百七十五.人生は罠だらけである
呂布を手中に収めた王允は呂布を帰宅させた後、同志の黄琬と士孫瑞の2人を呼び寄せ、今後について検討していた。
「呂布を裏切らせたのは良いが、問題は・・・」
「『どのようにして董卓を討つか。』という事ですね。」
「左様。奴の周りには呂布以外の猛将も多い。確実に奴を打つ方法は無いモノか・・・。」
王允が悩んでいると、士孫瑞が手を打って、
「いい方法がありまぁす!!」
と言った。
その言葉を聞いて、王允と黄琬は「「なんじゃ、なんじゃ。」」と身を乗り出して士孫瑞の策を聞き始めた。
「近頃、天子様がご病気がちなのは御二人も知る所でしょう。今回はそれを利用するのです。」
「董卓の元に偽の勅使を出して、『朕は病弱なため、帝の位を董卓に譲る・・・ガクッ。』という偽りの詔を下して、宮中に彼を誘き寄せるのです。」
「宮中にはわずかの護衛兵しか連れていけませぬ。そこを呂布に狙わせ、董卓を仕留めるのです。」
士孫瑞の策を聞いた2人は、
「それは良い。帝の位となれば、董卓も食いつくに違いない。」
と納得して、士孫瑞の策に同意した。
それから彼らは密に行動し、董卓暗殺の準備を進めた。
その過程で、近頃、董卓と不仲である李粛を説得して彼を仲間に入れ、彼を偽の勅使にすることに決めた。
そして、郿塢城にて・・・
「なにっ!? わしに帝の位を譲りたいと!!」
「左様です。天子は自身が病気がちなのを常日頃より気に掛けておりまして、近頃は跡継ぎのことばかりを考えておりました。そして先日、董卓太師に帝の位を譲り、自身は田舎で養生したいとご決断なさりました。・・・太師。天子のためにもどうかお受け下さいまし。(釣れろよ、釣れろーーー!!)」
偽の勅使である李粛の話を聞いて董卓は大いに喜んだ。
「それは願ってもないことであるが・・・宮廷の重臣たちはどう思っておるのだ?」
「皆は口を揃えて、『董卓太師なら喜んで!!』と申しております。(嘘に決まってんだろバーカ!!)」
「ほほう。そうか、そうか。・・・おっと、肝心な人物を忘れておった。司徒王允殿は何と言っておるのだ?」
「王允殿も重臣たち同様、大賛成にございます。それに、今、彼は即位式の準備に追われているところにございます。(本当はお前を殺すための準備だよ!おたんこなす!!)」
「もう準備をしておるとは・・・気が早いことだ。ぬははははは!!」
王允の承認も得られたとあって董卓は完全に油断していた。
これが死への第一歩だとも気付かずに。
「よろしい!すぐにでも宮中に参内すると伝えてくれ!!」
「御意!!(勝った!計画通り!!)」
こうして、王允たちの罠にはまっていることなど露知らず、董卓は参内の準備を始めたのであった。




