叛逆
ある日、ダキシンはマザーから呼び出しを受けた。
それは、ダキシンがマザーの預言に従わず、勝手気ままに動いていることに起因する。
首相官邸の執務室に機械音声が鳴り響いた。
「ダキシン=オフミ、私の預言に従うことができないのなら、あなたには消えていただくほかありません……残念ですが、あなたは世界の調和を乱す危険性が九十八パーセントあります。これ以上放置しておくことはできません」
並みの政治家であれば震えあがる宣告だったが、ダキシンはむしろニタニタと不気味な笑みを浮かべていた。
「何を仰るのですか。ボクちんは、忠実なるあなた様のしもべでございますぞ。ボクちんは世界平和のため、愚民どもから税金を搾り取り、ケッペンスキー首相やニャタラント首相、カン=ヘギョン首相に金をばらまいているのです! ボクちんは褒められてサイコー! 悪魔の日本人を苦しめてサイコー! ボクちんサイコー! なんですよ。どうしてわかってくれないんですか」
「ダキシン……あなたは人として欠陥品のようですね……このままでは日本人が絶滅します。民なくして、王は存在しません。税金を納める人がいなくなったらどうするのですか」
ダキシンは顔を紅潮させて
「うるさーーーーーーい! ボクに機械ごときが説教するなんて、無礼にもほどがあるぞ! ボクちんはダキシン=オフミ、銀河の支配者になる男だ! 人間なんて人間牧場を作って、人工的に生み出せばいいんだ! そんなことも分からないのかこのポンコツ!」
と怒鳴り散らす。
彼は人類史上初、マザーに暴言を吐いた人間だった。そんな人間の末路は決まっている。
「……もう手遅れのようですね。ダキシン=オフミ、あなたを抹殺対象に登録します。世界を乱す悪として、人々のためにあなたを粛清します」
このメッセージを残して、マザーは通信を切った。
「ふん、このボクが時代遅れのロボットごときに殺されるとでも思うのか? おい、ドクター! それから、タキリ! ボクちんを守り、あのポンコツをぶっ壊せ! 金はいくらかかってもいい! ボクはこれからお昼寝するからな、ちゃんと始末しておくんだぞ」
という伝言を残して、ワインをラッパ飲みし始めた。
ダキシン=オフミは壊れていた。人としてではなく、生物として壊れていた。




