一万ポイントの謎
1話完結
実は異世界でも、JINさんは私の配信に毎回一万ゼニーを投げてくれている。
日本にいた頃のソフィーの配信にも、JINさんは毎週一万ポイント
異世界へ来て、通貨がゼニーに変わっても、やはり毎回きっちり一万
ふと、疑問に思った。
「ところでJINさんって、なんでいつもソフィーの配信に一万ポイント投げてたんですか?」
JINさんが、最初に私の配信へ一万ポイントを投げた理由を話してくれた。
私の配信を見る前、JINさんは一か月ほど『ウマ娘』にハマっていたらしい。
ウイニングライブを見たいがために、毎週一万円ほど課金していた。
そんな時、たまたま私の配信を見つけた。
そして、私に投げたいと思った。
その週、『ウマ娘』に課金するつもりだった一万円
そして、Google Playポイントになぜか残っていた二千八百円分
合わせて一万二千八百円
それで、ミクチャの一万五百七十ポイントを購入した。
「これはもう、神が私に投げろと言っているのだと思いまして」
異世界の神に天啓を与えた神とは、一体何なのだろう。
JINさんは、その時に一万ポイントのアイテムを投げた。
それが、JINさんが初めて私に一万ポイントを投げた理由だったらしい。
最初に一万ポイントを投げたため、その後も毎週、一万二千八百円で一万五百七十ポイントを購入し、一万ポイントを投げるようになった。
毎週、五百七十ポイント余る。
でも、JINさんはその余りを特に気にしていなかったらしい。
「理美さんの配信を見たら、ウイニングライブのことはどうでもよくなりまして。あの日以来、『ウマ娘』は卒業しております」
毎週『ウマ娘』に使っていた約一万円が、そのまま私への投げ銭に変わったわけだ。
私は、JINさんにはもっと貯金があるのかと思っていた。
案外、私の配信に来るまでは、それほど貯金がなかったのかもしれない。
私は今、AIJINとしてソフィーの配信へ行くことがある。
初めてソフィーの配信へ行く前、私はJINさんにあらかじめ頼んでいた。
私は、配信へ行ってコメントをして、その人の時間を共有する以上、必ず投げる。
でも、自分で自分に投げたら自投げになってしまう。
だからJINさんに、
「私は自分には投げられないので、代わりに私の分を投げてください。その分は、毎回の異世界配信で私に投げてくれている分から引いておいてください」
と頼んでいた。
私は、自分が異世界の配信でもらっている分から支払うつもりだった。
そして、初めてAIJINとしてソフィーの配信へ行った時、私はJINさんに、
「五千ポイントのアリーナを投げてください」
と頼んだ。
あれから、私がAIJINとしてソフィーの配信に同伴する時は、JINさんが必ず私の代わりに五千ポイントのアリーナを投げてくれている。
ところが、JINさんは最初に五千ポイントを頼まれた時、実は焦っていたらしい。
「以前、理美さんから、理美さんの分は異世界の配信で私が投げている分から引いておいてくださいと言われていたんですけど、そのことをすっかり忘れてしまっていまして」
そうだったのか。
「五千ポイント投げてほしいと言われた時は、実は少し焦っていたんです」
そして、確認してみたらしい。
「ところが、なぜか三万ポイントくらい残っていまして。本当にほっとしました」
なぜか三万ポイント
いや、理由は分かる。
毎週、一万五百七十ポイント購入
一万ポイント投げる
五百七十ポイント余る
それを約一年
五百七十ポイント×約五十二週
二万九千六百四十ポイント
約三万ポイント
毎週余っていた五百七十ポイントが、知らない間に貯まっていたのだ。
JINさん本人は、端数がそこまで貯まっていることを把握していなかったらしい。
「でも、安心してください。あれからは毎週、七千八百円で六千四百二十ポイントも追加で購入しているんです」
……ん?
ソフィーの配信へ一万ポイント
私がAIJINとして同伴した時は、私の分として五千ポイント
そのために、ポイントを購入しているらしい。
いや
三万ポイント残ってるんだから、まずそれ使えばよくない?
そして、なぜもっと多く日本円を用意しようという発想にならないのだろう。
どうやらJINさんの中では、
ソフィーには、最初に一万ポイント投げたから毎回一万ポイント
異世界の私の代理分は、最初に五千ポイント投げたから、私が同伴した時は毎回五千ポイント
という基準ができているらしい。
すまん、日本の理美
私が最初に、一万ポイントのヘリコプターをねだっていれば、今あなたは、私が同伴する時には二万ポイントもらえていたのに
私がゼニーをケチったばっかりに
JINさんが本気を出せば、もっと投げられることを私は知っている。
無尽蔵にお金を生み出すことのできる神なのだから、何十万ポイントでも投げようと思えば投げられる。
頼めば、おそらく投げてくれる。
日本で配信していた頃の私としても、もっと投げられる人だと知っていたら、無理をさせないようにというリミッターを外して、もっと投げてもらえるような配信をしておけばよかったという気持ちはある。
でも、
「もっと私に投げて」
と直接ねだることはしたくない。
日本の私も、異世界の私も、お金をもらうこと自体を目的に配信しているわけではない。
投げ銭は、あくまで配信に対する評価として、相手が自分で決めて投げるものだ。
だから、JINさんの課金方法に多少納得がいかなくても、私は何も言わない。
無尽蔵にお金を生み出すことのできる神様たちには、人間には分からない、何か特別なお金のルールがあるのかもしれない。
あるいは、神様特有の金銭感覚というものがあるのかもしれない。
ただ、一つ分かったことがある。
神様の課金も、庶民の域を出ないらしい。
……ぶっちゃけ、私が日本で生活していた頃の一か月の課金額より少ないんだけどね笑
作者が大好きな黒柳徹子さんは、あれだけ才能豊かな方なのに、一万のお釣りが分からないらしいです。
有り余る魅力があれば、計算なんて出来なくても魅力は損なわれません。
JINも、そんな愛すべき神様なのです。




