第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――対策
「攻撃……⁉」
「力の大半を土地神様の封印に割いている私たちが、落ちたとはいえ神である土地神の力に抗えるはずもありません。少しずつ浸食されていき、一柱、また一柱と枯れていってしまいました」
精霊の声が、かすかに震える。仲間たちの最期を思い出しているのだろう。
「現在では、私一柱しか残っておりません。そのせいで結界の存在すら認知されないほど弱くなってしまったのです。そして残念なことに、あと三十分もすれば、私も力を使い果たして枯れてしまうでしょう」
「ささ、三十分!」
「そうなれば、土地神様の封印は完全に解け、悪鬼と化した神がこの地に解き放たれます。そうなれば、この地は消えてなくなるどころでは済みません。土地神様の力は、さらに遠くまで及び、多くの人々が犠牲になるでしょう」
光の球体が、私の前に近づいてきた。
「人の子よ。そして神の力を持ちし者よ。どうか、この地を救ってください。土地神様を……かつては優しく村人を見守っていたあのお方を、どうか安らかな眠りにつかせてあげてください」
精霊の声は、まるで祈りのようだった。五百年もの間、使命を果たし続け、今まさに消えようとしている存在の、最期の願い。
私は深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
状況は、想像をはるかに超えて深刻だった。
悪鬼と化した神。
五百年かけて蓄えられた負の力。
残り三十分で枯れ果てるご神木。
そして、封印が解かれようとしている土地神。
「……わかりました」
私は顔を上げ、光の球体をまっすぐに見据えた。
「その依頼、引き受けましょう」
(ありがとうございます、神の力を持ちし人の子よ)
「と、引き受けたのはいいが……何から手をつけるべきか」
私は腕を組み考え込んだ。
状況は想像以上に深刻だ。五百年分の負の力に、残り三十分で枯れるご神木。さらに封印が解かれようとしている悪鬼とかした土地神。
どれもが緊急を要する問題だった。
『翔太まずはご神木を助けるべきだ』
ディストレイの声が、私の脳裏に響いた。
「ご神木を?」
『ああ。彼女が枯れてしまえば、土地神の封印が完全に解けてしまう。そうなれば、土地神との戦いは避けられない。まずは結界の維持をしてもらうことが最優先だ』
「なるほど。だが、どうやって助ける? ご神木は負の力に侵食されている。それを浄化するには……『浄化の炎』か。だけど、私の力では威力が足りない気がするんだが……」
『我が直接やれば、問題なく浄化できる』
「その手があったか」




