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26.青騎士団詰所にて 4




「も~~。2人ともひどいです!黙ってるなんて。」



怒ってるんですからね!もう!ってな感じでバスケットの中身を指定された応接セットの長テーブルに出していく。


16歳っぽいかわいい感じの仕上がりになってるかしら?


濁点つけてああん?とか言ったらどういう反応するかな?という悪戯心はぐいぐい奥に押し込めておく。



余裕で男の人が2人座れるソファが二脚と1人用ソファが二脚。


1人用ソファに向かい合って座っているヨルンさんとエリスさんは尻尾ぶんぶんワンコ状態だ。




「あはは。ごめんね~。」




「わざわざ言うことでもないかな~と思って。ビックリさせちゃってごめんね。」




口では殊勝に謝っているが意識は目の前にセッティングされていくランチに釘付け。


目を子供のようにキラキラさせている。


ってかヨルン!申し訳ないなんて欠片も思ってないだろう!


エリスさんは許す。



まぁ本気で怒ってるわけじゃないんだけどさ。


なんにも知らなかったことがちょっと腹立たしかっただけの八つ当たりみたいなもんだし。


それにあたしが団長だったとしても言わないもん。


通りすがりの人や会うのが一度きりになりそうな初対面の人にわざわざ「団長やってます。」なんて。


行く先々で肩書き触れ回ってるような人たちだったら今後の付き合い考えちゃうよ。




「お待たせしました~。どうぞ召し上がれ。」




「ユミちゃんの分は? 一緒に食べないの?」




「え?私の分はないですよ?ここでランチしてくなんて考えもしませんでしたし。・・・おかわり用に多めに作ってはきましたけど。」




エリスさんの頭にケモ耳、ヨルンさんの頭にネジネジした角の幻覚が。


ケモ耳は可愛いだけだけど。角のほうは・・うん。逆らわないほうがいいやつ。


ヨルンさん猫被らなくなってきたな。




「・・ありがたくいただきます。」




空いている2人掛けソファにそっと腰を下ろす。


なぜかあたしも一緒にランチをいただくことになりました。




「うん!美味しい!」




「唐揚げなくなっちゃった・・」




満面の笑みでおにぎりを頬張るエリスさんと自分の分の唐揚げを食べきってしまい悲しげなヨルンさん。


そっとおかわり用の唐揚げをヨルンさんの取皿に追加する。




「ありがとう。」




腹黒王子の笑顔がまぶしいっす。

 



「それにしてもエリスもユミちゃんのこと知ってるとは思わなかったよ。」




「市場から宿まで荷物運ぶのを手伝ったことがあって。まさか騎士団の詰所で再会することになるとは思わなかったなぁ。」




その節は大変お世話になりました。


実はマジックバック持ってました。すんません。




「今もギルドの宿に?」




もぐもぐしてるエリスさんの頬がリスみたいで可愛いなぁ。癒される~。


ほっぺたツンツンしたい。




「はい。そのうち家を借りたいな~とは思ってるんですけど。お弁当屋さんやりたいと思ってるので。」




心の中ではニヤニヤ。外ではニッコリ。


変質者扱いされたくないから頑張る。




「お弁当屋さん?こういうの作るお店ってこと?」




手がベタベタになるのも気にせず手づかみで唐揚げを頬張る腹黒王子様。


ご機嫌らしくいまは汚れなきキラキラを発している。


めっちゃ気に入ったみたいね~。


おにぎりと唐揚げをエンドレスで食べ続けている。


野菜も食べなさい。



あ、口端に衣らしき茶色の欠片が。


教えてあげたら舌でペロリ。



エマージェンシー。エマージェンシー。


ここに先ほど市場でお見かけしたお嬢様方がいたらどエラい騒ぎになる案件が発生いたしました。





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