四十二話
しばらくして復活(?)した重岡に連れて行かれた場所は、露店内のある
売場だった。
売場の手続きカウンターの後ろでは、6人の店員が忙しそうに作業をしているのが、彼にはわかった。
その中で2人の男性店員の作業が、特に彼は気になった。
「イギリス海軍の1等艦とオメガ800セット在庫確認終了、次は?」
片耳にイヤホンを差し込んでいた、男性店員がタブレットを操作しながら尋ねた。
その男性店員は、長旅をしてきたばかりの様に疲れ果てた表情をしている。
「戦艦8隻と巡洋戦艦8隻、これにオメガ800をセットにしたやつだな。
船はぜんぶ旧日本海軍のやつだ。
あと、『露店セット』はどうなってる?
戦艦8隻と巡洋戦艦8隻と空母8とオメガ800セットのやつだけど」
沈鬱な眼付きの男性店員が国語辞典並の分厚い台帳を、机の上に広げながら
尋ねている。
「種類と船体、あと、史実か魔改造浪漫なのか言ってもらわないと、確認のしようがないぞ」
疲れ果てた表情の男性店員が、不満げな声で応えるながら、タブレットを操作する。
「悪い、悪い・・・・、えーと、戦艦は旧大日本帝国海軍が大和型戦艦の次に
計画した超大和型戦艦、巡洋戦艦は対艦ミサイル30基、対空/対潜ミサイル
24基搭載型、空母はジェラルド・R・フォード級航空母艦だ」
沈鬱な眼付きの男性店員が国語辞典並の分厚い台帳を見ながら告げた。
「前倒しに建造された空母か・・・・、在庫は二セットだけだ」
そう応えながら、タブレット操作を行う。
「次は、カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦とオメガ800セット、
あと、メディナ・シドニア公率いた130隻スペイン無敵艦隊とオメガ800
セットだ」
沈鬱な眼付きの男性店員が台帳を一ページ捲りながら尋ねる。
「 『アルマダの海戦』セットか? おい、頼むから台帳はちゃんと見て言えよ
扱っている商品は半端ないんだから、確認する身にもなれよ!」
疲れ果てた表情の男性店員がタブレットの画面から視線を外し、台帳を見ている男性店員に少し苛ついた声で応える。
「だったら、こっちと代わるか? 台帳はまだまだあるからな」
沈鬱な眼付きの男性店員が静かに告げながら、人差し指で台帳を指す。
その声だけで、聞いた相手を凍り付かせる威力がある。
「・・・・スイマセン」
疲れ果てた表情の男性店員が、額に冷汗を流して、条件反射の如く謝った。
そして、再びタブレットに視線を向ける。
彼はその2人の会話を聞いても、何がなんだかと思った。
「あー、うん、やはり模型なんですよね」
彼はそう尋ねた。
それはそうだろう、重火器類を販売しているのはこの店で雇われてから、
否応なしに理解出来つつある。
ただ、幾ら何でも艦船などは取り扱ってはいないはずだと、彼はそう思った。
そう思ったからこその台詞なのだが、重岡はそれを聞いて再びゲラゲラと
一頻りに笑った。




