十四話
鬼獣群の怒濤の攻勢による損害に苦しまされながらも、17地区の住民や他地区からの増援部隊は、高性能な重機関銃や小火器類による掃射、SMAW ロケットランチャーや 携帯式対戦車ロケット擲弾発射器RPG-29を鬼獣群に向けて容赦なく
撃ち込む。
すでに、包囲され殲滅された部隊や弾薬が不足気味状態な住民達の姿ももちろん
あった。
しかし、士気は高いため誰一人後退せず反撃を繰り返している。
その光景は、17地区内全前線に渡って見受けられた。
「撃て撃て撃て撃て!!」
鬼の様な形相を浮かべ、M十六の引き金を絞りながら男性住民が吠える。
付近にいる数多の住民は、次々とSMAW ロケットランチャーやRPG-29、
M203 グレネードランチャーをM16に装着した銃器の引き鉄を絞り、容赦なく
撃ち込む。
M203 グレネードランチャーのぽんっという間抜けな音の数瞬後に、巨大な
炸裂音が響く。
爆発の衝撃が起こるたびに、空気が揺れ建設物が揺らぐ。
「人間様の力を見せてやろうぜっ!!」
派手なフェイスペイントを施した男性住民がステアーAUGの引き金を絞りながら 高笑いをする。
集中砲火を受けながらも、鬼獣群は奇声を発しながら次々と向かって来る。
「う・・うわぁぁぁぁぁぁぁっ、俺は帰るぅぅぅっ!!!」
焦点の合わない視線と、意味のない叫び声が激しい銃撃音と鬼獣群の奇声に混じって聞こえる。
お手本通りと言うべきなのか、見事な錯乱っぷりを披露している男性住民の
声だ。
「お前、何考えているんだっ!!、帰る場所なんて何処にもねぇよっ!!」
錯乱気味の男性住民を、モヒカンカットの髪の毛をした男性住民が後ろから
羽交い絞めしている。
「嫌だっ、俺は家に帰ってやり残しているエロゲをするんだぁぁぁぁっ!!」
錯乱気味の男性住民が必至とに振りほどこうと暴れながら叫ぶ。
「馬鹿野郎っ、ここで闘わなきゃ蹂躙されるだけだぞっ!、第一、あの化け物共を
倒さないと、お前の好きなエロゲも出来ねぇぞ!」
モヒカンカットの髪の毛をした男性住民が、必死に押さえながら告げる。
「そんなの関係ねぇぇぇっ!! おれはエロゲがしたいんだっ!!
今すぐ家に帰ってエロゲがしたいんだっ!! エロゲをして、気合の入った
濡れ場があるかっ、 声を当てている声優は気合が入っているかっ、
メーカーは気合の入ったシナリオを作ったのか、それを調べてメモをしなきゃならんのだぁぁぁぁぁぁっ!!!」
錯乱気味の男性住民が、必死に振りほどこうとしながら叫ぶ。
まさしく魂の叫び声だ。
「そんな暇があるんだったら、さっさと突撃して一匹でも倒しに行くぞっ!!―――――
おい、村上! お前も手伝え!! 行くぞ」
モヒカンカットの髪の毛をした男性住民が、ガムを噛んでいた男性が凄まじい
笑みを浮かべた。
「おう、丁度昨日コンビニで買ったプラスチック爆薬があったんだ、これで吹っ飛ばしてやろうぜ、山瀬」
そう応える。
「いやだぁぁぁっ、俺はエロゲがしたいんだぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!!」
魂の絶叫を発しながら、2人の男性住民に両脇を固められ鬼獣群がいる方向に引きずられながら突撃の道ずれにされていく。
その丁度後に、ハーレーダビッドソン・VRSCに跨ったアロハシャツと短ズボン姿の尚文露店商が颯爽と現れた。
鬼獣群に向けて容赦なく撃ち込んでいた、幾人かの住民はその姿を視界に
捉えて、呻き声を上げる。
「げっ、店主自らきたのかよっ!?」
1人の男性住民が驚愕とも言える表情を浮かべながら告げる。
「・・・・ということは」
バレットM82を担いでいた女性住民が身体を震わせながら呟く。
「あのまずい軍事レーションももれなくサービスということ?」
ロシア産の大型対物ライフルKSVKを担いでいた女性住民が茫然とした声で
誰となしに尋ねる。
その場にいた誰も彼もが、呻き声をあげた。
「ようっ、ピザ屋より速くお届けする事が信条の尚文真一郎露店主、
ただいま参上!! 注文の品を届けに来たんだが、一体だれか教えてくれないか?」
バイクから降り立った尚文露店主は、ちくわを齧りながら尋ねた。




