百八十二.天下を握ることは簡単ではない
呂布は今、郿塢城より逃げた董卓の残党兵を追っていた。
董卓の旧臣たちを抹殺するためである。
「奴らを生かしておけば、後日の災いとなる!奴らの首をチョンパするぞ!進めーーーー!!」
「「はいはい!了解!イエッサーー!!奴らの首をチョンチョンパーーー!!!」」
後顧の憂いを絶つべく、呂布軍は勢いに任せて残党兵を追撃するのであった。
一方此方は残党軍。
董卓の旧臣である『李傕』、『張済』、『郭汜』、『樊稠』の四将軍は、呂布に降るのを良しとせず、彼らは呂布の軍勢に戦いを挑もうとしていた。
とはいえ、相手は天下無双の呂布である。
「まともに戦っては勝ち目無し!」と、彼らは山間に呂布の軍を誘い込み、長期戦に持ち込むことにしたのであった。
呂布は『武勇』に優れた将であったが、『智』が足りない将であった。
彼は山間に誘い込まれたなどとは微塵も思わず、彼らの思惑通りに山間へと深く入り込んでしまった。
そして、呂布軍が山間で身動きが取れなくなった間に、張済と樊稠の2将が間道(=抜け道)より迂回して、長安を攻め落としてしまった。
それに気づいた呂布は急いで長安へと引き返したが、時すでに遅し。
長安は董卓の残党兵たちに支配され、火の海となっていた。
こうなってはさすがの呂布もなす術がなかった。
そして、呂布は悔しさを滲ませながら、「後日に期す!」と言って、袁術の元へと身を寄せて行ったのであった。
呂布には思慮が足りなかった。
また、彼は道徳も欠けていた。
その短所が顕著に現れ、彼は覇権を握ることが出来なかったのである。
ちなみに董卓暗殺の首謀者である王允はというと、彼は大権を得た四将軍に反逆者の汚名を着せられ、斬首刑に処せられたのであった。
こうして長安での騒乱は終わった。
董卓は死に、呂布は長安を去り、大権は董卓の残党兵たちが継いだ。
董卓が死んだことで太平の世になるかと思われたが、そう簡単にはいかない。
各地には天下を手中に収めんとする野心家がまだ大勢いる。
戦いの世は終わらない。
そして、長安より遥か東の地で、新たな戦乱が始まろうとしていた。
間章 大権の行方 完




