清廉なる狂気の集う場所
泣きじゃくる子どもたちはゆっくりと紫電に歩み寄ってきた。汚れたぬいぐるみを抱えたまま、傷ついた素足で、たどたどしく歩く。
それを紫電は冷たい目で観察していた。
「怖い……助けて……」
一人の少女が言う。流す涙は恐怖に苛まれて出たものだろうか。
「俺は貴様を救うことなどできん」
少女の後ろに座っていた、口元を歪めて笑う女を見てから
「せいぜいできるのは、貴様を楽にすることくらいだ」
と瞬時に少女を切り刻んだ。ぬいぐるみの中からは爆弾が零れ落ちる。
「死ねえええええええ! 背教者ああああああああああああああ!」
狂気に染まった表情で絶叫する女は隠し持っていたスイッチを押した。一秒と経たずに、爆弾は少女の身体もろとも、半径十メートルを吹き飛ばす。子どもたちは一人残らず、爆弾の餌食となった。
「やった……ダキシン様に逆らうクズを始末できた……預言者に仇なす不要物を殺した……見ておられますか、マザー……私は今……」
女の言葉が終わる前に紫電は彼女の首筋に刀をあてた。
「殺し屋風情の言葉だが……貴様の所業には吐き気がする。あれは貴様の子か?」
「そうだ! 我が子だ! ダキシン様とマザー様に捧げた我が子だ! おのれおのれおのれッ! ゴミの一匹も始末できずに死ぬとは!」
「救いがたい下衆め……」
「この外道めえええええ! 地獄に堕ちろああああああああ!」
ろれつの回っていない女を一瞥して
「それが貴様の辞世の句でいいのか?」
と答えを期待していない問いを投げた。
泡を吹きながら何かを叫ぶ女の首を掻き切る。
「先に逝け。地獄とやらで会ったら、殺し合いくらいは付き合ってやる」
自らが作った紅い絨毯の上に倒れた女を見て、大人たちは子どもたちに爆弾を持たせた。
「行け! 人間爆弾作戦だッ! 命に代えてもダキシン様の敵を、悪魔をこの世から消し去るのだ!」
指揮する老人は狂ったように叫び散らす。
「阿呆が……!」
普段なら言葉を発することもなく全員を調伏するはずだが、なぜか言葉がついて出た。それは彼の中に怒りの感情が燃え始めたからかもしれない。
「さっさと来い……ガキどもはともかく……貴様らは楽に死ねると思うな……」
濃厚な殺意を老人に叩きつけ、紫電は地を蹴った。
こんばんは、星見です。
もう3週間、風邪が治りません。
これはもしや……?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




