百話
――いたるところで黒煙が立ち昇り、鬼獣の金切声と軽快な銃撃がヒステリックに連鎖している、
十七地区内各場所で、増援や弾薬を待ち望んでいる住民に取っては、そんな変わったヘリは冗談では
なかった
金切声を発しながら走り抜ける無数の「ソルジャー」に、銃火器で武装した住民が発砲を繰り返している
至る所では「ソルジャー」の死骸に紛れて、中身の臓腑があたりへぶちまけられた凄惨極まる住民の
死骸が無造作に転がっている。
いや、まだ多少の形があるだけでもマシなのかもしれない。
年齢や性別、国籍すら分別できないほど引き千切られ、破損した死骸も存在しているからだ
濃密な血の臭いと噎せ返るほどの硝煙が立ち込める中、十七地区の住民や各地区からの増援住民は
銃火器類の引き金を絞り、苛烈な火力を鬼獣にあびせている
「もうへとへとだ!! なんだってこんな眼に合わせられているんだ?」
M-41Aパルスガンをぶっ放している男性住民が大声で叫んだ
「何だって?」
M56スマートガンを吠えさせている女性住民が叫び返した
「糞眠いって言ったんだよ!!!」
M-41Aパルスガンをぶっ放している男性住民が叫ぶ
「じじぃ臭い事言ってんじゃないよ!!」
前方から群がる様に押し寄せる「ソルジャー」にM56スマートガンを吠えさせる女性住民が叫び返す
「おいっ!! 火炎放射器は誰か持ってきてないか!! 弾薬が無くなりそうなんだが!!」
レミントン M870 をぶっ放していた男性住民が、弾丸を込めながら叫ぶ
「後で輸送ヘリで来るはずだ! 」
IMI マイクロウージー をぶっ放している男性住民が吠える様に応えた
「糞っ!! もう値段の高い露店でもいいや
もうそれで構わないよ」
レミントン M870 をぶっ放していた男性住民が罵る様に叫びながら、再び引金を絞る
「ああ糞!! 輸送ヘリの到着遅せぇなぁ!! 本当に注文したのか!!
このままだと、鬼獣の消化管の中で永遠の眠りにつきそうだぞ!」
M-41Aパルスガンをぶっ放している男性住民が苛々した声で叫ぶ
その間にも、M-41Aパルスガンで吹き飛ばされていく「ソルジャー」が金切声を挙げて駆逐される
姿があった
「もう沢山だ!! あたしがここに来たのは鬼獣を殺すためであって、あんたらの愚痴を聞くためじゃ
無いんだ!!」
M56スマートガンを吠えさせている女性住民が叫びながら、手榴弾の安全ピンを抜き放り投げる
「勉強だと思えよ」
IMI マイクロウージー をぶっ放している男性住民が吠える様に告げる
「何の勉強よ!!」
M56スマートガンを吠えさせている女性住民が、そう叫び終えると同時に後方から足音が聞こえた
「おい!! 戦闘中毒者ども!!
弾薬を節約しろ!! 予定していた弾薬を乗せたヘリが「何がなんでも墜落するヘリ」に載せられたから
永遠に来ないぞ!」
IMI デザートイーグル を握り締めた男性住民が掠れた声で告げる
「うげぇ!! 吐きそうだぜ」
レミントン M870 をぶっ放していた男性住民が呟く
「誰だよ、そんなヘリに載せた奴は!?
鬼獣相手に格闘戦でもしろって言うのかよ!!」