妻のいる浄土にはいけない。

 彼女は輪廻の輪に入ることを拒み続け、今でも夫を待っている。

 そろそろ輪に入らなければ、彼女の魂は砕けてしまう。

 それが嫌なら、あなたが地獄へ落ちなさい。

 死後に犯した罪を償い、許しを請い、輪廻の輪に入ることが許されれば、再び生を受ける機会が訪れる。

 それを見届ければ、彼女は安心して輪廻の輪へ進むだろう。

 

 転生した彼女が3度目の人生を終える頃、あなたの魂はやっと解放される。

 この世に生を受ければ、また妻に会えることがあるかもしれない——


  

 話し合いの末、男性霊は納得し、冥界へと消えた。冥府への道が開いた時、強い匂いがした。

 あたし達にも分かる匂いだったから、霊感の有無関係なくトツオカも感じたんだろう。

 

  

 同じ穴のムジナだからか、あたし達呪物にはさらに分かったことがある。

 

 夫婦の生い立ちや馴れ初め、死後の様子だ。

 

 見ようとしたわけじゃなくて、勝手に頭の中に影像が入ってきたから、不可抗力だけど。 

 物語を鑑賞しているような気分で、思わず感極まり、心が震えた。


 

 

 そんな出来事があったから、呪物3人は夜の海を眺めながら、少し感傷に浸っていた。

 

〔なんか…幸せになれるといいよね〕


 ポツリとあたしが呟くと、


〔…こればっかりは生まれてからの行いと選択次第だからね。あたし達にはどうする事もできないよ〕


 はるちゃんはいつもより元気ない声で答えてくれる。

 

〔死ナナキャ 分カラナイコトモアルダロウ〕


 タジュは珍しく冷静な声で言った。


〔生キテル重要性トカ、貴重性トカ…。命ノ重ミトカナ〕


〔タジュがそれを言うの?生前あんなことをしておいて?〕


 はるちゃんは刺々しく言い返した。


 タジュは言い返すかと思ったけど、予想に反して数秒黙り込んだ。


〔分カッテイル…〕


 一オクターブ下がった落ち着いた調子で続けた。


〔ナロック(タイでの地獄)ニ行ク前ニ、ヤラナケレバ  イケナイコトガアル。ココデ 少シハ 罪滅シヲ スルサ〕


〔——そう〕


〔なら、せいぜい頑張りな〕

 

 あたしもはるちゃんも茶化さなかった。

 ヒトミさんは黙って微笑んでいた。

 

 トツオカはこの会話が聞こえていないはずなのに、なぜか暗いじっと海を見つめていた。



            ◆



「さて、旧島谷街道をぐるりと回りましたが、ヒトミ先生、いかがでしたか?」タケ


「最初の入り口にいた男性霊以外は、悪意のない霊ばかりでしたね」ヒトミ


「では、ここはもう安全ということですか?」博士


「唆されて引きずり込まれることはありません。最も、面白半分で訪れる場所でないことは変わりありませんよ。自害した霊はまだまだいますから、彼らの時間を邪魔しないで下さいね」ヒトミ


「なるほど!風景を楽しむにしても、きちんと敬意を持って!ということですね」タケ

  

「そのとおりです」ヒトミ

 

「ありがとうございました、ヒトミ先生!それじゃあ、今日はこの辺で!」タケ


「さようなら〜」ヒトミ


「オッケー」マサ

「無事に終了したな」マモル


〔はぁ〜!!お疲れ!サエちゃん!〕


〔うん、お疲れ様〕

 

〔オ前ラハ 疲レルコトヲ シテナイダロウ〕


〔そんなことないしー!途中からちゃんと博士のこと護ってたしー!〕はるちゃん


〔一箇所、霊が多かったもんね〕


〔だよねー!ちょっかい出されて、博士にまた熱が出たら困るし!娘ちゃん泣いちゃうし!奥さん心配するし!〕はるちゃん


〔ヒトミニ 援護シテモラッテイタ ダロウガ…〕


「私はほとんど何もしてないのよ?」


 ヒトミさんがタジュに言った。


「サエちゃんもはるちゃんも頑張ってたよ」


「ヒトミさん、サエちゃん達、なんて?」マサ


「みんな頑張ったよね、と報告会ですね。博士さんをしっかりと守ってましたよ」ヒトミ


「え?そうなんですか?」博士


「はい。途中、霊が多くいた場所があったので。悪さはされないけど、あまり近くに寄られると発熱したり体調不良を起こすので…サエちゃんとはるちゃんが守ってくれました」ヒトミ


「そっか。ありがとう、サエちゃん、はるちゃん」博士


〔いいのよー!このあとエビチリが待ってるから!!〕


「エビチリが待ってるから気にしなくていいらしいです」


 ヒトミさんはクスクス笑った。

 

「タジュは?相当疲れてますか?」マモル


「ええ。でも眠気を堪えてますね」ヒトミ


〔ですねー〕

〔だね〕


〔五月蝿イナ!家ニ 帰ッタラ寝ル!〕


〔家だって!タジュはすっかりトツオカ家に馴染んだねー〕


〔ウ、五月蝿イ!〕


〔照れない照れない〜〕


〔仕事終わりのご飯は美味しいもんね!ヒトミさんも食べてくの?〕


「あのー、タケさん。私も打ち上げ御一緒していいですか?はるちゃんが誘ってくれてるんですけど」ヒトミ


「ええ、もちろん!」タケ


 他のメンバーも頷いた。


「ありがとうございます!」ヒトミ


〔やったー!!ヒトミさん!筒村トンネルでの除霊の話し、聞かせてよ!〕


〔あっ、あたしも聞きたい〕


「いいよ。大変だったからね。U Tube始めてから、一番の大仕事だったよ」ヒトミ


〔武勇伝!武勇伝!〕はるちゃん


〔ハァ…。頼ムカラ 静カニシテクレヨ…。俺ハ寝ルンダカラナ〕


〔はいはーい〕



 

 あたし達は呪物。

 でも呪ったりすることなく、楽しく人間と暮らしてる。


 死後の生活としては悪くない。

 今日みたいに人の役に立って、みんなと仕事終わりにワイワイできるなら尚更だ。

 

 いつかは日本人形(この体)を離れなきゃいけないけど、しばらくはこのまま呪物ライフを楽しもうと思う!

 

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