八十話
その一時間後には、重火器類で完全武装した小学生集団は、新種「鬼獣」の
出現により、後手に回った防衛軍に加わった。
小学生集団はラブホ建設予定地内で、新種「鬼獣」と夥しい「ソルジャー」の群れと手合わせをした。
ラブホ建設予定地内は、「鬼獣」の影響により環境が湿地ぎみの密林化としており、その中を一歩一歩と進軍していた。
密林内での「鬼獣」は、狩りの名人であり、移動は本能的だ。
だが、小学生用の体格に合わせて製造された重火器類をふんだんに装備した
小学生集団は、頑強であり、恐慌などなかった。
人的被害を省みず積極的に攻撃を仕掛け、殺し殺される凄まじい戦闘が
密林内で展開する。
二時間後には、ラブホ建設予定地奪還軍(?)の総指揮官は、戦況が予想以上に
良好ではない報告を受け、他地区からの増援兵力の一部の投入を開始した。
兵力投入がままならない中でも、他地区からの各航空部隊が協力し物資の空輸
を開始した。
その中には、B-52 、B-2 スピリット、B-1 ランサーといった戦略爆撃も
含まれおり、その戦略爆撃群には、B-29、B-36 、富嶽といったものまで
あった。
特に、「富嶽」は第二次世界大戦中に日本軍が計画した、アメリカのB-29を
超える6発の幻の超大型戦略爆撃機だが、どうやらこの世界では、それすらも
市場で売り出されているようであった・・・。
17地区に集結した戦爆群は、およそ約八千機。
しかもそれら全ての機体に、痛車よろしく漫画・アニメ・ゲームなどに
関連するキャラクターやメーカーのロゴをかたどったステッカーを貼り付けたり
している。
少なくともこの様な事は日本国防軍はしないため、間違いなく民間機だ。
「こいつはすげぇ・・」
轟音を轟かせながら上空を通過していく大編隊を見た、男性住民が唸った。
「確かに凄いよな。あんだけ揃って無駄に多い爆弾を落として、ひゃっはーするもんな。爆撃馬鹿どもが」
それの言葉を聞いた、隣にいた男性住民が煙草に火をつけながら応えた。
「・・・お前は、純粋に驚かないのか」
大編隊を見ながら尋ねる。
「驚く要素がどこにあるんだ? あいつらは、爆弾落として楽しんでいる
だけだぜ? まったく、地上にいる俺達の事も考えろよ、間抜けどもが」
煙草を吸いながら苛々した声で、その男性が応える。
「・・・・おい、あんまり、爆撃屋の連中の前で言うなよ。いざと言う時に、
爆撃支援してもらえなかったら、お前死ぬぞ」
上空から視線を戻しながら、そう告げる。
「ガキじゃあるまいし、言わねぇよ」
煙草を吸いながら、短く応えた。




