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七十八話

 

 身を隠せるようなものはほぼ何もなく、鬼獣群と接近戦を展開していた

住民達の頭上に鋼鉄の雨が降りそそいだ。

 そこそこで、鬼獣の奇声や炸裂した破片で傷を負った住民達の断末魔が響く。

 17地区の住民、他地区からの増援部隊、熱狂的なファングループ、鬼獣の

区別なく撃ち砕かれていく。

  「誰だよ、こんな下手くそな援護射撃してやがるのは・・・!!」

  下半身を吹き飛ばされた男性住民は、鬼の様な形相を浮かべながら息絶えた。




  例え地上がどんなに修羅場になっていようが、援護射撃を行っている

AC-130W の搭乗員達は、無理にでも感情を消していた。

  命令を受けた事をただ実行するためかはわからないが、機内では、七十年代の

 悪魔に変身するテレビアニメの主題歌が大音量でエンドレスで流されている。

  発射要員の何人かは、鬼の形相を浮かべながらその主題歌を歌い砲撃を

 続けている。

  「・・・・・」

  射撃要員達は下手な歌声を発しながら、地上に向けて砲撃を続ける。

 AC-130W に搭載されている火器は、対鬼獣用に改良された武装類なため、

  火力も破壊力も従来以上の破壊力がある。




  「衛生兵っ!! 衛生兵!!」

  阿鼻叫喚の地獄絵図が広げられる中、あちらこちらでは衛生兵を呼ぶ声が

響く。

  上空からの無差別な支援攻撃は、味方の犠牲も凄まじいが、鬼獣群も弾幕に

 包まれ、釘付けになる。

  鋼鉄の雨が降り注ぐ中、住民達は鬼獣や味方の死骸が散乱している場所を

乗り 越えて、鬼の様な形相を浮かべながら前進した。

 頭上からは鋼鉄の雨が降り注ぎ、鬼獣群の中で砲弾が炸裂し、吹き飛ばし

周囲を鬼獣の液体で染めた。





 そこに他地区からの増援部隊九千名も到着し、一時は鬼獣群を圧倒しはじめたが、まもなくそれを上回る数の「ソルジャー」が現れはじめた。

 まるで草食動物を狙う肉食動物の様に、「ソルジャー」は住民達を追い

詰めていく。

 もちろん、鬼獣群には夥しい銃弾が浴びせられていた。




  「この化け物どもがっ!!」

  自動小銃の引き金を絞っていた男性住民が叫ぶ。

  「おいっ、足を狙って撃てよっ!!」

  手榴弾を投げた、男性住民が喚く。

  「逃すな、殺せっ!! 殺しつくせ!!」

  『戦鬼』を服用していた男性住民が、叫ぶ。

「糞っ、これじゃきりが無いぞっ」

 手榴弾を投げた男性住民が呻く様に告げる。




「この鬼獣も面倒だが、あの上空支援の連中を何とかしてほしいもんだ」

 自動小銃の引き金を絞っていた男性住民が、そう応えた。

「まったく、アイドルファンの連中どもは・・・・鬼獣と人間の区別もつからないほどの間抜けな連中ばかりなのかっ!?」

 手榴弾を投げた男性住民が、二個目の手榴弾の安全ピンを抜いて投げながら

 告げる。

「文句言うのは、後からだ」

 自動小銃の引き金を絞っていた男性住民が、新しい弾倉を装填しながら

応えた。



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