七十九.お金持ちには勝てない
陳宮と別れて数日が経過した。
曹操はようやく父のいる故郷『陳留』へたどり着いた。
曹操は陳留に着くと、すぐに父である曹嵩の屋敷へ赴き、曹嵩に事の次第を告げた。
「父上。しばらくぶりですね。お元気でしたか?」
「わしは元気だったが・・・お前は一体何をしでかしたんだ?人相書が各地にまわっておるぞ。」
「いや~董卓暗殺に失敗しましてな。それで追われているのですよ。ハハハ!!」
「董卓暗殺って・・・お前、とんでもないことをしでかしたな。」
曹嵩は呆れ顔で話を聞いていたが、溺愛している曹操のしたことであったので、声を大にして怒ることはしなかった。
激甘の父に対し、曹操は自身が考えている計画を実行するためのお願いをした。
「ハハハ、悪童の私がしたこと。父上にとっては慣れたモノでしょう?・・・それよりも父上。父上に折り入ってお願いしたいことがあるのです。」
「お願い?一体何じゃ?」
「私は董卓討伐を諦めておりません。そこで、董卓を討伐するために兵を集めたいと思っております。しかし、お金が無くて兵を集めることが出来ません。・・・父上ぇ~ん!どうかお金を貸してくっださっいなっ!!」
曹操は子供が強請るような仕草をして、莫大な金を父である曹嵩から巻き上げようとした。
曹家は裕福な家である。
普通に暮らすだけなら何一つ不自由なく暮らせるだけのお金は持っている。
しかし兵を集め、養うだけのお金は持ち合わせていなかった。
普通の親なら怒鳴りつけるところだが、やはり曹嵩は曹操に対して激甘であった。
曹操の願いを叶えるため、1人の人物を紹介することにした。
「・・・曹操。お前には悪いが、我が家には兵を集めて養うだけのお金は無い。だからわしはお前の願いを叶えることは出来ん・・・が、代わりにある人物を紹介しよう。その人物がお前の願いを叶えてくれるかもしれん。」
「ほう。父上にはお金持ちの知り合いがおられると?やはり父上は顔が広い。」
「ハハハ。曹家は仮にも名家じゃからな。・・・でだ、お前に紹介する人物は『衛弘』という名の人物で、河南で一、二を争う財産家じゃ。衛弘とは親しくしているから彼にお願いしてみるとよい。」
「わかりました。・・・では父上、彼を家に呼んで酒宴を開いてくれませんか?時期を見て、私が衛弘殿に話を持ちかけてみます。」
「・・・そこまでわしにさせるとはお前は本当に」
「父上ぇ~ん!お願いしますぅ!!」
「・・・わかった。準備をしよう。・・・はぁ。」
曹嵩は甘える我が子の願いを断ることが出来ず、ため息を吐いて衛弘を家に招く準備を始めたのであった。




