四十九話
第一艦隊は海戦における艦隊陣形の一つ、防御を重視した輪形陣で、
鬼獣跳梁跋扈海域を突き進んでいた。
輪形陣の中心には、ステレス性能のある大型空母と旧日本海軍の「信濃」型
空母が中心に置かれている。
周囲には、数多のイージス巡洋艦、イージス駆逐艦、高速戦闘支援艦、補給艦が
脇を固め、海中には6隻以上の最新鋭大型潜水艦がサポートについている。
その護衛艦には、旧日本海軍の吹雪型駆逐艦、神風型駆逐艦や大和型戦艦の
軍艦の姿や、この世界で建造された60ノットの速度を出す超高速戦艦20隻の
姿もあった。
その光景は見る者を圧倒する壮観無比な光景だ。
この兵力の及ぶ限りの空間を制圧・支配は間違いなくできるだろう。
また、この構成する艦艇の総乗組員数は通常なら7,000人以上になるが、特に
日本決死隊が保有する大方の艦船の乗組員は量産型アンドロイドオメガ800で占められている。
現に吹雪型駆逐艦、神風型駆逐艦や大和型戦艦の軍艦の総乗組員には、
『エルフ』『ダークエルフ』 『シャドーエルフ』『ハーフエルフ』『ドワーフ』『ホビット』 『ノーム』 『フェルパー』と言った幻想種族モデルや、
元カリフォルニア知事の外見モデルを筆頭に、国際的著名人モデル型の量産型
アンドロイドオメガ800の姿があった。
もちろん、量産型(?)の世界各国の人種モデル型のアンドロイドオメガ800の
姿も存在している。
それらを購入した者達は、情報が集約される部署、指揮・発令を行う戦闘指揮所で落ち着かない表情を浮かべて待機している。
この鬼獣跳梁跋扈海域を突き進んでいる艦隊には、一つの特徴があった。
艦船の何処かに団扇を持ったアロハシャツペンギンのロゴマークが描かれ
ている。
そのマークが、全ての艦船に描かれているとなると、この艦船は全て露天商が販売している商品と言うことだろう。
その艦隊には手野グループ傘下テレビ局の中継艦もあったが、そちらにも艦に
も団扇を持ったアロハシャツペンギンのロゴマークが描かれている。
力の象徴と表現してもいい第一艦隊が鬼獣跳梁跋扈海域内に入ってまもなく、
レーダーに夥しい数の飛行物体が急接近する反応が出始めた。
その手荒い大歓迎は、誰も予想に出来ないほど早かった。
「レーダーに反応あり。感多数! 方位八十五度、距離二十」
第一艦隊日本決死隊旗艦「大和」型艦船「ざるそば」の戦闘艦橋に、
電測室から報告が報告が上げられた。
電測室には、海軍勤務服を着込んだ独逸第三帝国アドルフ・ヒトラーや、
ハリウッド映画で、幾度もテロに巻き込まれる刑事役を演じている俳優モデル型のアンドロイドオメガ800の姿があった。
報告を届くや、艦橋の空気は一気に激変した。
数分後、鬼獣群の姿が出現し咆哮が轟き始める。
夥しい数の鬼獣の群れである。
一匹(体?)、二匹という数ではない。
咆哮そのものは低く、重々しく、動きを止めてしまうほどの咆哮だ。
第一艦隊の日本決死隊艦隊司令長官の男性は顎を引き締め、船酔いでもしたように青白い貌の男性参謀は、厳しい表情を浮かべる。
「見張り、鬼獣の数と種類を報せ」
青白い貌の男性が尋ねた。
「数千、新種鬼獣認む」
海軍勤務服を着込んだ、エルフ型外見モデルのアンドロイドオメガ800が流暢な
日本語で簡要に返答する。
「こりゃあ、厳しい闘いになりそうだな」
日本決死隊艦隊司令長官の男性は、忌々しげに告げる。
「そりゃあ、そうだろう、なんせ全部が新種だ。酷い闘いになることは間違いないだろ・・・・畜生、参加表明なんてするんじゃなかったぜ」
青白い貌の男性が応える。
「あきらめろ でもよ、鬼獣がこの海域を自分たちの棲息地だとも思っていやがるのは腹がたたないか?」
日本決死隊艦隊司令長官の男性は凄みのある声で告げる。
「お前の言うとおり、確かに正直腹が立つ。そうでなければ、こんな遠くまで離れた海域の近くまで参加した意味がないな」
青白い貌の男性は、日本決死隊艦隊司令長官の男性の言葉に頷きながら応える。
「ならば、何が何でも鬼獣を全力で排除しないとな」
日本決死隊艦隊司令長官の男性が肉食獣を彷彿とさせる笑みを浮かべながら
告げる。
「それについては、反論はまったくない」
青白い貌の男性が静かに応えた。




