八十六話
従業員の静納鷹谷と彼がぐったりとしているのは、それだけが原因ではなかった。
「・・・・・・・・・」
その原因の一つとなっている商品を眺めながら、彼は絶句していた。
彼の視線の先にあるのは、露天商が売り出している商品の一つ。
『量産型アンドロイドオメガ800』だ。
倉庫から運びたざれている――――もとい飛び出しているのは、外見モデルが全部が二足歩行で
歩いている猫だ。
幻想種族モデル型で言えば、無数のフェルパーだ。
それらが大量の重火器類や弾薬を持ち、規律ある整列をして、走る様に移動している。
「急グニャ!!」や、「ニャーゴ!! ニャーゴ!!」と叫びながら何処かに向かっていく。
「壮観な眺めだね・・・在庫あるだけ全て買い占められちゃったよ」
静納は、手に持っている書類に何かを書き込みながら告げる。
「えーと・・在庫って確か四十万体でしたっけ・・・」
彼は、ゆっくりと静納に視線を向けながら応える。
その間にも、「ニャーゴ!! ニャーゴ!!」と耳障りな叫びを発しながらフェルパーモデルの量産型
アンドロイドオメガ800が移動している。
「すでに、二十万体が目的の17地区へ向かって現在絶賛死闘中だよ。今向かっているのが最後の
二十万体だよ」
静納が告げる。
「・・・マジで購入されたんですね」
彼は、何とも言えない表情を浮かべながら応える。
「再三確認したんだけど、そのお客は、『ちんたら言ってないで、さっさと売れよ!? こっちは激戦なんだぞっ、コラぁ!! それとも何か? 客の要望にはお応えでないとかいうのか!! この糞店員がぁ!!』とか物言いに問題がある言葉で返されたら、こっちも商売だし要望に応えないと」
静納が静かに告げる。
「・・・で、その書類は・・・」
彼は、おそるおそる尋ねる
「追加発注分だよ。 『たった四十万体だけしかないのかよっ 使えねぇ露店だなぁ!!
二千万や三千万ぐらい在庫に入れとけよっ こっちは生きるか死ぬかの状況なんだぞっ!
お前らは誰のおかけで稼ぐ事が出来ているのか、分かっているのか!? 発注でもなんでもして
さっさと 商品持って来いよ!! 糞がっ』とか言われたらさぁ、要望に応えないと・・・でも
問題があるんだよ」
静納は、書類に書き込みを終えると、視線を『ニャーゴ!! ニャーゴ!!』と鳴きながら移動している
フェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800を向けて応える。
「・・・何です?」
彼が尋ねた
「 そのお客さん、『一時間で持って来い!! 一時間で!! 一分でも遅れたら金なんか払わねぇからなぁ!!』とか言われたんだよ・・・どんなに頑張っても三時間はかかるんだけどなぁ・・」
静納は困り切った表情を浮かべながら応えた。
「・・・・あれをそんな短時間で届けられるのもたいがいですから・・・」
彼は短く告げた。
そんな二人の前を、『ニャーゴ!! ニャーゴ!!』の大合唱で通り過ぎていく。
――――フェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800が向かった場所では、死闘が展開していた。
従来型鬼獣「ソルジャー」中型鬼獣「イントゥルーダー」 猟犬型鬼獣「インベイダー」が犇めく
大群に『ニャ―――――――――ゴ――――――――――!!!!!』と鳴きながら、フェルパーモデルの
量産型アンドロイドオメガ800の大軍団が、味方の砲弾が雨霰と降り注ぐ中突撃をしていた。
至近距離で、砲弾が落下し吹き飛ばされるフェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800もいる。
『ニャ!! ニャ !!』
指揮官―――部隊の小隊長らしきフェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800が、短く鳴きながら
他のフェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800に指示をする。
『ニャ――――――――――!!!』
指示を受けたフェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800の身体には、腹部や大腿部に
爆発物を固定していた。
フェルパーモデルの量産型アンドロイドオメガ800特攻型だ。
それらは、『ニャァァァァァ!!!!』と鳴きながら、鬼獣を巻き込んで自爆していく。




