二十二話
尚文露店商が保有している某映画で宇宙海兵隊達を現場に運んでいた輸送車両が、戦闘地域に設置されている防壁周辺に辿り着いた時には、隣接する戦区からの
増援が続々と到着していた。
尚文露店商一行は指定されている場所に停車すると、機敏な動きで商品を
荷台から卸していく。
「(ラブホ建設予定地の奪還・・・長引く事しか予想できないな)」
尚文露店主はちくわを齧りながら、防壁に取り付けられている「ラブホテル建設予定地」の看板を眺めながらそう思った。
この場所に送られてきたのは隣接する各戦区の住民達ばかりではなかった。
南米と欧州に派遣されていた日本決死隊に所属する隊員の姿もあった。
「鬼獣どもは俺達を待ち構えているだろうな」
日焼けした男性住民が、何か確信じみた表情を浮かべながら告げる。
「……あー、本当にな……、しかし、なんでよりによって帰国した
ばかりの俺達が投入されるんだよ。「鬼獣の宴」に投入された連中は、
すでに解散してるのにな」
携帯を弄っている男性住民が不機嫌な表情を浮かべながら応えた。
「そりゃあ、各種類の鬼獣とのガチの闘いに慣れているからだよ」
日焼けした男性住民が告げた。
「慣れているというより、派遣先が修羅場なだけじゃないのか?」
携帯を弄っている男性住民が携帯に向けていた視線を、日焼けした男性住民に
向けながら応えた。
「まぁ、そうとも言うが、俺達の他に従来の鬼獣「ソルジャー」や猟犬型鬼獣の「インベイダー」に包囲されたり、 中型鬼獣の「イントゥルーダー」と大型鬼獣「デバステーター」の猛攻を凌いだり、変異種鬼獣「ハウンド」の大群に襲われても腰砕けにならない連中がいるか?」
日焼けした男性住民が告げた。
「・・・・・畜生、心当たりがなさすぎる」
携帯を弄っている男性住民はそう呟き、再び視線を携帯に向けた。
本来この日本決死隊は、「鬼獣の宴」に投入された日本決死隊と同じように
解散する予定だった。
しかし、急遽、隔離閉鎖している無差別戦闘地帯の開放が決定したため、解散が
取り消しとなった。
日本決死隊 隊員(?)達は、その決定を聞き身の不運を嘆いた。
また、すでに解散した日本決死隊隊員からの口からや、隊員自ら書き込んでいる
インターネットの掲示板から、南米戦線と欧州戦線がいかに激戦であり、防衛軍が敗退に敗退を重ねているという生々しい情報は、徐々に広まりつつあった。
南米戦線と欧州戦線の防衛軍は、「グランド・ゼロ」前に発生した二度の世界
大戦で使用された弾薬量を合わせ、さらに20倍以上のという圧倒的な航空支援と
濃密な火力を動員し、急進する鬼獣群に反撃を繰り返していた。
しかし、鬼獣群は緻密な連携と協調で、防衛軍の各所で分断・包囲し蹂躙を繰り返し、防衛軍に大損害を与えてるーーーーーと、そのような情報が広がっている。
「南米や欧州に比べれば、日本は天国だぜ」
ヘルメットにトランプのキングとタロットカードの塔を張り付けた男性住民が
呑気に告げた。
「でもよ、闘っている間に核爆弾使用されるんじゃないのか?」
インスタントのカップヌードルを食べていた男性住民が応える。
「へっ、ラブホ建設予定地に核爆弾なんて使うはずないだろ、それに使ったとしても後始末が大変だぞ」
スポーツ新聞を読んでいた男性住民が告げた。




