六十話
18地区にある喫茶店「しゅれねこ」で、その様な出来事が起こっていても、
17地区で鬼獣群との血みどろの闘いを展開している住民達には、何の
手助けにはならなかった。
骨董品店「春野隠者」付近で戦闘を行っている住民や日本決死隊、死社会人
部隊は、新種鬼獣、猟犬型鬼獣インベイダー、中型鬼獣イントゥルーダー、
従来型鬼獣ソルジャーで構成している鬼獣群と交戦を行っていた。
防衛側は、巧みに即席だが強固な陣地、巧妙な障害物、そして巧みに偽装したトーチカを配置した。
しかし、鬼獣群は犠牲をもろともせずに強行突破を行ってくる。
「 「ミミック」 こちら 「ツタンカーメン」砲撃支援を要求する!!
オーバー」
派手なフェイスペイントをした日本決死隊所属の男性隊長が無線で要求する。
「 (「ツタンカーメン」 こちら「ミミック」 了解した アウト)」
無線機から雑音混じりの応答が返ってくる。
「「ミミック」、こちら「ツタンカーメン」、目標の座標**** ****
繰り返すっ 目標の座標**** **** 火急速やかに砲撃を希望するっ!!
オーバー」
派手なフェイスペイントをした日本決死隊所属の男性隊長が怒鳴る様に告げる。
「( 「ツタンカーメン」 こちら「ミミック」確認する
座標 **** **** 鬼獣群に砲撃を開始する。 月まで吹き飛ばしてやる!
アウト)」
まもなく、後方の支援砲兵部隊から榴弾砲、迫撃砲、野砲、多連装ロケット砲が
雨霰と鬼獣群に叩き込まれる。
地震の様に激しく大地が揺れ、辺り一面に噴煙が立ちこめた。
耳を聾するような砲音と爆発音が間断なく続き、無数の赤い閃光が立て
続けに走るが、それらの火力を受けても鬼獣群はまったく怯んだ様子はなかった。
砲撃により辺り一面は一変したが、鬼獣群は奇声を発して
向かってくる。
日本決死隊所属の男性隊長が、その様子に真っ青になった。
「火力をあの新種鬼獣に集中しろっ!!」
日本決死隊所属の男性隊長が、無線で各分隊に指示を出す。
その指示が通ると、無数の無反動砲やRPG7が新種鬼獣に向けて放たれる。
新種鬼獣は、吹き飛ばされ粉砕されていく。
新種鬼獣一体(匹?)辺りに、二十発から三十発が撃ち込まれた。
「畜生っ、100メートル前方より猟犬型鬼獣インベイダーが突っ込んでくるぞっ!?」
FN SCARをぶっ放し、弾倉を入れ替えている日本決死隊所属の男性隊員が
告げる。
「増援は来ないのかよっ!! このままじゃ全滅するぞっ」
M203 グレネードランチャーを使っている17地区の男性住民が応えた。
「四方八方で修羅場だから、なかなか来れないんじゃないのか? まぁ、微糖の
コーヒーでも飲んで落ち着け」
ワルサーP38をぶっ放していた同じ17地区の男性住民が告げながら、
缶コーヒーを手渡す。
「お前は、何でこんな修羅場でコーヒーなんて飲めると思っているんだよっ!?
お前は、馬鹿なのか、それとも死にたいのかっ!?」
M203 グレネードランチャーを使っている十七地区の男性住民が怒鳴る様に
応える。
その様子をM110狙撃銃に弾丸を装填していた和服姿の男性住民が一別した。
その表情は、悲壮じみた表情を浮かべている。
「・・・・・」
何も喋らず、淡々とM110狙撃銃の引き金を絞っている。
この和服姿の男性は、骨董品店「春野隠者」の店主だ。
店内には、貴重な骨董品が展示されているが、もしここが鬼獣に
蹂躙されることがあれば、貴重な骨董品ごと鬼獣もろとも爆破する事が
法令上で定められている。
そのためか、この店主からは鬼気迫るものがあった。




