八十.話の分かる人になろう
プリーズ・ギブ・ミー・マネー!
プリーズ・ギブ・ミー・マネー!
プリーズ・ギブ・ミー・マネー!
曹操は衛弘に事情を説明して、出資のお願いをしていた。
曹操が曹嵩の屋敷に到着して数日後。曹嵩は衛弘を家に招いた。
そして、酒と御馳走で衛弘をもてなして、彼を上機嫌にすることに成功した。
酒宴が最高潮に盛り上がっている時に「ここが好機!」と曹操は満を持して登場し、衛弘に軍費の相談を持ちかけたのであった。
事情を説明して、頭を下げて返事を待つ曹操。
彼は腰の剣をすぐに抜刀できるように心構えをしていた。
(衛弘殿。もし出資を断ったら・・・殺す!ぶっ殺す!金のプールにお前を沈めてやる!さぁ返答やいかに!!)
『私に逆らうことは許さない』という強靭な芯を持つ曹操。
曹操は衛弘が出資を断ったら彼を殺すつもりでいた。
曹操が衛弘に話したのは大事。
返答に時間が掛かるかと思われたが、衛弘はあっさりと曹操に返答をした。
「いいですよ。出資しましょう。良くして下さってる曹嵩殿のご子息からのお願いとあっては断るわけにもいきませんしね。」
「えっ!?本当ですか!感謝いたします!・・・しかし、そんなにあっさりとお決めになってよろしいのですか?」
あまりにも早い返答にさすがの曹操も驚きながら顔を上げ、衛弘に出資の確認を取った。
衛弘はにっこりとほほ笑み、笑顔で曹操に出資理由の説明をした。
「私も董卓の暴政のことは耳にしておりましてな。常日頃より、『こりゃあなんちゃあせんといかんばい!』と思っておりました。しかし私は商売人。どうする事も出来ず、ただ時勢を眺めることしか出来ませんでした。」
「・・・曹操殿。お主の才の噂は私の耳にも届いておりました。お主が私に代わって天下を治めて下さるというのなら、いくらでも出資しましょう。・・・ただし、敗れないように、しっかりと準備をしてから大挙するのですよ。お金は大事ですから。ハハハ。」
衛弘から出資理由を聞いた曹操は拱手して、衛弘に礼を述べた。
「・・・衛弘殿。かたじけない!すぐに準備を整え、衛弘殿の判断に間違いがないことを証明して見せます!!」
そう言って曹操は「話の分かる人物で良かった。」と内心ほくそ笑みながら宴会場を後にした。




