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「疲れたら異世界キャンプ ~秘密の焚き火で心をリセット~」  作者: 新米オッさん兵士


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第28話 2日目と、森の菓子屋との出会い

連休2日目の朝、佐藤悠真は湖畔のテントの中でゆっくり目を覚ました。

 柔らかい朝陽がタープの隙間から差し込み、湖の水面がキラキラと輝いている。

 膝の上には、昨夜から離れなかった霧影兎きりかげうさぎが、ふわふわの体を丸めて眠っていた。

 悠真が体を動かすと、兎は耳をぴくぴくさせながら心の声で挨拶してきた。

 『おはよう……

 きみ、まだいる……

 うれしい……』

 悠真は優しく兎の頭を撫でながら、小さく微笑んだ。

 「朝だよ。一緒に朝ごはん作ろうか」

 焚き火の残り火を起こし、クッカーで星白米の残りを温め直した。

 銀葉草を少し散らし、森晶塩を軽く振る。

 シンプルな朝粥になったが、湖風が運ぶ朝の空気の中で食べるご飯は格別だった。

 霧影兎にも少し分けてあげると、嬉しそうに頰張りながら心の声が響く。

 『あまくて……

 やわらかい……

 きみ、ありがとう……』

 朝食を終えた後、悠真は霧影兎を連れて湖畔を少し散策した。

 今日は新しい場所を探してみることにした。

 湖の反対側、木々が少し密集したエリアに、昨夜は気づかなかった露店街の延長のような一角があった。

 そこに、甘い香りが漂う小さな露店が見えた。

 店名は「森の甘味堂」。

 店主は40代くらいの優しそうな女性で、名前は「エマ」。

 露店には、星蜜果を煮詰めたジャム、夢見葡萄の乾燥菓子、森の麦で作ったクッキー、夜光梅の蜜漬けなどが美しく並べられていた。

 焼きたてのパンや、果実を練り込んだ焼き菓子の香りが、朝の湖畔に優しく広がっている。

 エマさんは悠真(と膝の上の霧影兎)を見て、目を細めて笑った。

 「珍しい組み合わせね。

 旅の人? それとも……森の友達?」

 悠真はフードを少し下げ、照れくさそうに答えた。

 「どちらも、かな……

 この子のことは、森の友達です」

 霧影兎はエマさんを見て耳をぴくぴくさせ、心の声で悠真に伝えてきた。

 『いいにおい……

 やさしそうな人……』

 悠真は現代の蜂蜜と深煎りコーヒー豆の小袋を交換に差し出した。

 エマさんは袋を開け、コーヒー豆の香りを嗅いで目を輝かせた。

 「なんて豊かな香り……!

 これは森の木の実を焦がしたような、深い匂いね。

 蜂蜜もとても上質……

 よし、今日は特別にたくさん分けてあげるわ」

 エマさんは星蜜果のジャム、夢見葡萄の乾燥菓子、森の麦のクッキー、夜光梅の蜜漬けをたっぷり袋に入れてくれた。

 さらに「今朝焼いたばかりの果実パン」も一つ追加で渡してくれた。

 「このジャムは星蜜果を煮詰めたものよ。

 パンに塗ると最高に美味しいわ。

 また来てね。

 その子も、よろしくね」

 悠真は深くお礼を言い、露店を後にした。

 胸が温かくなった。

 新しい出会いが、また一つ増えた。

 キャンプサイトに戻り、午前中は湖畔でゆっくり過ごした。

 霧影兎は焚き火の側を離れず、時々湖に顔を近づけて水を飲む姿が愛らしかった。

 午後になってから、2日目本格的なキャンプ飯の準備を始めた。

 2日目・夜のメイン料理

 炎鱒と森守鶏の豪華ミックス串焼き

 炎鱒と森守鶏の肉を交互に串に刺し、銀葉草を巻きつけ、炎芯胡椒と森晶塩を振る。

 焚き火でじっくり焼くと、脂が滴り、香ばしい煙が湖畔に広がった。

 火の囁きと香りの導きが働き、焼き加減が完璧だった。

 霧影兎は焚き火の側で興奮気味に心の声で反応する。

 『すごいにおい……

 たべたい……

 きみ、すごい……』

 星白米と森の青菜の湖風炊き込み飯

 クッカーに星白米を入れ、清流の水を注ぐ。

 森の青菜を刻み、銀葉草と黄金花の花びらを散らす。

 弱火でじっくり炊き上げると、甘い香りと爽やかな風味が湖風に溶けていった。

 エマさんからもらった星蜜果ジャムのパン

 焼きたてのパンに星蜜果のジャムをたっぷり塗る。

 甘酸っぱいジャムがパンに染み込み、焚き火の余熱で温めると最高のデザートになった。

 食事を進めている間、霧影兎は悠真の膝の上で満足そうに丸くなり、心の声で喜びを伝えてくる。

 『うまい……

 あたたかい……

 きみといっしょ……

 しあわせ……』

 夜が更けても、焚き火は理想的な状態を保っていた。

 悠真はシュラフに包まり、星空を眺めながら霧影兎を抱いたまま静かに話しかけた。

 「明日も、明後日も……まだ一緒にいられる。

 ゆっくり過ごそう」

 霧影兎の心の声が、優しく響いた。

 『ずっと……

 いっしょに……

 だいすき……』

 湖畔の2日目の夜は、静かで温かかった。

 新しい露店との出会いと、ふわふわの友達との時間に、心が満たされていった。

(第28話 2日目 終わり)

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