十三話
17地区の中心部では鬼獣群の反撃を受け、突破した緊急増援部隊も進撃の
勢いを失いつつあった。
17地区全域では、数十分間に八千匹(体?)以上の鬼獣が随所に次々と出現し、
雪崩れ込む勢いで、バリケードや民家などで頑強な抵抗を見せている住民と
猛烈な死闘を展開している。
頑強な抵抗を見せている住民の中には、七歳どころか六歳の子供の姿もあり、
彼彼女達は、手持ちの重火器類で武装し、激しく交戦を行っている。
局地的鬼獣警報発令が発令してからこの十数時間、鬼獣群の包囲下でも闘い
続けている。
その包囲網を破り、味方の救援を行うため同17地区住民達は、突撃を繰り返していたが、鬼獣群の頑強な抵抗により進めないでいた。
その17地区の住民は、一旦交戦が停止したら重い脚を家に、もしくは
17地区のコンビニに脚を運んでいる。
その目的は、コンビニで売り出されている重火器類や弾薬、軍事レーションなどを購入する事だ。
それらを購入すれば、再び最前線に戻るという行動を繰り返し繰り返し行って
いる。
この状況下で休めは、その分鬼獣群の進撃が速くなることをこの世界の住民は、
嫌になるほど知っているためだ。
M240機関銃やM249軽機関銃を引っ提げて前線に向かう女性、弾薬を運ぶ
初老の老人、負傷した住民達を後送する中年男性や学生――――。
何ともやり切れなさがを等しく感じているのは、死者の輸送だろう。
彼がいた世界ではめったに眼にすることは無い死が、この世界では日常茶飯事、
珍しくも無い事になっている。
男性や女性、時として子供が車や担架で、遺体収納袋に収納されて共同墓地へ
運ばれていく。
この様な戦慄的な背景でも、鬼獣群と交戦は続けられている。
疲れ切った表情を浮かべ、くそ、とぼやいた男性住民の視界が向く先には
遺体収納袋に収納された遺体が搬送されていく光景があった。
煙草に火をつけ様としたとき、突然人が現れた。
それにビクリと肩を大きく揺らし、一歩だけ後ずさりその人物の視線がこちらを向くと、暫くして相手が誰であるか、その男性住民はわかった。
「驚かすなよっ!! 今まで何処に居てたんだ!?」
そう尋ねる。
「なに、ちょっとパン屋「すないぱーうさこ」まで買い出しに・・・」
ヘルメットに鬼獣の撃退数を刻み込んでいる男性住民が、ばっと顔を逸らしながら応える。
「おまえ・・・・それ、三つ先の戦区にあるパン屋じゃないかっ!!」
尋ねた男性が顔を顰めながら告げる。
「しかだかないだろ、あそこのパン屋上手いし、美人女性店長は、男女区別なく
口説きまくる、肉食系女子の鏡なんだし」
鬼獣の撃退数を刻み込んでいる男性住民が、眉を寄せて噛みつくように応える。
「何処が肉食系女子の鏡なんだよ―――――」
男性がそう告げる途中、バイクの音が聞こえてきたため、そちらの方向に視線を
向けた。
その方向には、アロハシャツ姿の尚文露店主がバイクを転がして、颯爽と走り去っていく姿があった。
「おい、露店主だろ、あれ・・・・」
眉間を顰め、やや困り顔で視線を右往から左往へと移ろわしながら、鬼獣の撃退数を刻み込んでいる男性住民が応える。
「呑気にちくわ喰いながら、あんなど派手な服着込んでバイクを運転する人物なんて、1人しかいないだろ・・・」
男性住民は静かに告げた。
パン屋「すないぱーうさこ」の名は、交流させて頂いている
すないぱーうさこ先生の名を許可をもらい使わせて頂きました。
ありがとうございました。




