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公爵家の養女ですが、来世もパパの愛娘になりたいです  作者: 猪本夜
第三章 アオハル編

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「水属性魔法の訓練の初回?」

「うん。昼食の後の講義が初回なんだ。パパが雷属性は失敗すると面倒だから、最初は水属性にしたほうがいいって言ってたから、今日の訓練は水属性にするつもりなの」


 リンバルム学園の食堂で、リディは昼食中であった。今日はレオと約束していたため、レオと二人で食事をするのだ。


「ああ、なるほど。確かに雷属性の訓練は、できれば人が多くない場所のほうがいいかな」

「昔、雷属性の訓練中に事故があったって聞いたのだけれど」

「うん。雷属性と水属性をそれぞれ訓練している生徒がいて、感電したとかどうとか」

「や、やっぱり、それ系なんだ……」


 リディは、ぞぞぞと悪寒がした。感電とか怖すぎる。


「死人がでたわけじゃないから、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」

「うーん、でも、雷属性の訓練はまたにする。私のクラスって、雷属性使えるの私だけだったみたいで。別の機会に訓練する。今日はまずは水属性だよね。水属性の魔法って、生活に便利だって聞いたから、ちょっと楽しみ」

「リディは闇属性の魔法は普段から使えるから、感覚さえつかめれば、水魔法は難しくないと思うよ」

「そうだといいのだけど。レオは魔法は闇属性と光属性以外は、だいたい使えるのだった?」

「うん。……そうだ、俺もリディの訓練を見に行こうかな」

「……え?」


 レオの言葉にリディは首を傾げた。


「たぶん、今日のリディの訓練の講義には、先生以外にも、先輩方が指導員として付くはずだけど」

「そういえば、そんなことを聞いたかも」

「魔法クラスは本当の初心者という人はいないと思うけど、訓練というだけあって、普段メインで使わない魔法の訓練を始める子が多い」

「そうね。私の水属性の訓練とか」

「そう。だから、訓練予定の属性の魔法が得意な先輩を、一年生一人に一人付けることになってる。俺は頼まれていないけど、リディの訓練は見たいから、今日のリディの指導員には俺が出ることにするよ」

「嬉しいけど、いいの? 勝手なことして、レオが怒られない?」

「心配しないで。怒られないよ」


 レオは笑って、今日のレオの昼食のデザートの桃のタルトをリディの口元へ持ってきた。食べていいよ、ってことだよね。リディは口を開ける。


「うーん、桃が美味しい」

「それはよかった」


 くすっと笑うレオが、また桃のタルトをフォークでカットしてリディの口元へ持ってくる。貰えるなら貰っちゃおうと、ついつい、口を開けてしまう。でも、貰ってばかりは悪いので、リディの苺タルトをカットして、レオの口元へ持っていく。


「……リディの苺タルトも美味しい」

「ふふふ、そうでしょ!」


 いつもの皇宮でのレオとのお茶会と似たようなもののつもりだったリディは、いろんな子たちが自分たちを見ていることには気に留めていなかった。


 その日の午後、リディのクラスの魔法の訓練には、他の先輩方に交じって、予告通りレオもやってきた。


「ラヴァルディ公爵令嬢には、私が指導員として付くと聞いていたのですが」

「変更になったんだよ、ローズ嬢。リディには俺が付くから」


 二年生と三年生の先輩方が、リディのクラスと同じ人数だけやってきた。リディは知らなかったが、どうやら二年生のローズ・ベルリエ公爵令嬢が、リディの元の担当の指導員だったようだ。ローズは兄のリュカをいじめていた印象が強く、内心、レオが変わってくれたことに安堵した。ローズはリディの代わりに、別の子の指導員となった。


 先生の声掛けの元、それぞれの指導員の先輩が一年生の傍に付く。リディにはレオが傍に立った。レオは簡単にコツを説明してくれた。その後、リディが実際に訓練をする。


「まずは、手の平に水を出してみようか」

「うん」


 リディは水をイメージしながら、手の平に集中する。すると、じわじわと手のひらの上に水が湧き出てきた。


「できた!」

「うん、上手だね、リディ」


 教室のそこかしこで、リディと同じように魔法が使えた歓声が起きている。さすが、完全な初心者は少ないので、最初の掴みはみんな順調のようだ。


 その時、少し大きい風が通り過ぎて行った。「ごめーん!」と聞こえるので、誰か風の魔法訓練で少し予想外のことが起きたのかもしれない。


「じゃあ、少し大きめの球体を作ってみようか」

「球体?」

「こういうのだよ」


 レオが手の平を上にやると、その空中にニ十センチほどの水の塊の球体ができていた。


「えー、すごいレオ! やってみる!」


 集中すると、うにょうにょとした水の塊ができたものの、球体ではない。ちょっと難しい。魔法って、結構イメージも大事なんだよね。

 訓練を続けると、レオと同じような水の球体を作れるようになった。


 リディ以外の子たちもおおむね順調のようだが、火属性の魔法訓練で髪の毛を少し焦がしている子はいる。


「じゃあ、少し球体の大きさを大きくしてみようか。このくらいに」


 レオは五十センチほどの球体を作った。


「う、うん。分かった。やってみる」


 少し魔力を強めにやってみたほうがいいかもしれない。リディは手に集中する。しかし、なぜか水がでない。


「……あれ?」

「……? さっきと同じイメージで大丈夫だよ。魔力調整だけすればいいんだ」

「うん、そのつもりなんだけど……」


 リディの水、どこいった? レオと首を傾げながら集中していると、誰かが声を上げた。


「何あれ?」


 何人かが上を見上げていることに気づき、リディも上を見た。教室の天井付近に、水の膜が広い範囲で広がっている。


「……もしかして、あれって、私の水?」

「そのようだね……あ、リディ、今、魔力を弱めちゃ――」


 天井から下へ、水が降ってきた。教室にいた全員が水に濡れる。闇魔法とは違って、水魔法は魔力を弱めるとこうなるのか。


「ご、ごめんなさーい!」


 リディが叫ぶと、そこかしこで笑い声が聞こえてきた。


「あはは! 濡れ鼠!」

「ここまで来たら、思いっきりやっていいよね!?」


 どうせ濡れているから、とリディ以外の水属性の訓練をしていた子達が、思いっきり水をぶちまけだした。教室の中で、完全に水遊び状態である。時々、先輩も水を飛ばして遊びだして、教室の中は笑うような声がたくさん響いていた。


 レオと顔を見合わせたリディも、レオと笑いながら魔法で水遊びをする。そのようにして、楽しい訓練は過ぎて行った。


 ちなみに、訓練の最後に風の魔法が得意な先輩方が、教室とみんなを乾かしてくれた。最初の訓練の講義は、すごく楽しい時間だった。

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