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五十四話


 髑髏と骸骨を模した甲冑に身を覆っている搭乗員は、彼が見た限りは

その一人だけで、他は全員が迷彩服を着込んでいる。

 ただ、全員の顔に憂愁の影が差している。

 別の戦車搭乗員同士に彼は、視線を向けた。

 そこでは、缶コーヒーを飲みながら話を続けている。




「もう戦車同好会の予備部隊を投入だって?」

 ブラックコーヒーを飲んでいた男性搭乗員が尋ねる。

「通信を聞いた限りでは、前線で予想以上の鬼獣群が攻勢をしかけているようだ」

 微糖コーヒーを飲んでいる男性搭乗員が応える。

「だとすると、予備のティーガーII、VIII号戦車 マウス、IS-2、九五式重戦車

 を投入したって事か」

 ブラックコーヒーを飲んでいた男性搭乗員が怪訝な表情を浮かべながら尋ねる。




「鬼獣群は、 **** ****周辺を突破、戦車同好会は包囲を避けるために

 **** ****周辺まで撤退中だ」

 微糖コーヒーを飲んでいる男性搭乗員が短く応える。

「くそっ!! こりゃあ、俺達も覚悟を――――・・・、ん、何だ?」

 予想を越える最前線の状況を聞いて、罵りながらブラックコーヒーを飲んでいた男性搭乗員が、何かに気づいて怪訝な表情を浮かべながら付近を見渡す。




 その様子を見て彼も怪訝な表情を浮かべるが、その原因がまもなくわかった。

 何か歌が聴こえてきた。

 それはだんだんと近づいてくるのがわかった。

 この場にいる戦車搭乗員全員も気づきはじめ、聴こえてくる方角に

視線を向ける。

 その先には、頭部、顔面、頸部を保護するため、戦闘用ヘルメットと

 フェイスマスク、アサルトスーツ、弾倉などの各種装備を収納するポーチが

 多数取り付けられているタクティカルベスト、その下には銃弾や爆発による

破片などから身を守るために、使用されるベスト状のボディアーマーを着用した

異質な装備服の集団が隊列を組んで姿を現し始めた。




「(何だ、あの集団は・・・・)」

 彼は、唖然としながらその集団を見る。

 所々に、血と埃と汗と泥で汚れているのがわかる。

 手には重火器類、打撃武器、斬撃武器を悠然と持っている。

 どうやら、その集団が何かを歌いながら行進しているようだった。

「ちょっと部隊は「死社会人部隊」や、兄ちゃん」

 後ろから、関西訛りの声が聞こえてきたので、振り返る。

 そこには、露店の古株である重岡がいた。




「「死社会人部隊」? 何ですそれ」

 彼は、聞き覚えのない名だったため、純粋に尋ねた。

「うははっ!! 相変わらずワイを笑い殺す気やな、兄ちゃんは!! 

「死社会人部隊」は、「日本国在日 外国人義勇隊」やがな」

 重岡は、ゲラゲラ笑いながらそう応える。

「・・・はい?」

 彼は、返答に詰まったため、そう応えた。



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