動き出すとき
夜のとばりが落ちるころ、紫電は自宅のベッドで目を覚ました。
隣の部屋には共同生活を始めた少女がいる。
一人で、暗闇の中で歩き、殺し、眠るだけの時間は終わった。
「あっけないものだな……」
終わるときは終わるものだ、と彼は思う。
生まれてから、大冥災を経て、凶手としての腕を買われ、それに必要な英才教育を受けてきた。そして、そこからは数多を暗殺と戦闘を繰り返すだけ。
そんな毎日が続いた。
彼の時間はそこで止まっていた。
そんなとき、任務で偶然、彼女を助ける形になった。
それからだ。
彼の時間が動き始めた。
大冥災を呪い、憎み、その事実を探すためだけに人を殺すだけの毎日があっけなく終わった。
最初は利用できるかもしれない、程度だった。
だが、最近は彼女に対しての認識を変えた。
彼女はきっと誰も知らない何かを持っている。
そして、それは大冥災に関わるものも含まれるだろう。
思えば、彼女は変だ。
彼女は“何もかもを知りすぎている”。
「願わくば」
彼女を殺す日が来ないことを祈る。
無感情に、作業のように殺しを行ってきた彼からは生まれたことのない感情が生まれた。一緒に過ごした時間は多くないが、彼は既に彼女に救われていた。
凍り付いた時間が動き出す。
暖かい陽光に抱かれて、躍動する。
心の中に眠っていた鍵が開いたような気がした。
こんばんは、星見です。
ちょっと鬱っぽくなってきたのですが、今日一日、リフレッシュして吹き飛びました。
年を食ってくると(30代)思うことが多々あります。
まあそれは置いておいて
次回またお会いできることを祈りつつ……




