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神様の日記 ―睡蓮様は今日も眠たい―  作者: くじら


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第一話:睡眠神の退屈な備忘録:第138億9千万頁






〇月◯日 天候:星がいくつか死んだ(あと、下界が少し焦げた)




あー、暇だ。


「暇」という言葉を具現化して枕にして寝たいくらいに暇だ。


俺は睡眠の神である。寝るのが仕事、寝るのが人生。


だが、寝すぎて腰が痛い(神に腰痛があるかは別として)。


あまりに退屈だったので、先日、手近な惑星の人間を100匹ほどプチプチと潰してみた。


……何も変わらない。


アリの巣を突っついた時のような、ほんの一瞬のザワつき。それでおしまい。


退屈しのぎに、今度は世界の半分を飲み込むほどの洪水も起こしてみた。


我ながらなかなかの大掃除だったが、あいつら(人間)ときたら、100年も経たぬうちに泥の中から這い出してきて、またウジャウジャと増えやがった。


俺の神気を使った嫌がらせも、奴らのしぶとい繁殖力の前では虚しいだけだ。


人間というのは、実に訳のわからない生き物だ。


欲にまみれてヘドが出るほど汚いくせに、時折、眩暈がするほど真っ当な個体が混じっている。


それにしても退屈だ。


あまりにも暇なので下界を見下ろし下等な人間共を観察する。



様々な人間


どいつもこいつも俺には理解不能なことをしてやがる。


俺には無い感情と言うものなのか?


「……そうだ。暇つぶしに、遊んでやろう」


そう決めた途端、久々に心が弾んだ。


よし、再び下界のゴミ溜めを覗いて、一番マシな玩具を探すとしよう。



ある者には天からの贈り物として金を降らせてみた。



うん、そのある者はその金で年端もいかない幼子を買い漁り不当に扱い始めたのでこれはイカンと天罰を与えた。



黒焦げになったが良しとしよう。



次に目をつけたのは人の良さそうな夫婦


子供の居ない家庭で子供を願ってたから与えてやったと言うのに何がダメだったのか監禁しだした。



その後はどうなったのかは分からない。俺は監禁などに興味はわかない。


花を所望する若者に花を降らせてみたと言うのに礼のひとつもなかった(なぜだ?)



あぁ、退屈だと、いつの間にか眠ってた俺。



次に目を覚ましたのは



「……さま。……様! 起きてください、睡蓮すいれん様!」


頬を叩く冷たい感触で目が覚めた。


俺の生気から作り出した傍仕えの少年が、般若のような顔で俺を見下ろしている。


「あぁ……うるさい。あと一万年寝かせてくれ……」


「ダメです。また下界に干渉しようとしていたでしょう? 他の神々にバレたら、次こそあなたの神権を剥奪すると言われているんですよ」


「バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ。それより、なんか面白いことをしてくれ……裸踊りでもいいぞ」



「何馬鹿なこと言ってるんですか!それより見てください!睡眠様が無闇矢鱈と力を使ったせいでこの地域が花の楽園と言われてるんですよ!今も増え続ける花たちをなんとかしてください!」


「なんだこれは?俺は知らんぞ」


眠る前に花を若者に降らせたことをすっかり忘れていた。



そう言えばその若者が居る場所に花の恩恵をとか……



そこまで思い出した俺は苦笑いする



「すまん……」



「睡蓮様っ!神様が簡単に頭を下げないで下さいっ!」



顔を赤くしたり青くしたりしながら忙しい奴だと傍仕えを見つめる。



「花の恩恵はここまでにしよう」



そう呟いた瞬間、下界のとある地域はそれ以降花が育たなくなったとか



以前の地に戻っただけ



睡眠の神様は、もう興味ないとばかりに目をそらす。



人間観察も少し飽きて来たなと思う睡眠の神様


かと言って起きたばかりで、この傍仕えが簡単に寝かしてくれるとは思わない。



その時ふと、妙案を思いつく。


「そうだ!主人公を決めよう!一人!」


「はぃ?」



傍仕えの生意気な顔もなんのその、睡眠の神様、睡蓮は顔を綻ばせニッコリと笑う。



その笑顔は見るものを虜にする絶世の美貌だった。


だか、睡蓮から生まれた傍仕えは、はぁーとため息を吐き出す。



「また何かくだらないことを……」



「何か言ったか?」


「いえ、何も……このキミマロ、誠心誠意対応致します!」



【観測対象:未定(数名の不適合な人間を処分)】


【神気残量:92%】


【今日の一言】


人間というのは、金を与えれば狂い、子供を与えれば歪む。

花を降らせてやったのに、感謝もせずにただ埋もれていやがった。

結局、俺が直接手を貸すよりも、勝手に足掻いているのを眺める方が「玩具」としては優秀なのかもしれない。

あぁ、それにしてもキミマロがうるさい。

次に俺を叩き起こしたら、あいつの頭からも花を咲かせてやろうか。

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