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少し手合わせを見ていきたいと後ろ髪を引かれながら。無事にヨネス団長を目的地に送り届けると、宿舎に戻ってリーヴィは荷造りをし始める。
リーヴィ達、新人騎士の部屋は6人部屋だった。
女性は入団した人数が少ない為、人数的には余裕を持って使えていたので、男性陣からは、ひっそりとズルいという声も上がっている。
とは言っても狭いスペースだった。
三段ベッドが二つ。
個人的な物を置くように、ロッカーとチェスト。
騎士団の隊服一式をかけるための洋服掛けがあるというシンプルな作りだ。
そしてシンプルな作りだからこそ、使っている人間の個性がでている。
見るからに片付けができなくて混沌としている区画もあれば。
女性が使っているとわかる、可愛らしい雑貨が置かれている区画。
リーヴィは整理整頓は出来ているが、それとは関係なく王都に来たばかりで、荷物があまりなかった為に何も置いてないシンプルな区画になっていた。
唯一飾れるものといえば、花冠だ。
でもそれはドライフラワーにして、チェストに大事にしまっている。
崩れるのが怖いぐらい、リーヴィにとっては宝物だった。
実家では母親が緑師と言う仕事柄、途方もない数の引き出しがある薬棚があったが、それにも収まらない薬草が、家中に乱雑に置いてあった。さらに整頓もあまり上手な方ではなかったので、家の中は混沌としていた。
時間を掛けて調合するもの、瓶につけるもの。
数日からヘタをすると数年は乾燥させなければいけない薬草の束。
母親でなければ一目で見ただけでは見分けがつかない種類の数が、家中にごった返して置かれていた。
部屋自体はチリ一つなく、掃除は行き届いていたが、何せ空間に対しての薬草の量が多すぎた。
掃除担当の父親は綺麗好きな方だったが、薬草は母の仕事道具だからと不介入になったらしい。一緒に暮らすうちにごった返した部屋に慣れたと言っていた。近所の人に聞いた話では、父親が一緒に暮らし始めてこれでもマシになった方だと言われるぐらい母の一人暮らしはすごかったらしい。
そんな混沌とした家で過ごしたリーヴィ。
子供の頃から大切なものは、飾るよりも自分の引き出しへ入れる習慣が出来ていたせいだろう。
花冠のジンクスを知ってしまった今では、尚更飾る勇気はなかった。
人目につかないように、大事にしまっていてよかったとさえ思ってしまう。
荷造りのため鍵のかかる引出しを開けると、花冠とは別に大事にしまっていた物を見る。
丁寧に柔らかい布で包んだ箱の中身を思い浮かべて、ふとリーヴィは、今日変装用に貸してもらった服装に似合いそう……と思ってしまった。
でも直ぐに「自分のものじゃない」とその考えを打ち消す。
早く、サルキオス様にお返ししなきゃ……。
箱の中身は、受け取る理由がない、自分には不相応なリボン。
またまた、謝る機会はのびのびになってしまった。
もうすぐきちんと言えるはずだったのに。
タイミングが悪すぎる。
でもこの任務が終わったら、ちゃんと伝えたい。
リーヴィは箱と一緒に仕舞っていた、サルキオス様に拾ってもらった組紐の方を手に取った。
サルキオス様が見つけるまで数日間。
屋上で風雨に晒されていて毛羽立ってる。
けれどそれは普通に使っていてもあり得るぐらいのへたり具合で普通に使える状態だった。
変装のためだけれど。
髪の毛の結い方を教えてもらったので、この組紐を使えないかな?
そう考えたリーヴィは、あるなら自前のものを使ってもいいと説明されていたことを思い出して、折角なので組紐を持っていくことにした。
初めての大きな街でのお祭り。
友達のフレデリカと露天で買った、組紐。
落として失くして、サルキオス様に拾ってもらうまで……それこみで、大事な思い出だ。
戻ってきた失くし物は、なんだか縁起がいい気がする。
新人としての重要な初任務。
拾ってくれた人のことも思い出すと。
何だか凄いお守りになってくれそうな気がして。
とりあえず、目の前の任務に集中しよう!
リーヴィはギュッと、組紐を握りしめた。




