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一〇四話

 


 十七地区四丁目にある小学校のグランドには、右手首に4色のマーカー付きカードが

 取り付けられていた負傷者の列によって埋め尽くされていた

 地面に座り込みまたは寝かされているのは、各地区から駆けつけた住民や十七地区住民だ

 寝かされている負傷者の大多数は、身体のあちこちをひどく欠損し、

 瀕死の重傷だ

 手首には、黒のマーカー付きカードもしくは赤のマーカー付きカードを

 手首に取り付けられており、 少なくとも負傷というレベル表現ではない

 意識がある負傷者は、喉から絞り出すような呻き声やすすり泣く声を発していた

 校舎の屋根には、『不死商社臨時終了所』という張り紙が張られている

  ・・・おそらくまだ日本語が書けない在日外国人が書いたと思われた



  だが、動ける住民達は一々それについて指摘するほど暇ではなかった。

  「鬼獣に圧倒されて四丁目にある小学校まで負傷者を連れて後退した!!

 そっちのコンビニに医療薬品や銃器類は残ってないか!! アウト」

  汗を滲ませながら、携帯無線機を使っている男性住民が告げた

『(こっちの六丁目コンビニ店内には、何も残っていない!

 2時間前に住宅街で防衛していた連中があるだけ買い占めやがったんだよ

  それから無線やネットの書き込みやらの情報だが、空爆屋共が鬼獣人間問わずの

 空爆を実行しているらしいぞ オーバー)』

  携帯無線機から憔悴している様な声が返ってくる



「糞!! 鬼獣を撃滅するためなら味方の犠牲は知った事ってか!? アウト!」

  携帯無線機を使っている男性住民が罵る様に応える

『(安い犠牲なんだろう それよりもそっちから動けるのを水田付近にまわせないか!

 その方面から救援やら増援の連絡が煩くてな!! オーバー!)』

 携帯無線機から憔悴している様な声が再び返って来る

「無理だ!! 動けるのは医療従事者だ!

 それに負傷者が次から次に搬送されてくるため戦闘所じゃないっ アウト」

 携帯無線機を使っている男性住民は、辺りを見渡しながら即答で応えた



 ――――その水田が広がっている場所では、狂瀾怒涛が渦巻いていた

 他地区からの増援住民や近隣の十七地区住民、そして戦闘用

「アンドロイドオメガ」合わせて九千人を超す人数が、「ソルジャー」 「インベイダー」 

「イントゥルーダー」の大鬼獣群と野戦を行っていた

 防衛側は銃火器類や近接武器で闘い、鬼獣は鋭い牙や手に持つ棍棒で直接殴打で応酬する

 水田や近くの川で双方は壮絶な死闘を繰り広げていた

 特に肩まで浸かる川の中では、双方が水しぶきをあげながら接近戦を繰り広げており、

 どちらが優勢化もわからないほどだ

「畜生!! 人間様を舐めんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」

 他地区から増援としてやってきた男性住民が叫びながら、刀らしき接近戦武器で「ソルジャー」を

 斬り倒した。



「ソルジャー」は耳障りな奇声を発しながら水の中に沈んでいく

 叫んでいた男性住民が雄たけびを上げようとして、水中から接近していた複数体の

「ソルジャー」に引きずり込まれた。

 そんな光景は、随所で展開しているためさほど珍しくはなかった。

 その時、突然着弾音が響き熱風と轟音が響き渡る

「おい!! これって・・・!!」

 川の中で死闘を演じている男性住民が慄く様に誰ともなしに尋ねる

「ああ、何処の誰かは知らんがサーモバリック弾をぶち込みやがったんだ!!」

 別の男性住民がそれに応えた

「畜生!! 俺はそれを買おうとしてたのに!! 誰だよ買ったやつは!?」

 最初に叫んだ男性住民がそう大声で告げる

「そんな事より俺携帯落としちまったんだが、どうしたらいいんだろ・・・・」

 応えた男性住民が、虚ろな表情で応えた





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