表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵家の養女ですが、来世もパパの愛娘になりたいです  作者: 猪本夜
第三章 アオハル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/111

89

 リディは学園の庭園のパラソル付きテーブルセットで、クラスの子たちとおしゃべりに花を咲かせていた。ルルや他の女の子たちと、会話の内容は年頃らしく、誰がカッコいいなど、好きな男性タイプの話である。時々こういう話はしていた。リディも他の子達も、恋愛には高い関心を示している。


 とはいえだ、皇宮のパーティーから数日、学園人気の皇子二人ではなく、なぜか話題はリディのパパだった。


「噂には聞いていたけど、リディのお父様って、かっこよすぎじゃない?」

「私もそう思いました! 鋭い視線で他の方と話されていたのに、リディ様には柔らかい笑みを向けられていて! 私にもその視線が欲しいと思いました!」

「私は、あの鋭い視線で睨まれるだけでも、ぞくっとしそうです! ある意味、ご褒美かも!」

「あ、ありがとう?」


 パパがすごく人気だ。ラヴァルディ領でも熱狂的なファンがいるが、まさかリディと同年齢の子にも人気になるとは思わなかった。確かに娘のリディから見ても、カッコいいと思う。

 ルルが興味深々の顔で口を開く。


「リディのお父様って、おいくつなの?」

「えっと、三十二歳?」

「さ、三十二歳~!?」

「ええ!? もしかして、今の私たちの年齢でリディ様が?」


 あ、そういえば、そういう設定だった。リディはパパの十六歳の時の子の設定なのだ。


「うん」

「きゃあ! じゃ、じゃあ、もしかして、今の私でも立候補したら、望みはありますか?」

「……? 望み? 立候補って?」

「リディ様のお父様の後妻に私はいかがでしょうか!」

「えっ」

「そ、それなら私が!」

「私だって!」


 パパが人気過ぎる。みんなの目が本気過ぎて、怖い。とはいえ。


「だ、駄目ー! パパに私と同じ年の奥さんができるなんて駄目! 私は反対!」

「そんなこと言わず!」

「駄目駄目! パパに私と同じ年齢の奥さんができたら、私、友達に『ママ』って言うの? 絶対嫌!」

「え、そこ? 友達なんだから、名前で呼べばいいじゃない」

「問題はそれだけじゃないもん……! 娘の私より奥さんのほうが大事で可愛いってパパが言ったら、私、泣いちゃう!」

「もしかして、少し想像してる? すでに、ちょっと涙ぐんでるけど」


 「もう、リディったら~パパっ子め~」とみんなに笑われながら、ここで拒否っておかないと、本気で友達がパパの奥さんになったら困る、と牽制していると、後ろから声を掛けられた。


「リディ、少しだけ時間もらえないかな」

「……レオ? うん、いいよ」


 クラスの子たちから離れ、リディはレオと庭園のベンチに座った。昨日のリュカのように、レオも寝不足なのか、少し顔色が悪い。


「……レオ、体調は悪くない?」

「ん? 大丈夫だよ」

「でも、顔色が……」

「……ああ、少し公務が立て込んでいたからかな。大丈夫。なんともない」


 公務だけだろうか。もしかしたら、リュカが皇族になったことへの余波で忙しい、ということもあるのかもしれない。ただ、リディにそれについて口出しはできない部分だ。でも、レオが少し心配だった。


「友達と話していたところを、ごめん。最近リディと話すこともできなかったし、リディを見かけたら、話しかけずにはいられなかった」

「いいの。気にしないで」


 レオはリディの手を取り、ぎゅっと握った。


「……人生って、思う通りにはいかないものだね」


 そう言って、はっとした顔のレオは、苦笑した。きっと言うつもりのないことが口に出てしまったのだろう。リディは少し考え、レオの耳に手を添えながら、口を近づけた。


「今週末の夕方、レオのところに行くね。少しお話しよ」

「……本当に? 来てくれる?」

「レオがよければ。スケジュールはどう? 忙しいかな」

「絶対に予定は空けておくから、来て欲しい」

「うん」


 レオの耳元から離れ、互いに笑みを向ける。レオはきっと悩んでいる。リディに言えないこともあるだろうけれど、何か愚痴でも話せれば少しはすっきりするかもしれない。


「楽しみができたから、少し元気になったよ」

「そ? なら、良かった」


 そうやって、その後はレオと他愛もない話を楽しんでいると、リディたちに近寄る人がいた。リュカである。


「……リュカ」

「二人で何の話をしているの?」


 ベンチの、リディが座っているレオの反対側のリディの隣に、リュカが腰を降ろした。そして、レオと繋いだリディの手に目をやり、リュカはリディの腰を引いた。お陰で、リディはリュカの方へ、ベンチを少しだけ横滑りする。


 なんだ、これ。何がどうなってる?


「……リュカ、今リディと二人で話をしていたから、邪魔しないでくれないか?」

「……リディ、俺がいたら、邪魔?」


 リュカー! 何でそれを私に聞くー? リディは、なぜか冷や汗をかきだした。


「じゃ、邪魔ではないよ?」

「レオポルド殿下、邪魔ではないそうですよ」


 リディの頭の上で、レオとリュカの視線がバチバチしている気がする。なんで。


 やっぱりあれか。水面下で皇子同士の後継者争いが始まっていたりする? 怖いから始まってないって言って! というか、リュカは、皇子にはなったけど、レオと争うつもりはないって言っていたのに。そのあたり、レオと話をしていないのだろうか。リディから何かを言えるわけないので、その件をリディとしては黙っているしかない。


「二人とも、少し落ち着こうか」


 そう言ったが、二人は相変わらず無言で視線を交わしている。これはもう、実は仲が良いと思ってもいいのか。


「ちょ、ちょっと早いけど、そろそろ次の講義が始まるから、行こうか!」


 リディは立ち上がり、二人の手を片方ずつ握ると、二人をベンチから立たせた。


「はいはい。行こうね~」


 それから、二人の手を引っ張り、校舎まで二人を連れて行くのだった。


 少し気疲れしたリディであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ