幕間:ダキシン=オフミⅢ ~少年時代~
Interlude in
ダキシン=オフミは劣等生だった。知能的にも体力的にも、彼はその他大勢の同級生に到底及ばなかった。しかし、非常に強い自己承認欲求を持つ子どもだった。
「ダキシン様……小学六年生で足し算ができないのは……ちょっと……」
何度保護者面談をさせられたか分からない。
だが、そのたびに父のダキシン=ポコツンは
「それはお前たち教師の指導が悪いからだ! オフミは私の後を継ぎ、この国を導く星のもとに生まれた者。その才能に嫉妬したお前たちの責任だ!」
とかばってくれた。
彼が名門私立中学校に上がって、高校受験を控えてもなお、掛け算や割り算ができないことを知った教師たちは怯えた。なぜなら、彼はダキシン家の長男で、父が内閣総理大臣だからだ。悪い評価などつけようものなら、暗殺されてもおかしくはない。現に、彼を担当していた数学教師や英語教師の何人かが理由もなく行方不明になったり、自殺したりしていた。
学校長から、名門私立高校への推薦入学ができないとダキシン=ポコツンに言った日、学校長が生きて学校に戻ることはなかった。
恐怖に支配され、学校側はダキシン=オフミを、日本一の難関名門私立である魁聖高校へと進学させた。
もちろん、授業についていけるはずもなく、ダキシンは不登校になった。
「誰もボクをわかってくれないんだ……ボクはダキシン=オフミ、この国の支配者になる男なのに!」
落ち込むダキシン=オフミを父の取り巻きや官僚たちは甘やかした。
「オフミ様の価値を理解しないクズなど不要なのです。あなた様はあなた様のしたいことだけをしていればよろしいのです」
「学校のカリキュラムが間違っているのですよ。気になさらなくてもよろしいではありませんか。オフミ様はあんな高校に収まる器ではないのです。さあ、美味しいお菓子とお茶がありますぞ。ご休憩なさってはいかがか?」
ダキシンはそれに溺れる。
何もしなくても良い。
何を選べば良いか、周りが教えてくれる。
自分の人生は周りが作ってくれる。
ダキシンは間違った、暖かい環境で育った。
悪意に満ちた優しさに囲まれて、ダキシン=オフミは少年時代を過ごすことになる。
Interlude out
こんばんは、星見です。
風邪にやられました……
寝ながら原稿を書いていたのは昨日の深夜。
39度近い熱で眠れず、1時間おきに目覚めるナイトメア……
しばらく幕間の物語はダキシン=オフミを中心に描かれます。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




